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そのことに、「シンプル・フェイバー」のステファニーとエミリーのスリリングな関係から改めて痛感させられた。
未亡人のステファニーは、育児や家事についてのあれこれを動画で発信する明るく健気な主婦ブロガー。
一方エミリーは、華やかなファッション業界で働いているミステリアスな美女。
正反対な二人は、クラスメイトの息子たちを通して知り合い、急速に親しくなっていく。
知り合った当初は、ステファニーがエミリーに一目惚れしたのだろう。
ハンサムでエレガントなパンツスーツにヒールを合わせてさっそうと歩くエミリーには、誰もが目を奪われずにいられない。
知り合って早々にステファニーが自分の“秘密”を打ち明けたのは、エミリーに気に入られたいという潜在意識があったに違いない。
また、エミリーの「息子を迎えに行ってほしい」という「ささやかな頼み事(=シンプル・フェイバー)」を、嫌がるどころか嬉々として受け入れたのは、エミリーに頼られて嬉しかったからだろう。
ところが、エミリーはそのまま行方不明になってしまう。
「親友を助けたい」という思いから、エミリーの夫と息子の世話をしながら、ステファニーが独自に調査を開始すると、エミリーの過去が徐々に明らかになってくる。
周りの人にも観客にも最後まで本音を掴ませず、調査活動に突き進む、ケンドリックの「周りを油断させる芝居」が絶品だ。
また、これまで男性にとって理想の女性像を演じることが多かったライブリーの驚くべき新境地も歓迎したい。
最後の最後までどんでん返しが続く巧妙なストーリー。
女性をあらゆるステレオタイプから解放して描く。