◎読みにくい駅名（『小学百科辞典』１９２９より）・付「モリからカケへ」
二〇一三年三月一九日に、「興文社『小学生全集』全８８冊のタイトル」というコラムを書いた。
その八十八タイトルのひとつに、『子供百科辞典』を挙げておいたが、これは実際には、『小学百科辞典』というタイトルで発行されている。先日、古書展で、その実物を入手して、そのことを知った。
奥付によれば、小学生全集第六四巻（第二七回配本）、一九二九年（昭和四）七月一五日発行、編輯兼発行者は石川寅吉、発行所としては、「株式会社 興文社」と「文藝春秋社」が併記されている。
なお、本書の扉には、「小学生全集編輯部編 少年百科辞典」とある。国立国会図書館のデータは、こちらに依拠しているので、検策の際は、注意されたい。
この百科辞典は、「調べる辞典」というよりは「読む辞典」である。どこを読んでも、興味深い知識、意外な情報が得られる。そのうちから本日は、「読みにくい駅名」という項を紹介してみよう。文中、〈ひらがな〉は原ルビ、〈カタカナ〉は引用者の付したルビである。
読みにくい駅名 我国の鉄道の駅名には、思ひもよらない読み方をする駅名が沢山ある。左〈さ〉にそれを挙げて見よう。
吾妻（あがつま） 草津電鉄
吾桑（あそう） 高知線
左沢（あてらざわ） 左沢線
我孫子（あびこ） 常磐線
安平（あびら） 室蘭線
雨晴（あまはらし） 氷見〈ヒミ〉線
安足間（あんたろま） 石北〈セキホク〉線
石原（いさ） 山陰線
石動（いするぎ） 北陸線
櫟本（いちのもと） 桜井線
動橋（いぶりばし） 北陸線
宇出津（うしつ） 丸中鉄道
瓜連（うりずら） 水郡線
大三東（おうみさき） 島原鉄道
大畑（おこば） 肥薩〈ヒサツ〉線
長万部（おしやまんべ） 函館線
大楽毛（おたのしげ） 根室線
落部（おとしべ） 函館線
大更（おほぶけ） 花輪線
生保内（おぼない） 生保内線
麻績（おみ） 篠ノ井線
折生迫（おりゆさこ） 宮崎鉄道
下石（おろし） 駄知〈ダチ〉鉄道
学文路（かむろ） 南海鉄道
木次（きすき） 簸上〈ヒカミ〉鉄道
厳木（きゆうらぎ） 唐津線
京終（きようはて） 桜井線
栗田（くんだ） 宮津線
府中（こう） 徳島線
郡家（こうげ） 因美〈インビ〉線
神代町（こうじろまち） 島原鉄道
蚕桑（こぐわ） 長井線
小牛田（こごた） 東北線
小鳥谷（こずや） 東北線
古井（こび） 高山線
寒河江（さがえ） 左沢線
坂祝（さかほぎ） 高山線
沙留（さるる） 名寄〈ナヨロ〉線
雑餉隈（ざつしよのくま） 鹿児島線
宍粟（しさわ） 伯備線
酒々井（しすい） 成田線
舌辛（したから） 雄別〈ユウベツ〉炭砿
下府（しもこう） 山陰線
目尾（しやかのを） 幸袋〈コウタイ〉線
石神井（しやくじい） 武蔵野鉄道
治郎ケ別府（じろがびゆう） 日豊〈ニッポウ〉線
沢入（そおり） 足尾線
知立（ちりゆう） 三河鉄道
登米（とよま） 仙北〈センボク〉鉄道
東浪見（とらみ） 房総線
南蛇井（なんじやい） 上信電鉄
仁豊野（にぶの） 播但〈バンタン〉線
沼宮内（ぬまくない） 東北線
及位（のぞき） 奧羽線
南風崎（はえのさき） 長崎線
放出（はなてん） 片町線
東秋留（ひがしあきる） 五日市鉄道
深日（ふけ） 南海鉄道
布施屋（ほしや） 和歌山線
誉平（ぽんぴら） 天塩南線〈テシオナンセン〉
松前（まつざき） 伊予鉄道
万能倉（まなぐら） 両備鉄道
美袋（みなぎ） 伯備線
女満別（めまんべつ） 網走線
養父（やぶ） 山陰線
梨郷（りんごう） 長井線
留辺蘂（るべしべ） 湧別〈ユウベツ〉線
ここに載っている駅の中には、すでに廃駅になっているものもあるだろう。あるいは、幸袋線、駄知鉄道など、路線そのものが廃線になっているものもある。しかし、すべてについてチェックしたわけではない。鉄道ファンの方、興味を持たれた方に、調べていただきたいものである。
今日の迷言 ２０１７・４・３
◎モリからカケへ
本日の新聞広告によれば、『週刊現代』四月一五日号が、加計学園問題を大きくとりあげている。
「加計」というのは、珍しい名字だが、「カケ」と読むらしい。今後、国有地売却問題の焦点は、森友学園から加計学園に移行するかもしれない。
だとすれば、これは、「モリからカケへ」ということになる。自分で言っておいて「名言」と位置づけるわけにはいかないので、今日の「迷言」ということにしておこう。
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