礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

数字のついた町村名(1937)

2017-04-12 02:28:07 | コラムと名言

◎数字のついた町村名(1937)

 海野昌平著『実生活に及ぼす国語及び文字の波紋』(桑文社、一九三七)から、「十一、地名奇談」の「二、地名」を紹介している。本日は、その三回目。【 】内は、原ルビである。

 数を意味した名は随分多いが、之も珍らしいものだけをあげて見よう。
  一 一身田【いつしんでん】(三重) 一宇【いちう】(徳島) 一勝地【いつしょうち】(熊本) 一貴山【いつきざん】(福岡) 一日市【ひといち】(熊本)
  二 二見(熊本) 二江【ふたえ】(どう) 二子【ふたご】(岩手) 二つ井【ふたつゐ】(秋田) 二郷【にごう】(三重)
  三 三【み】(茨城) 三朝【みさゝ】(鳥取) 三川【みかは】(和歌山) 三角【みすみ】(熊本) 三里【みさと】(高知) 三毛門【みけかど】(福岡) 三財【さんざい】(宮崎) 三納【になふ】(同) 三名【さんみやう】(徳島)
  四 四【よ】(和歌山) 四つ合〈ヨツゴウ〉(新潟) 四方【よかた】(富山) 四屋【よつや】(長野) 四海【しかい】(香川) 四郷【しがう】(三重)
  五 五【ご】(和歌山) 五箇【ごか】(京都) 五城目【ごじやうのめ】(秋田) 五台【ごだい】(茨城) 五泉【ごせん】(新潟) 五ケ谷〈ゴカダニ〉(三重) 
  六 六栄【みさか】(熊本) 六角【ろくかく】(佐賀) 六ケ所〈ロッカショ〉(青森) 六郷【ろくがふ】(同)
  七 七箇【しちか】(香川) 七川【しちかは】(和歌山) 七戸【しちのへ】(青森) 七瀧【なゝたき】(熊本) 七折【なゝをり】(宮崎) 七福【千葉】
  八 八【や】(福井) 八戸【はちのへ】(青森) 八里【やさと】(茨城) 八原【やばら】(同) 八知【やち】(三重)
  九 九幡【くばん】(岡山) 九鬼【くき】(三重) 九会【くえ】(兵庫) 九箇庄【くかしやう】(大阪) 九重【くぢう】(和歌山)
  一〇 十【と】(福井) 十市【とういち】(高知) 十全【じふぜん】(新潟) 十社【とうやしろ】(三重)
  一二 十二鏑【じふにかぶら】(岩手) 十二所【じふにしよ】(秋田) 十二里【じふにさと】(青森)
  一三 十三【じふさん】(青森)
  一四 十四【じふしやま】(愛知)
  一五 十五浜【しごま】(宮城) 
  一六 十六【じふろく】(高知)
  十位 五十猛【いそたけ】(島根) 五十市【いそいち】(宮崎) 九十九【つくも】(群馬)
  百位 百枝【もゝえだ】(大分) 百引【もびき】(鹿児島) 百塚【ひやくづか】(富山) 五百石【ごひやくこく】(同)
  千位 千歳【ちとせ】(山形) 千里【ちさと】(福島) 千種【ちぐさ】(千葉) 千城【ちしろ】(同) 千疋【せんびき】(岐阜) 千年【ちとせ】(青森) 八千代【やちよ】(徳島)
  万位 万歳【まんざい】(岡山) 万世【まんせい】(鹿児島) 万倉【まぐら】(山口) 二万【にま】(岡山) 八万【はちまん】(徳島)
 数字を頭に入れた名で多いのは、八幡と一宮である。この外、たゞ地名となると限りがない。
  一【かず】(奈良県)      九鬼【くき】(三重県)
  九上【くがみ】(新潟県)    三財【さんざい】(宮崎県)
  七石【なゝついし】(栃木県)  七栗【なゝくり】(三重県)
  七尾【なゝを】(石川県)    三成【みなり】(島根県)
  六手〈ムテ〉(千葉県)     八十島【やそじま】(宮城県)
  八十一隣【くくり】(岐阜県)  十八成【くくなり】(宮城県)
  十八女【わかいろ】(栃木県)  七五三場【しめば】(栃木県)
  二十六木【ととろき】(山形県) 二十五里【ついひち】(千葉県)
  廿九日【ひづめ】(石川県)    九十九【つくも】(石川県)
 千葉県に「白里」〈シラサト〉といふ処がある。銚子から房州の太平洋に面した海岸は九十九里浜といつて雄大な眺望である。この「九十九」は「百」に一つ足らない。そこで「百」からー画とり去ると「白」となる。この「白」に九十九里の「里」をとつて出来たのが「白里」だといふ。元来、「九十九」は古来「白」に縁のある句として用ひられるので、「つくも」と読むのも「白髮【つくもがみ】」から来てゐる。老人らしい村は高知県の「波介【はげ】」である。【以下、次回】

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