◎明治7年(1874)の新潟県「捕亡吏心得書」
書棚を整理していたところ、「捕亡吏心得書」というものが出てきた。和綴で、本文三丁、すなわち六ページの小冊子である。
だいぶ前に、入手したものだが、一度も利用したことがない。この際、ブログで紹介しておけば、活用してくださる方があるかもしれない。
以下、なるべく原文に近い形で、その内容を紹介する。改行は原文のまま、一行あいているところは、改ページを示している。
以下の漢字は、入力の都合上、新漢字に直した。
「図顕侭断毎戸予余強窃党博縛応乱為闘争会銭増」
第六條にある「体」は原文のまま。第六條の「トキ」は合字であることを示す。
捕亡吏心得書
第一條
各大區捕亡吏ハ其區内犯罪ノ者ヲ搜捕スルチ職ト
シ都テ縣廳ノ趣意ヲ旨トシ取締所ノ差図ヲ奉シ區
内ノ諸役人勤惰正邪アル顕然タルニ於テハ封書ノ
儘本縣及ヒ取締所へ報告スへキ事
第二條
捕亡吏二人ニ一大區宛受持右二人ノ内一人宛間
断ナク持區ヲ巡邏シ半月ヲ以交代スへキ事
第三條
持區巡邏ノ節一小區又ハ二小區毎ニ宿所一ケ所宛
相定其取締所へ届置戸長用掛へモ通達致シ置クヘ
キ事
第四條
持區巡邏中予メ各小區宿所へ到着ノ日ヲ定置余義
ナキ事故アルニ非レハ右到着ノ日ニ違フ間敷事
第五條
持區巡廻中強盗窃盗人命放火貨幣擬造行使及徒党
テ謀ル重犯ノ者アル時ハ自身召捕可申若手余シ候
ノ強賊ニ候ハヽ臨時人ヲ雇フテ捕縛シ本縣或ハ取
締所へ差出尤其次第戸長へ申入置へキ事
第六條
局騙掏摸博徒浮浪等都テ惡業ヲナス風体ノ者アル
トキハ問糺シ罪跡顕ハルヽ者ハ縛シテ縣或ハ取締
所ヘ護送シ罪跡ナクシテ応答明白ナルモノハ放遣シ
都テ區内ノ者ニ非スシテ胡乱ナル者ハ持區中ニ徘
徊為致間敷事
但乞食ハ戸長ト謀リ無籍ハ縛シテ縣廳へ差送リ
他管轄ノ者ハ都テ縣廳或ハ取締所へ差送ルヘキ
事
第七條
闘争乱暴等ノ所業未聞ニ及フ時ハ捕押ヘ其區戸長
ト謀リ時宜ニヨリ縛シテ縣廳或ハ取締所へ差送ル
へキ事
但戸長不在ノ節ハ其地用掛ニ謀ルへシ
第八條
第五條ニ記スル所ノ犯人他ノ區内ニ在ルヲ聞知シ
他區捕亡吏ヘ報告シテ機会ヲ失ヒ犯人逃走ノ憂ア
ル時ハ格別其他ハ其區捕亡吏ヘ報告シテ捕縛セシ
メ都テ持區外へ出ヲ捜捕致間敷事
第九條
第五條ニ記スル所ノ犯人其持區内ニ在リ他區捕亡
吏ヨリ報告ヲ得ル時ハ直ニ捕縛縣廳或ハ取締所ヘ
護送シ都テ非常ニアラサレハ他區捕亡吏及雇人等
ノ力ヲ借ルヘカラサル事
第十條
都テ犯人ヲ護送スルハ戸長若クハ其用掛ト謀リ例
規ニ照準シ雇人ヲ以テ護送スヘキ事
第十一條
都テ犯人ヲ搜捕スルハ其持區中ニ限ルト雖モ若シ
臨時縣廳及取締所詰等内官ノ命アル時ハ區外へ出
テ搜索捕縛スルモ妨ナキ事
第十二條
犯人ヲ搜捕スルヲ職トナスト雖モ拷問断獄ニ近キ
糺問等致間敷事
第十三條
持區内巡邏ノ旅費ハ等級ノ高卑ニ拘ハラス一日金
二十五銭ツヽ支給スへキ事
第十四條
持區内人民ハ不及申都テ懇切実直ニ接待シ豪モ威
権ケ間敷儀致間敷且訴訟其他一切分外ノ事ニ關係
スヘカラサル事
右明治六年定ムル所ニヨリ更正増補候條遵守可致
者也
明治七年第十二月 新潟縣令楠本正隆
明日は、上記の原文に対し、若干の注釈を付してみたい。
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