礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

昭和初年の同一駅名(『小学百科辞典』1929より)

2017-04-05 01:05:14 | コラムと名言

◎昭和初年の同一駅名(『小学百科辞典』1929より)

 小学生全集第六四巻(第二七回配本)の『小学百科辞典』(興文社、一九二九)を紹介している。すでに、「読みにくい駅名」の項、および「珍奇駅名」の項を紹介しているが、本日は、「同一駅名」の項を紹介してみよう。
 文中、〈カタカナ〉は引用者の付したルビである。

 同一駅名  同じ駅の名が全国に沢山ある。それは、
大久保 中央線・山陽線・奧羽線
追分  奧羽線・室蘭線・浜松鉄道 
白石  東北線・肥薩線・函館線
泊   北陸線・山陰線・三重鉄道
中野  中央線・東武鉄道・宇和島鉄道
中山  横浜線・片上鉄道・樺太鉄道
池田  福地山線・根室線
石井  徳島線・伊予鉄道
稲荷  奈良線・中国鉄道
稲荷山 篠ノ井〈シノノイ〉線・中国鉄道
大津  東海道線・南海鉄道
大野  常磐線・佐世保鉄道
大森  東海道線・瀬戸鉄道
岡山  山陽線・台湾鉄道
柏原  東海道線・信越線
勝浦  房総線・新宮鉄道
亀山  関西線・播但線
加茂  関西線・信越線
川上  網走線・樺太鉄道
川崎  東海道線・田川線
早野  常磐線・樺太鉄道
粟野  小浜線・美濃電鉄
黒井  信越線・福地山線
郡山  東北線・関西線
国分  讃予〈サンヨ〉線・鹿児島線
佐野  両毛線・南海鉄道
下田  東北線・和歌山線
新町  高崎線・安濃〈アノウ〉鉄道
新庄  奧羽線・台湾鉄道
住吉  東海道線・三角〈ミスミ〉線
高田  信越線・和歌山線
高松  七尾線・讃予線
田中  信越線・台湾鉄道
天満〈テンマ〉  城東線・新宮鉄道
富岡  常磐線・樺太鉄道
富田  関西線・両毛線
豊田  中央線・台湾鉄道
中泉  東海道線・伊田線
長尾  片町線・長尾線
長野  信越線・南海鉄道
中村  常磐線・浜松鉄道
野崎  東北線・片町線
橋本  横浜線・和歌山線
日野  中央線・近江鉄道
平井  総武線・伊予鉄道
広野  常磐線・福地山線
福島  東北線・西成〈ニシナリ〉線
藤島  羽越線・越前電鉄
藤山  留萌線・宇部鉄道
古市  福地山線・大阪鉄道
保田  北条線・越前電気
本郷  山陽線・函館線
真岡  真岡〈もおか〉線・樺太鉄道
松山  讃予線・台湾鉄道
である。

「讃予線」は、原文のママである。讃予線は、この本が出た年の翌年の一九三〇年(昭和五年)に、「予讃線」と改称されている。
「富田」駅の読みは、関西線の場合、「トミダ」、両毛線の場合は「トミタ」である。ほかにも、同字異音のものがあると思われる。
 いずれにしても、昭和初年には、かなりの同一駅名が存在していたことがわかる。これらのなかには、その後、播但〈バンタン〉線の廃線に伴い、亀山駅が廃駅となったように、一方が廃駅になったことによって、あるいは、田川線の川崎駅が豊前川崎駅に改称されたように、一方の駅名が変わったことによって、同一駅名が解消されたものも多いはずである。しかし、すべてについて、チェックしたわけではない。鉄道ファンの方に、チェックをお願いいただければ、さいわいである。

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