礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

金剛組は現存する世界最古の企業

2018-07-03 07:24:20 | コラムと名言

◎金剛組は現存する世界最古の企業

 月刊誌『四天王寺』の第二七四号「四天王寺復興記念特輯号」(一九六三年一〇月一〇日)の紹介を続ける。四天王寺伽藍の復興工事を担当したのは、大林組、金剛組であった。本日は、この両社の社長のアイサツを紹介してみたい。

  慶 祝     株式会社 大 林 組/社長 大 林 芳 郎

昭和三十二年〔一九五七〕春以来取り進められておりました四天王寺伽藍の戦災復興工事が滞りなく竣功をみ、ここにめでたく復興記念大法会が執り行なわれる運びとなりましたことは、まことに慶祝に堪えません。謹んでお慶び申し上げます。
 弊社は、去る昭和三十四年〔一九五九〕に竣功の五重宝塔の建立と今般竣功の講堂・中門・東西の重門及び廻廊など金堂を除く中心伽藍の復興を特命をもつて御下命にあずかつた次第でありますが、鉄骨鉄筋コンクリート造の耐震耐火構造による五重宝塔の建立は本邦最初であり、又、その他の伽藍もすベて同様に鉄骨鉄筋コンクリート造であり、しかも様式は御創建当時の壮麗な飛鳥様式を再現したのでありまして、そこには技術上並々ならぬ苦心と困難がありました。とりわけ各部柱のエンターシスや複雑な木組を創出いたしますため型枠の製作その他に非常な苦心を要しましたが、幸いに寺院御当局・設計監理に当られた諸先生方建築顧問の竹腰〔健造〕先生及び御関係皆様方の御指導、御鞭撻のお蔭により、この佳き日を迎えることができたのでありまして、有り難い幸せに存じております。

  歓びの日を迎えて     株式会社 金 剛 組/取締役社長 金 剛 芳 枝
 水の都、浪速の高台に昭和の奇蹟とさえ云われる、四天王寺中心伽藍の復興が見事に成つたのであります。
 四天王寺中心伽藍の復興が、近代稀に見る奇蹟的復興なりと申されましても、これこそ法の不滅と、〔聖徳〕太子の御徳〈オントク〉から成る当然の復興と申されずして何でありましよう。
 幸にも弊金剛組は、昭和三十四年四月九日、金堂工事に着手、重ねて昭和三十六年〔一九六一〕十月二十七日西大門工事に着工させて戴きまして、金堂は昭和三十六年三月十五日、西大門は昭和三十七年〔一九六二〕十一月二十七日に諸仏の御冥助と、関係者各位の御支援、御指導により終始事故なく、竣工させて戴く事が出来ました。
 復興工事の一端を受けさせて戴き、今日目出度く落慶の日を迎えて、許多の喜びと数々の苦労が共に感涙となつて流れ、諸仏の御加護と関係者各位の御力添えに、感謝の念を新たにするものであります。

 金堂および西大門の工事を担当した「金剛組」は、現存する世界最古の企業である。西暦五七八年(敏達天皇七年)、百済から招かれた金剛重光によって創業され、西暦五九三年(推古天皇元年)に完成した四天王寺の造営にあたったという。
 年表の西暦五七七年(敏達天皇六年)のところに、「百済の威徳王、経論と律師・禅師・比丘尼・呪禁師・造仏工・造寺工の6人を贈る(紀)」とある。ここで、「造寺工」とあるのが、あるいは、金剛重光のことか。
 ちなみに、ここで挨拶している金剛芳枝は、金剛組の第三十八代棟梁で、「なにわの女棟梁」として知られていた。

*都合により、明日以降、数日間、ブログをお休みいたします。

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