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TheDanishGirl/リリィのすべて

2016-03-25 08:06:33 | 映画
邦題の「リリー」は、デンマーク人の風景画家の主人公アイナー・ヴェイナーの心の中にあった、女性の人格。
映画は、主人公が生まれてから、実は葛藤を繰り広げながら成長し、肉体を獲得する寸前までをたどっている。
そんなDanishGirl/デンマーク少女の一生のターニングポイントに妻が深く関わっていること..それがキーになる。
主人公が自分の中のリリーを再び意識したのは、肖像画家の妻に本来のモデルの代わりにバレリーナの衣装を着けてポーズをとってくれと頼まれた時。
こうしてリリー再生のきっかけを作った妻は、舞踏会に女装で出席する遊びを主人公に提案し、女性としての開花に手を貸す。
さらに妻はリリーをモデルにした絵で画家として成功することで、リリーを社会的な存在に押し上げる。
それだけじゃない。
身も心も女性になりたいと望むリリーのために、妻は外科医を探し出してくる。
主人公の中のリリーを目覚めさせ、解き放ち、肉体を与えて最後まで見守る。
リリーに対して妻が果たす母のような役まわりをクローズアップしたところが、トランスジェンダー映画に収まらない。
第88回アカデミー賞授賞式は、演技賞候補が白人ばかりで黒人蔑視という批判が話題になった。
一方で、性的少数者(LGBT)に対しては少なからず寛容だったのでは-そんなことを受賞作のテーマや受賞者を通じて考えた。
 女性同士の恋愛を描いた「キャロル」で、ケイト・ブランシェットが主演女優賞候補、ルーニー・マーラーが助演女優賞候補に。
本作品ではリリーの妻・ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルが助演女優賞を獲得した。
そんな劇中のリリーと妻は、それぞれに苦悩する。
自分の心の中で何が起きているのかがわからずに苦しむリリー。
いっぽう妻の葛藤はより複雑だ。
肖像画家としてではなく、妻として、主人公に以前の夫に戻ってほしいと願う。
しかし画家としての妻には、ミューズであるリリーも必要なのだ。
妻が夫の変化に戸惑いつつも理解を示していく姿こそが、実はこの映画の主題のようにも感じる。
ジレンマにもがきながら、最大の理解者になっていく妻の成長を見事に演じているのである。
主人公の計算しつくされた演技もすごいが、妻役の情感溢れる演技は異性とはいえ共感に近いものを感じる。