◎尾張地方ではモルモットを「もりもと」と呼ぶ
先日、某書店の「二冊百円」の棚から、佐藤一英〈イチエイ〉著『詩集 乏しき木片』(萬里閣、一九四七)を拾い出した。「木片」には、【こは】というルビが振られている。
佐藤一英(一八九九~一九七九)は、愛知県祖父江町〈ソブエチョウ〉出身の詩人で、弘前市出身の詩人・福士幸次郎(一八八九~一九四六)と交流があった。佐藤一英のことは、よく知らないが、以前、福士幸次郎のことを調べていたときに、しばしば出てきた名前であった。
さて、『乏しき木片』の一八~一九ページに、「洋鼠」と題した詩がある。洋鼠には、【もりもと】というルビが振られている。
もりもとは をかしかりけり もりもとは
かなしかりけり もりもりと 日はひもすがら
ものかみて 小さきはこを まはりけり
かがやくくろき ひとみもて われのひとみを
のぞきては さてうなづきて かけまはり
かなしきをかしきなかまぞと またのぞきみる
あと二節あるが、割愛。
最後に、小さい活字で、次のような「註」がついている。本人による註であろう。
註 もりもと(尾張の方言)モルモットmarmotの訛〈ナマリ〉