礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

「国鉄」という言葉は、JNRができる前からあった

2018-07-11 03:09:22 | コラムと名言

◎「国鉄」という言葉は、JNRができる前からあった

 交通協力会編『国鉄クイズ 1950年版』(交通協力会、一九五〇)の紹介を続ける。本日は、第8問と第9問、および、それぞれの解答を紹介してみたい。

8 鉄道にはどんな種類がありますか。
 鉄道は国民生に欠くことが出来ない公共的な性質から政府が直接経営する国が多く、日本でも明治39年〔1906〕に鉄道国有法という法律が出来て、それまでの色々の民間経営の鉄道を買収統一しました。しかし地方の一部分の輸送を受け持つ鉄道は民間経営とすることが出来ますから、こゝで国有鉄道(国鉄)と民営鉄道(私鉄)の区別が生ずるわけです。
 なお民営鉄道を地方鉄道と軌道とに分けますが、地方鉄道は鉄道線用の線路をもつているものをいい、軌道とは、道路の上に線路を敷いてあるものをいうのです。東京都営、大阪市営電車のようなものは軌道にはいります。
 この外に動力によつて分けて、蒸気鉄道と電気鉄道、敷かれている場所によつて分けて高架鉄道、地上鉄道及び'地下鉄道などということもあります。

9 国鉄はどのように経営されていますか。それは何故ですか。
 国鉄の事業は非常に大規模であるために、いつまでも官丁経営のまゝで置くとどうしても企業としての性格が弱くなり、健全な経営をする事が出来ませんので、思い切つた改革をしなければならなくなりました。しかし、独占事業である国鉄としては、その公共性を無視する事ができませんので、国営と民営の中間の公共企業体(Public corporation)といふ形をとり、民営にくらべて色々の制限をつけることになりました。こうして日本国有鉄道法が生まれ、これによつて昭和24年〔1949〕6月1日から政府の国鉄(J. G. B. Japanese Government Railways)は「日本国有鉄道」(J. N. R. Japanese National Railways)と名前をかえました。かくして同じ「国鉄」は違つた内容を持つことになつたわけです。

 これを読んで認識を改めた。一般に、「国鉄」というのは、「日本国有鉄道」(一九四九~一九八七)の略称と説明されているが(広辞苑)、これは、必ずしも正確ではない。「国鉄」は、「鉄道国有法」時代の日本の国有鉄道の略称であり、かつ、「日本国有鉄道法」時代の日本国有鉄道の略称でもあった、と捉えるべきである。つまり、「国鉄」という言葉は、日本国有鉄道(J. N. R.)ができる前からあったのである。ただし、この言葉が、いつごろから使われるようになったのかは、明らかでない。

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