◎西神田「日本書房」の包装紙に見られる経文
先日、西神田の古書店・日本書房で、店頭に置かれていたバーゲン本を数冊買い求めた。小額の買い物だったにも拘わらず、包装紙で包装した上に、「神田 本の街」と書かれたシッカリしたビニール袋に入れていただいた。
その包装紙だが、これは日本書房のオリジナルで、記憶では四十年以上前から、デザインが変わっていない。扇の扇面に描かれた平安貴族と思われる男女の絵の上に、経文のようなものが、ビッシリと書き込まれている。
この経文が何というお経のものなのか、ふと気になって注視したところ、途中に「妙法蓮華経方便品〈ボウベンポン〉第二」とあった。法華経の一部のようである。
文字は一部、不鮮明な部分もあるが、今は、インターネットという便利なものがあるので、容易に復元できる。
復元した経文は、次の通り。旧漢字は、新漢字に直したが、「佛」、「盡」は、そのままにしておいた。「断」、「万」は、原文でも、この字形を使っている。
佛此夜滅度 如薪盡火滅 分布諸舎利 而起無量塔
比丘比丘尼 其数如恒沙 倍復加精進 以求無上道
是妙光法師 奉持佛法蔵 八十小劫中 広宣法華経
是諸八王子 妙光所開化 堅固無上道 当見無数佛
供養諸佛已 随順行大道 相継得成佛 転次而授記
最後天中天 号曰燃燈佛 諸仙之導師 度脱無量衆
是妙光法師 時有一弟子 心常懐懈怠 貪著於名利
求名利無厭 多遊族姓家 棄捨所習誦 廃忘不通利
以是因縁故 号之為求名 亦行衆善業 得見無数佛
供養於諸佛 隨順行大道 具六波羅蜜 今見釈師子
其後当作佛 号名曰弥勒 広度諸衆生 其数無有量
彼佛滅度後 懈怠者汝是 妙光法師者 今則我身是
我見燈明佛 本光瑞如此 以是知今佛 欲説法華経
今相如本瑞 是諸佛方便 今佛放光明 助発実相義
諸人今当知 合掌一心待 佛当雨法雨 充足求道者
諸求三乗人 若有疑悔者 佛当為除断 令盡無有余
妙法蓮華経方便品第二
尓 時 世 尊 従 三 昧 安 詳 而 起 告 舎 利 弗 諸 佛
智 慧 甚 深 無 量 其 智 慧 門 難 解 難 入 一 切 声
聞 辟 支 佛 所 不 能 知 所 以 者 何 佛 曽 親 近 百
千 万 億 無 数 諸 佛 盡 行 諸 佛 無 量 道 法 勇 猛
精 進 名 称 普 聞 成 就 甚 深 未 曽 有 法 随 宜 所
説 意 趣 難 解 舎 利 弗 吾 従 成 佛 已 来 種 種 因
縁 種 種 譬 喩 広 演 言 教 無 数 方 便 引 導 衆 生
経文は、キリの悪いところから始まって、キリの悪いところで終わっている。おそらく、法華経を写した一連の扇子が作られるということがあって、ここにある扇子も、そのうちのひとつなのではなかったのか。
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