風吹く豆腐屋

内容はいろいろ。不定期更新中。

2つの体調不良

2010-02-07 23:35:13 | Weblog
うちの近くでいつの間にか開店していた小さなパン屋さん。
昨日いつものように買いに行ったら「体調不良により閉店いたします」の張り紙が・・・。

チーズやハムを使った調理パンが僕の好みで、頑張って欲しかったんですが・・。

体調不良という言葉には含みがありました。
おそらく、赤字経営で立ち行かなくなったのが本当の理由でしょう。

早晩こうなることは分かっていました。
僕以外のお客さんをあまり見なかったし、立地条件が最悪だったから。
かなり注意していないと、そこにパン屋があることにさえ気がつきません。
ごく近所で生活していた僕でさえ、いつ開店したのかを知らなかったくらいですから。

せめてもう少し場所を選んでいれば、こうはならなかっただろうに・・。

その張り紙を見たとき、無性に寂しい感覚に襲われました。



もう1つの体調不良は自分自身の話。

体調不良とは言いにくい体調不良に、このところずっと悩まされています。
考えてみたら、自分から病院に行ったのなんて何年振りやら。

もらった薬は、ヘパリン、ステロイド、タクロリムス。

変な取り合わせですよね。
特にヘパリン。
何でそれが入っているのか、僕自身よく分かってないという・・。
正確には類似物質って書かれてたけど、そこに鍵があるんだろうか?

ただそのヘパリンには大分救われました。
ステロイドはまさに万能薬さまさま。
タクロリムスは・・・副作用に泣きました。
やっぱりいかつい名前だけあって凶暴・・・(涙


別にこれら二つには何の関連性もないんだけど、
この週末をまとめるならその言葉がころあいだったので。

「アンナ・カレーニナ」

2010-02-07 01:37:34 | Weblog
トルストイの「アンナ・カレーニナ」を読みました。

率直な感想をいうと、長いわりに面白くありませんでした。
途中で投げるのは嫌だったので、頑張って読み通しましたが・・

ひきつけられた箇所もあります。
例えば、きしみ始めた関係が崩壊に向けて加速して行く物語終盤。
登場人物たちの苦悩が強まれば強まるほど、物語の求心力は増していきました。



「人の不幸は蜜の味」

誰がいい始めたのが知りませんが、僕の嫌いな言葉の一つです。

なのに、人の心を揺さぶりうるのは、決まって不幸ですよね。
多分、たいていの昔話が「おじいさんとおばあさんは幸せに暮らしましたとさ」
で終わってしまうのは、実はそれ以上物語が続かないから。
幸せ・・?それはよかったね、でそれ以上膨らみようがないんでしょう。
そうなってしまうともはや読者の関心をひきつけられなくなります。

他人の幸福な話よりも不幸な話を聞きたいという潜在的な願望の存在は否定しきれません。
もともと他を押しのけて生き抜くことは生物的な本能の示唆するところ。
人の不幸が自分の幸福につながるという考えも、論破するのは難しいんじゃないでしょうか。
それどころか、その命題は偽じゃないかも・・


「情けは人のためならず」

この言葉は、取りようによってはひどく利己的なものになります。
自分への見返りがあるからこそ、人は他人に優しくなれるのか・・
裏を返せば、自分への見返りがなければ、人は他人に優しくなれないのか、と。
この問題は結論を出すのが難しいですよね。


興味深いビデオを見たことがあります。

統合失調症の患者さんの描く絵は、治療によって劇的に変化するという趣旨だったんですが、
絵だけについて言えば、治療前に描かれた絵のほうがよほど素晴らしいものでした。
治療後の絵が小学生が描いたようなありふれた風景画なのに対し、
治療前のそれは、毒々しい色をたくさんつかった抽象画。
その患者さんの心のうちの苦しみが迫ってくるような印象を受けました。
好みの問題はあるでしょうが、少なくとも治療前の絵のほうが訴えるものがありました。


物語に面白みを感じるためには、そこに悲劇がないといけないのかもしれません。
・・多分、それは生物の本質が残酷なものだから。
上記の絵の問題は、同じ軸上にはないけれど、同じ平面上にはあるような気がします。



この物語はクライマックスを迎えた後にエピローグのような形で数章続きがあります。
ここが全然面白くないんですよね。
多分、それまでのシーンとはうってかわって幸福を主軸としたものになるからです。
おまけ、としか思えませんでした。
 


しかし、読後にこういう示唆を与えてくれるのも名著だからこそ?

とりあえず、ロシアの長いのに手を出してみようかと考えている人には
トルストイよりもドストエフスキーをオススメします。
あくまでも個人的な趣味から、ですけど。


そういえば、「ライ麦畑」は思っていた以上に有名だったことに驚きました。
アメリカの小説はどこか食わず嫌いなところがあるんですが・・・どうしようかなぁ。