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デッドプール

2016-06-10 01:26:32 | 映画
異色も異色。
マーベル映画の新キャラ“デッドプール”、正義や人助けになど興味もない様子で、あくまでマイペースに個人的な復讐計画をコツコツと実行。
いざ敵との対決が始まれば息つく暇なくバイオレンスとギャグを繰り出し、その間もおしゃべりが一向に止まらないどころか、ついには観客に向かって語り出す始末。
本作はストーリー構成もかなり変わっていて、主人公がデッドプールと化した経緯も、脳裏をよぎる“思い出話”として語られていく。
末期ガン宣告を受けた元特殊部隊員が、なんとか健康的な肉体を取り戻そうとすがった組織にミュータント遺伝子を注入され、不死身の身体となったものの、恋人との再会をためらうほど無惨な外見と化してしまい……。
真っ赤なコスチュームで身を隠した彼は、組織の人間をかたっぱしから葬り去る復讐の鬼と化し、今まさに銃弾飛び交うハイウェイで死闘を繰り広げている。
一瞬の跳躍にコミカルな身のこなしと小気味の良いアクションを挟み、なおかつバイオレンスと禁句と性表現というお子様NGの下世話な3要素を間髪入れずに全てぶち込む。
そんな器用なのか無作法なのか言い表せぬ芸風が、おかしなことに惹きつけて。
もちろんこの原動力には今回プロデューサーも兼任した主演ライアン・レイノルズの存在。
過去にヒーロー映画との兼ね合いで地獄を見てきた彼が、それでも諦めずに実現させた本作。
それゆえの全くの怖いものしらず。
まるで崖っぷちでハイになったみたいに何でも盛り込む。
さらに脚本も気が利いている。
アメコミ、映画、モンティ・パイソン、ワム!をはじめ膨大なカルチャーを果敢に引用しながら、観客が分かっても分からなくても一向にお構いなし。
要所要所にはX-MENとの関連性もしっかりと描かれ、もう溢れてはみ出すくらいに、ぎっしりと詰まっている。
マーベルブランドは右も左もヒーローばかり。
そんな過渡期にあって不意に見舞われた。