・北朝鮮制裁 米の臨検、後方支援 周辺事態法を初適用(北海道新聞)
>北朝鮮の核実験発表に対する国連安保理の制裁決議が採択の見通しとなったことを受け、政府は十三日、米艦船が北朝鮮船舶の臨検を実施する場合、周辺事態法を初適用し、米艦船への給油など可能な後方支援を行う方針を固めた。すでに米側や関係省庁と協議に入っており、海上自衛隊の基地や、港湾の提供なども視野に、関係自治体とも必要な調整を行う考えだ。<
>米国のシーファー駐日大使は同日、首相官邸で塩崎恭久官房長官と会談し、臨検について「日本は憲法の制約上、できることとできないことがあるのは分かっている」としながらも、「制裁という仕組みが出来上がったときには、日本が意味のある貢献をしてくださることに自信をもっている」と事実上の支援要請をした。<
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061014&j=0023&k=200610138675
「核武装はしない、非核三原則は維持する、平和的・外交的解決を目指す」と、北朝鮮の度重なるチキンレースに対しても努めて「冷静さ」を装っていた安倍政権ですが、ここへ来て愈々その地金を露にしつつあります。安倍政権は、あろうことか、今回の北朝鮮の暴発を絶好の奇貨として、周辺事態法の初適用に堂々と踏み切ろうとしているのです。これは取りも直さず、「朝鮮有事」を突破口にして、日本の民衆を、イラクを始めとする全世界での「ブッシュの戦争」に身包み動員していく為の地均しに他なりません。
米国のブッシュ政権や日本の安倍政権が「東アジアの緊張緩和」や「北朝鮮問題の平和的解決」を口にするのは、北朝鮮やアジアの平和や人権状況の改善を、決して本心から望んでいるからではありません。それは単に「東アジアの経済市場」を失いたくないからに過ぎません。イラク・中東を主戦場とする「テロとの長い戦争」に専念出来るように、「とりあえず今は中国や北朝鮮とも波風立てずにやっていきたい」というだけの事です。
これはまた別の面から見ると、80年代以降の、韓国・台湾・フィリピン・ネパール・インドネシアなどにおける相次ぐ民主化闘争の勝利や、中国・ベトナムなどにおける「改革開放」政策によるグローバル化の進展によって、かつてのSEATO(東南アジア集団防衛条約機構)や米比相互安全保障条約に代表されるような反共軍事ブロック体制が瓦解を遂げて、こと東アジアにおいては、如何に米国と言えども、今までの様な冷戦思考・軍事対決一本槍の姿勢を貫く事は出来なくなった、という事でもあります。
北朝鮮というのは、謂わば、その冷戦体制の瓦解が進む東アジアの中にとり残された最後のスターリン主義体制、戦後の冷戦体制の残滓なのです。長年に渡り東西冷戦の論理にすがって抑圧体制を進めて来たが為に、今更「改革開放」に舵を切ることも出来なくなり、政権存続の為には只ひたすら先軍政治に突き進むしか道が無いのが、今の北朝鮮の金正日体制なのです。
そして、その冷戦体制の残滓を、根本的に解消するのではなく、今後に想定されるあらゆる世界的規模での「テロとの戦い」の「格好の口実」、軍需利権の「最後の飯の種」として、「生かさず殺さず」残しておきたい、というのが、米帝・国際資本の本音なのです。
その下で、日本では、ネオコンとネオリベの結託によって、新自由主義的「格差社会」化と新保守主義的「右傾」化が進められ、9条・25条改憲、集団的自衛権(海外派兵)容認、教育基本法改悪、共謀罪の創設などにより、正に戦前日本や911以降の米国に見られるような「戦争・差別社会」が作られようとしているのです。そして、北朝鮮では人民は引き続きスターリン主義的抑圧体制の下に置かれ、中国では国際資本と結託して新自由主義に変質した「共産党」独裁の下で、人民は党官僚と国際資本の二重の搾取に苦しめられているのです。
今回の北朝鮮の核実験は、米帝・国際資本主導による「生かさず殺さず」戦略に対する北朝鮮スターリン体制側からの「暴発」なのです。今回の「暴発」は「金正日が自ら蒔いた種」であり、そういう意味では主体的責任は金正日の側にあるのですが、それに対して米帝・国際資本の側はどうかと言うと、その「暴発」に対しては、さも驚き怒り憂慮してみせ、如何にも冷静・中立な調停者としての役回りを演じながら、その実、自分たちが進める「テロとの戦い」の格好の口実に利用しようとしているのです。
80~90年代以降のグローバリゼーション・情報社会化と冷戦構造崩壊によってもたらされたそれぞれ正負の情勢的側面(新自由主義的搾取の深化と、人民の政治的覚醒の進展)の下で、前者に抗い後者に依拠しつつ、北朝鮮に残ったスターリン主義独裁体制(冷戦体制)を、当該国の北朝鮮人民の手で、周辺アジア諸国の社会進歩を目指す人民とも連帯を図る中で、東アジアにおける全人民の平和・民主・人権確立に沿った方向で、如何に精算・解体・止揚していくか―という事が、北朝鮮問題で問われている<真の課題>なのです。決して、米帝・国際資本主導による「テロとの戦争」遂行、「戦争・差別社会」作りや、「日本再生」の名による過去の帝国主義・植民地主義・侵略戦争の全面肯定・居直り、偏狭なナショナリズムや排外主義の扇動や、況してや「三国人に対する日本人の復讐」などにあるのではない。少なくとも私はそう思います。
先にまっぺんさんと樹木の緑さんの二つの投稿を拙ブログで紹介したのも、あくまでも前述の観点に立ってのものです。拙ブログとしては、徒に「見せかけの時流」に流されたり阿たりする事なく、あくまでも「日本の戦争・右傾化・格差社会化にも北朝鮮の人権抑圧にも反対」の立場に沿って、「戦争もリストラも人権抑圧もゴメンだ!」「イラク戦争も金正日もNO!」の声をあげて行く所存でいます。
>北朝鮮の核実験発表に対する国連安保理の制裁決議が採択の見通しとなったことを受け、政府は十三日、米艦船が北朝鮮船舶の臨検を実施する場合、周辺事態法を初適用し、米艦船への給油など可能な後方支援を行う方針を固めた。すでに米側や関係省庁と協議に入っており、海上自衛隊の基地や、港湾の提供なども視野に、関係自治体とも必要な調整を行う考えだ。<
>米国のシーファー駐日大使は同日、首相官邸で塩崎恭久官房長官と会談し、臨検について「日本は憲法の制約上、できることとできないことがあるのは分かっている」としながらも、「制裁という仕組みが出来上がったときには、日本が意味のある貢献をしてくださることに自信をもっている」と事実上の支援要請をした。<
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061014&j=0023&k=200610138675
「核武装はしない、非核三原則は維持する、平和的・外交的解決を目指す」と、北朝鮮の度重なるチキンレースに対しても努めて「冷静さ」を装っていた安倍政権ですが、ここへ来て愈々その地金を露にしつつあります。安倍政権は、あろうことか、今回の北朝鮮の暴発を絶好の奇貨として、周辺事態法の初適用に堂々と踏み切ろうとしているのです。これは取りも直さず、「朝鮮有事」を突破口にして、日本の民衆を、イラクを始めとする全世界での「ブッシュの戦争」に身包み動員していく為の地均しに他なりません。
米国のブッシュ政権や日本の安倍政権が「東アジアの緊張緩和」や「北朝鮮問題の平和的解決」を口にするのは、北朝鮮やアジアの平和や人権状況の改善を、決して本心から望んでいるからではありません。それは単に「東アジアの経済市場」を失いたくないからに過ぎません。イラク・中東を主戦場とする「テロとの長い戦争」に専念出来るように、「とりあえず今は中国や北朝鮮とも波風立てずにやっていきたい」というだけの事です。
これはまた別の面から見ると、80年代以降の、韓国・台湾・フィリピン・ネパール・インドネシアなどにおける相次ぐ民主化闘争の勝利や、中国・ベトナムなどにおける「改革開放」政策によるグローバル化の進展によって、かつてのSEATO(東南アジア集団防衛条約機構)や米比相互安全保障条約に代表されるような反共軍事ブロック体制が瓦解を遂げて、こと東アジアにおいては、如何に米国と言えども、今までの様な冷戦思考・軍事対決一本槍の姿勢を貫く事は出来なくなった、という事でもあります。
北朝鮮というのは、謂わば、その冷戦体制の瓦解が進む東アジアの中にとり残された最後のスターリン主義体制、戦後の冷戦体制の残滓なのです。長年に渡り東西冷戦の論理にすがって抑圧体制を進めて来たが為に、今更「改革開放」に舵を切ることも出来なくなり、政権存続の為には只ひたすら先軍政治に突き進むしか道が無いのが、今の北朝鮮の金正日体制なのです。
そして、その冷戦体制の残滓を、根本的に解消するのではなく、今後に想定されるあらゆる世界的規模での「テロとの戦い」の「格好の口実」、軍需利権の「最後の飯の種」として、「生かさず殺さず」残しておきたい、というのが、米帝・国際資本の本音なのです。
その下で、日本では、ネオコンとネオリベの結託によって、新自由主義的「格差社会」化と新保守主義的「右傾」化が進められ、9条・25条改憲、集団的自衛権(海外派兵)容認、教育基本法改悪、共謀罪の創設などにより、正に戦前日本や911以降の米国に見られるような「戦争・差別社会」が作られようとしているのです。そして、北朝鮮では人民は引き続きスターリン主義的抑圧体制の下に置かれ、中国では国際資本と結託して新自由主義に変質した「共産党」独裁の下で、人民は党官僚と国際資本の二重の搾取に苦しめられているのです。
今回の北朝鮮の核実験は、米帝・国際資本主導による「生かさず殺さず」戦略に対する北朝鮮スターリン体制側からの「暴発」なのです。今回の「暴発」は「金正日が自ら蒔いた種」であり、そういう意味では主体的責任は金正日の側にあるのですが、それに対して米帝・国際資本の側はどうかと言うと、その「暴発」に対しては、さも驚き怒り憂慮してみせ、如何にも冷静・中立な調停者としての役回りを演じながら、その実、自分たちが進める「テロとの戦い」の格好の口実に利用しようとしているのです。
80~90年代以降のグローバリゼーション・情報社会化と冷戦構造崩壊によってもたらされたそれぞれ正負の情勢的側面(新自由主義的搾取の深化と、人民の政治的覚醒の進展)の下で、前者に抗い後者に依拠しつつ、北朝鮮に残ったスターリン主義独裁体制(冷戦体制)を、当該国の北朝鮮人民の手で、周辺アジア諸国の社会進歩を目指す人民とも連帯を図る中で、東アジアにおける全人民の平和・民主・人権確立に沿った方向で、如何に精算・解体・止揚していくか―という事が、北朝鮮問題で問われている<真の課題>なのです。決して、米帝・国際資本主導による「テロとの戦争」遂行、「戦争・差別社会」作りや、「日本再生」の名による過去の帝国主義・植民地主義・侵略戦争の全面肯定・居直り、偏狭なナショナリズムや排外主義の扇動や、況してや「三国人に対する日本人の復讐」などにあるのではない。少なくとも私はそう思います。
先にまっぺんさんと樹木の緑さんの二つの投稿を拙ブログで紹介したのも、あくまでも前述の観点に立ってのものです。拙ブログとしては、徒に「見せかけの時流」に流されたり阿たりする事なく、あくまでも「日本の戦争・右傾化・格差社会化にも北朝鮮の人権抑圧にも反対」の立場に沿って、「戦争もリストラも人権抑圧もゴメンだ!」「イラク戦争も金正日もNO!」の声をあげて行く所存でいます。
(転載開始)
憲章第7章制裁を当然の前提とすべきでない
投稿者:樹々の緑 投稿日:10月12日(木)05時27分52秒
この投稿は、このサイトの従前の投稿を参照しないままに投稿していることをお許し下さい。約3か月前に、自らの行動能力と「責任」ということを考え、意見表明の範囲を限定すべきだと考えたのですが、この投稿は、その例外をなすものであるために、お許しを請うているのです。また、現時点で必ずしも熟考を経たものでないことも、ご宥恕願います。
朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」と略記)による核実験実施声明によって、中華人民共和国(以下「中国」と略記)を含めて、国連憲章第7章に定める「制裁措置」を内容とする国際社会の対応もやむなしという結論が、国際社会の主流となっているように感じています。
中華人民共和国(以下「中国」と略記)政府も、この9日の北朝鮮政府の核兵器実験実施声明を受けて、国連憲章第7章が定める制裁措置に言及した新たな安保理決議に反対しない態度を示しているようですし、大韓民国(以下「韓国」と略記)政府も、韓明淑首相が国会答弁の中で「第7章を援用したとしても第42条の軍事制裁がすぐに含まれるものではない」(日刊「赤旗」2006年10月11日(水)付B版第7面)といっているようです。
しかし、こういう議論で一番欠落していると思うことは、国家単位の議論によって犠牲にされる、数多くの、「その他大勢」に属する「一般国民」の生活ではないでしょうか。イラクやアフガニスタンやパレスチナでも、このことがいちばん看過されているように思えてなりません。
私は、この点で、次の四つの点を、特に指摘したいと思います。
第一は、北朝鮮の「6か国協議への無条件復帰」を求めている諸国であっても、必ずしも憲章第7章に定める「制裁措置」の発動に賛成しているわけではないということです。
チリ政府の声明における「国際社会は対話によってこの危機を解決すべきだ」という主張も、6か国協議議長国である中国政府の「対話と協議を通じた平和的解決しかない」という強調も、そういう趣旨に受け止めることが可能であるし、何よりも、マレーシアのサイドハミド外相の「国際社会によるさらなる制裁はすでに食料、医薬品、燃料の不足に苦しんでいる北朝鮮の人々にとって助けとはならない」という言葉が、端的にそのような潮流を代表していると言えます(「赤旗」10月11日(水)付第6面)。
北朝鮮政府の「自国防衛力強化」の主張は、結局「核抑止力」論に立つものであり、すでに前世紀の核兵器廃絶運動によってその破綻が明らかにされているものに過ぎません。アメリカの一国支配主義に対抗するのであれば、まず以てその「核抑止力論」を否定する論理こそ、自国の基礎とすべきであるのに、北朝鮮政府の主張は、そのような国際社会における民衆の運動の成果を、一顧だにする趣きもなく、驚くべき論理としか言いようがありません。
しかし、私たちはすでに、イスラエルやパレスチナであれ、イラクであれ、タリバン政権を戴いていたアフガニスタンであれ、名もない民衆を無差別に害する行為は是認できないという強固な意思を確認してきたはずではないでしょうか。とくに、政権の行動が一般民衆のコントロールを離れたところで行われている場合に、その民衆の「血で贖わせる」ことに、不条理を感じてきたのではないでしょうか。
そして、いまの北朝鮮を見た場合、その不条理さは、誰の目にもいっそう感じられるはずではないでしょうか。
第二は、憲章第7章の「制裁」措置に表立って反対していない韓国政府のような立場であっても、「軍事制裁」には反対しているということです。
もともと、国連憲章第41条と第42条との規定の文言を見ても明白なように、制裁措置は段階的なものです。ですから、憲章第7章による国連の公式の「制裁措置」には正面から反対しない諸国であっても、軍事的制裁措置に「発展」することには歯止めをかけたいという意向が、「対話」や「平和的解決」を強調している各国政府の態度にも、現れていると思います。
しかし、国際政治の現実的経験を見ると、「有志連合」だとか「自衛的反撃」だとかの名目で、国連安保理の軍事制裁決定を待たずに、軍事力の行使がなされている事例があったわけです。ですから、このような、憲章の明文規定や趣旨を逸脱した軍事力行使に対して、いかなる態度を採るのかが、今回の北朝鮮の核実験問題に対しても、するどく問われていると思います。実際、アメリカは、アフガンでもイラクでも、泥沼に落ち込んでいるといわれているのです。そこで「血を流している」のは、そこに生活しているイラク・アフガンの民衆であり、軍隊として派遣されている国家の若者なのです。
そのような、国際社会の近時の経験に即して釘を刺す「制裁措置」の限定(表現は非常に穏やかであっても)をすることなく、漫然と「国際の平和と安全に対する脅威である」という規定づけから、憲章第7章の「制裁措置」を決定することなど、許されないと考えます。それは、イラクやアフガニスタン、最近ではレバノンやイスラエルで無惨にも命を落とした、私たちが名前も知らない無数の人々に対する、冒瀆だと思います。それを、北朝鮮で繰り返さない保障をどのように構築するか、それと無関係に、「北東アジアの平和と安全」が構想されてはならないと考える次第です。
ちなみに、日本共産党が、去る10日の衆議院の決議に賛成しながらも、「国連憲章第七章に基づく措置を『含め』」という点にとくに言及して、「平和的・外交的解決」を強調しているのも、いま述べた懸念を念頭に置いているものと思われるのです。
第三には、この問題は、全地球規模における核兵器廃絶の課題と切り離して考えられないということです。
2005年の核不拡散条約の再検討会議が、アメリカを中心とする妨害によって、2000年の同会議における核兵器国による核廃絶の「明確な約束」履行の進展がまったく無に帰す結果に終ったことは、世界で認められていることです。それどころか、この間アメリカは、9.11同時多発テロを契機として、国際法上の「国家の自衛権」の概念を勝手に拡張し、「先制攻撃的自衛」を主張するばかりか、その「攻撃」に核兵器によるものも含むとするなど、とんでもない論理を振りかざして、世界を核脅迫と一国支配の下に置こうとしています。
核兵器に対する国際世論のもう一つの潮流が、単に核兵器のみならず、核エネルギーの利用についてさえ、現存する実用上の利用に、地球・地域環境保全の見地から疑問符を投げかけているときに、前世紀に破綻した「核抑止力論」を「進化」させた「先制核攻撃正当化論」を主張するなど、到底許されるものではありません。
北朝鮮政府がいう「自国防衛力の強化」という口実も、単なる抽象的な「北東アジア・国際社会の平和と安全」ではなく、このような観点からこそ、批判される必要があると思います。「核拡散の阻止」という観点にしても、「なぜ」核拡散を阻止する必要があるかという根本問題に遡って、問う必要があると思うのです。
本当に、北朝鮮が国家としての存立を軍事的にも確保したいと思うのであれば、自ら「核抑止力論」などに依拠することなく、世界の民衆の核兵器廃絶の運動に合流して、自身が参加しているはずの非同盟諸国首脳会議2006年「ハバナ宣言」がいうとおりに、期限を切った核廃絶の努力こそ強調すべきものです。
そして、その立場に立ってこそ、アメリカが2000年の「明確な約束」に背き、核脅迫による一国支配主義を推し進めている現実に対して、国際社会の共感を得ることができるはずではないでしょうか。
第四は、こうした北朝鮮政府の誤った行動を是正させるために、何が必要かということです。
もちろん、某政党がいうように「国際社会の一致結束した対処」は必要でしょう。
しかし、「一致結束して」「平和的・外交的」に解決を促しても、相手である北朝鮮政府がこれに応じなければ、意味はありません。某政党などは、「いまの北朝鮮政府の行動は、却って北朝鮮の安全保障を危うくする」といっていることからも、北朝鮮政府が未だに「穏やかな説得の対象」であるかの如く考えているように思われますが、疑問です。
国際社会が、中国政府を含めていわば「さじを投げている」のも、そうした「論理的説得」が通用しない相手であることに、業を煮やした結果とは言えないでしょうか。
アメリカも、そこにつけ込んでいるのだと思います。チリ政府声明が「世界の平和と安全を乱す不必要な挑発だ」と述べていることも、そうした事態を指しているものだと思います。
今回の結末がどうあれ、一つの妥協的結論にしても、北朝鮮政府にすれば、瀬戸際外交による「成果」だと自己評価してしまう危険があります。中国政府にしても、現在の経済成長路線にとっては、自国を含む地域・世界の平和と安定こそが必要であると考えたために、北朝鮮に「強い自制」を求めているだけであって、本当に核廃絶を現実的なものとするために、核拡散を阻止する必要があると考えていることが政策行動の主因になっているとは、あまり考えられません。
そうした中で、今回のような「核対抗」行動を是正するいちばんの保障となりうるのは、やはり、核兵器使用によって真っ先に危険に曝される「一般民衆」の声だと思います。
ですから、単なる外的な「国家的圧力」の効果を過大視することなく、それぞれの国内における民衆の平和を願う声を、当該国政に反映させることこそ、「核対抗」国家間対抗是正への根本的な保障となるのではないでしょうか。
今回、日本の安倍首相は、「冷静」な対応を強調しています。これを好機として、私たちも、上記諸観点からの「冷静な」対応に、是非努めなければならないのではないかと、愚考する次第です。
(転載終了)
http://6413.teacup.com/1/bbs
憲章第7章制裁を当然の前提とすべきでない
投稿者:樹々の緑 投稿日:10月12日(木)05時27分52秒
この投稿は、このサイトの従前の投稿を参照しないままに投稿していることをお許し下さい。約3か月前に、自らの行動能力と「責任」ということを考え、意見表明の範囲を限定すべきだと考えたのですが、この投稿は、その例外をなすものであるために、お許しを請うているのです。また、現時点で必ずしも熟考を経たものでないことも、ご宥恕願います。
朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」と略記)による核実験実施声明によって、中華人民共和国(以下「中国」と略記)を含めて、国連憲章第7章に定める「制裁措置」を内容とする国際社会の対応もやむなしという結論が、国際社会の主流となっているように感じています。
中華人民共和国(以下「中国」と略記)政府も、この9日の北朝鮮政府の核兵器実験実施声明を受けて、国連憲章第7章が定める制裁措置に言及した新たな安保理決議に反対しない態度を示しているようですし、大韓民国(以下「韓国」と略記)政府も、韓明淑首相が国会答弁の中で「第7章を援用したとしても第42条の軍事制裁がすぐに含まれるものではない」(日刊「赤旗」2006年10月11日(水)付B版第7面)といっているようです。
しかし、こういう議論で一番欠落していると思うことは、国家単位の議論によって犠牲にされる、数多くの、「その他大勢」に属する「一般国民」の生活ではないでしょうか。イラクやアフガニスタンやパレスチナでも、このことがいちばん看過されているように思えてなりません。
私は、この点で、次の四つの点を、特に指摘したいと思います。
第一は、北朝鮮の「6か国協議への無条件復帰」を求めている諸国であっても、必ずしも憲章第7章に定める「制裁措置」の発動に賛成しているわけではないということです。
チリ政府の声明における「国際社会は対話によってこの危機を解決すべきだ」という主張も、6か国協議議長国である中国政府の「対話と協議を通じた平和的解決しかない」という強調も、そういう趣旨に受け止めることが可能であるし、何よりも、マレーシアのサイドハミド外相の「国際社会によるさらなる制裁はすでに食料、医薬品、燃料の不足に苦しんでいる北朝鮮の人々にとって助けとはならない」という言葉が、端的にそのような潮流を代表していると言えます(「赤旗」10月11日(水)付第6面)。
北朝鮮政府の「自国防衛力強化」の主張は、結局「核抑止力」論に立つものであり、すでに前世紀の核兵器廃絶運動によってその破綻が明らかにされているものに過ぎません。アメリカの一国支配主義に対抗するのであれば、まず以てその「核抑止力論」を否定する論理こそ、自国の基礎とすべきであるのに、北朝鮮政府の主張は、そのような国際社会における民衆の運動の成果を、一顧だにする趣きもなく、驚くべき論理としか言いようがありません。
しかし、私たちはすでに、イスラエルやパレスチナであれ、イラクであれ、タリバン政権を戴いていたアフガニスタンであれ、名もない民衆を無差別に害する行為は是認できないという強固な意思を確認してきたはずではないでしょうか。とくに、政権の行動が一般民衆のコントロールを離れたところで行われている場合に、その民衆の「血で贖わせる」ことに、不条理を感じてきたのではないでしょうか。
そして、いまの北朝鮮を見た場合、その不条理さは、誰の目にもいっそう感じられるはずではないでしょうか。
第二は、憲章第7章の「制裁」措置に表立って反対していない韓国政府のような立場であっても、「軍事制裁」には反対しているということです。
もともと、国連憲章第41条と第42条との規定の文言を見ても明白なように、制裁措置は段階的なものです。ですから、憲章第7章による国連の公式の「制裁措置」には正面から反対しない諸国であっても、軍事的制裁措置に「発展」することには歯止めをかけたいという意向が、「対話」や「平和的解決」を強調している各国政府の態度にも、現れていると思います。
しかし、国際政治の現実的経験を見ると、「有志連合」だとか「自衛的反撃」だとかの名目で、国連安保理の軍事制裁決定を待たずに、軍事力の行使がなされている事例があったわけです。ですから、このような、憲章の明文規定や趣旨を逸脱した軍事力行使に対して、いかなる態度を採るのかが、今回の北朝鮮の核実験問題に対しても、するどく問われていると思います。実際、アメリカは、アフガンでもイラクでも、泥沼に落ち込んでいるといわれているのです。そこで「血を流している」のは、そこに生活しているイラク・アフガンの民衆であり、軍隊として派遣されている国家の若者なのです。
そのような、国際社会の近時の経験に即して釘を刺す「制裁措置」の限定(表現は非常に穏やかであっても)をすることなく、漫然と「国際の平和と安全に対する脅威である」という規定づけから、憲章第7章の「制裁措置」を決定することなど、許されないと考えます。それは、イラクやアフガニスタン、最近ではレバノンやイスラエルで無惨にも命を落とした、私たちが名前も知らない無数の人々に対する、冒瀆だと思います。それを、北朝鮮で繰り返さない保障をどのように構築するか、それと無関係に、「北東アジアの平和と安全」が構想されてはならないと考える次第です。
ちなみに、日本共産党が、去る10日の衆議院の決議に賛成しながらも、「国連憲章第七章に基づく措置を『含め』」という点にとくに言及して、「平和的・外交的解決」を強調しているのも、いま述べた懸念を念頭に置いているものと思われるのです。
第三には、この問題は、全地球規模における核兵器廃絶の課題と切り離して考えられないということです。
2005年の核不拡散条約の再検討会議が、アメリカを中心とする妨害によって、2000年の同会議における核兵器国による核廃絶の「明確な約束」履行の進展がまったく無に帰す結果に終ったことは、世界で認められていることです。それどころか、この間アメリカは、9.11同時多発テロを契機として、国際法上の「国家の自衛権」の概念を勝手に拡張し、「先制攻撃的自衛」を主張するばかりか、その「攻撃」に核兵器によるものも含むとするなど、とんでもない論理を振りかざして、世界を核脅迫と一国支配の下に置こうとしています。
核兵器に対する国際世論のもう一つの潮流が、単に核兵器のみならず、核エネルギーの利用についてさえ、現存する実用上の利用に、地球・地域環境保全の見地から疑問符を投げかけているときに、前世紀に破綻した「核抑止力論」を「進化」させた「先制核攻撃正当化論」を主張するなど、到底許されるものではありません。
北朝鮮政府がいう「自国防衛力の強化」という口実も、単なる抽象的な「北東アジア・国際社会の平和と安全」ではなく、このような観点からこそ、批判される必要があると思います。「核拡散の阻止」という観点にしても、「なぜ」核拡散を阻止する必要があるかという根本問題に遡って、問う必要があると思うのです。
本当に、北朝鮮が国家としての存立を軍事的にも確保したいと思うのであれば、自ら「核抑止力論」などに依拠することなく、世界の民衆の核兵器廃絶の運動に合流して、自身が参加しているはずの非同盟諸国首脳会議2006年「ハバナ宣言」がいうとおりに、期限を切った核廃絶の努力こそ強調すべきものです。
そして、その立場に立ってこそ、アメリカが2000年の「明確な約束」に背き、核脅迫による一国支配主義を推し進めている現実に対して、国際社会の共感を得ることができるはずではないでしょうか。
第四は、こうした北朝鮮政府の誤った行動を是正させるために、何が必要かということです。
もちろん、某政党がいうように「国際社会の一致結束した対処」は必要でしょう。
しかし、「一致結束して」「平和的・外交的」に解決を促しても、相手である北朝鮮政府がこれに応じなければ、意味はありません。某政党などは、「いまの北朝鮮政府の行動は、却って北朝鮮の安全保障を危うくする」といっていることからも、北朝鮮政府が未だに「穏やかな説得の対象」であるかの如く考えているように思われますが、疑問です。
国際社会が、中国政府を含めていわば「さじを投げている」のも、そうした「論理的説得」が通用しない相手であることに、業を煮やした結果とは言えないでしょうか。
アメリカも、そこにつけ込んでいるのだと思います。チリ政府声明が「世界の平和と安全を乱す不必要な挑発だ」と述べていることも、そうした事態を指しているものだと思います。
今回の結末がどうあれ、一つの妥協的結論にしても、北朝鮮政府にすれば、瀬戸際外交による「成果」だと自己評価してしまう危険があります。中国政府にしても、現在の経済成長路線にとっては、自国を含む地域・世界の平和と安定こそが必要であると考えたために、北朝鮮に「強い自制」を求めているだけであって、本当に核廃絶を現実的なものとするために、核拡散を阻止する必要があると考えていることが政策行動の主因になっているとは、あまり考えられません。
そうした中で、今回のような「核対抗」行動を是正するいちばんの保障となりうるのは、やはり、核兵器使用によって真っ先に危険に曝される「一般民衆」の声だと思います。
ですから、単なる外的な「国家的圧力」の効果を過大視することなく、それぞれの国内における民衆の平和を願う声を、当該国政に反映させることこそ、「核対抗」国家間対抗是正への根本的な保障となるのではないでしょうか。
今回、日本の安倍首相は、「冷静」な対応を強調しています。これを好機として、私たちも、上記諸観点からの「冷静な」対応に、是非努めなければならないのではないかと、愚考する次第です。
(転載終了)
http://6413.teacup.com/1/bbs
(転載開始)
北朝鮮への制裁反対!
投稿者:まっぺん 投稿日:10月12日(木)11時53分36秒
●北朝鮮の国家的性格について
北朝鮮はスターリニスト金日成の指導のもと、未来に希望を持つ人民によって建国されましたが、その体制は共産主義に向かうのではなく、官僚化・硬直化の一途をたどり、もはやどこから見ても「共産主義」とはほとんど無縁なカルト国家にまで堕落してしまったと言えます。まがりなりにも彼の国が存立し得ているのは、まったく国民の合意によるものではなく、只々上意下達の党組織を使った国民監視体制と軍の権力とによるものでしかありません。北朝鮮人民は、いわば支配層による権力維持のための「いけにえ」であり「人質」なのです。北朝鮮二千万国民が「拉致」されているようなものです。あんな国家を「スターリニスト国家」と言ってはいけない。それでは北朝鮮を誉めすぎです。例えばオウム真理教とか統一協会が間違って国家権力をにぎったら、あんな風になるのじゃなかろうか。違うところがあるとすれば、唱えるお題目が「神ホトケの教え」と「まるくすの教え」という違いだけにすぎません。
●制裁措置とアメリカの動向
国連憲章の第41条が経済制裁で42条が軍事的措置だそうで、臨検は42条に含まれます。で、いまアメリカは42条の制裁までを主張し(ってーことは、北朝鮮の周囲に軍艦を配置するってことだね)、一方中国は41条まで、って言ってる。結論がどっちになるかわからないけど、もし42条が採用されれば北朝鮮と米韓とのあいだで軍事的緊張が高まるのはまちがいありません。もしそうなれば北朝鮮は米軍による直接攻撃の対象となるでしょう。北朝鮮の経済状況から考えても北朝鮮軍は非常に弱体でたちまち崩壊し、アフガンやイラクのように国家体制の崩壊に行き着くでしょう。それは「核戦争」にまでいくのか? 核開発については、例え開発に成功していたとしても、まぁ1発か2発。それをアメリカまで飛ばす能力は北朝鮮にはまだありませんから、その点についての心配はまったくないので、もし北朝鮮側が軍事的挑発をすればアメリカは直接軍事介入に躊躇はしないでしょう。
●鍵をにぎるのは中国の動向
北朝鮮側もそこまでは判っている。だから、制裁されたら「宣戦布告と解釈する」と、精一杯、威勢を張ってはみても、到底戦争にまで踏み込む事はできないだろう。せいぜい「核実験」や「ミサイル発射」などのデモンストレーションを繰り返すしかやる事がない。金正日体制のジレンマはますます深く北朝鮮を被っている状態です。ここで、最大の焦点は中国の動向という事になるでしょう。日本がこれまでにない強硬措置として北朝鮮船籍の船の入港全面禁止を決定しましたが、北朝鮮の貿易全体に占める割合は大したことはない。貿易額が一番多いのは38パーセントを占める中国と28パーセントを占める韓国で、中国が42条の軍事的措置に反対しても41条に従って経済制裁を実施すれば、これは極めて大きな打撃を北朝鮮にもたらすことになります。中国はどこまで「制裁」を実施するのか。それによって北朝鮮の国家体制の展望が左右されます。経済交流の全面停止などという事になれば北朝鮮は絶望的となります。
●誰も「人民」のことを考えていない
しかし、こうした「国家間のかけひき」の中で、二千万北朝鮮人民の事はどの国もとりあげようとしていません。金正日体制の酷さは、もはや満天下に明らかですが、周辺諸国の誰もが彼らへの「制裁」を口にしながら、それが北朝鮮人民にどんな影響を与えるのかを誰も考えていない。最初に書いたように北朝鮮はもはや人民をいけにえにしたカルト国家といっていい状態であるために、どんな制裁を与えようと、支配者たちは与えられた制裁を全て人民に押しつけ、「敵の攻撃」と宣伝し敵への憎悪を扇動しながら、人民の犠牲の上にタラ腹食ってしこたま蓄財して生き延びていくに違いありません。制裁をすればするほど、人民の犠牲が増えるだけであり、また宣伝に踊らされる人民の憎悪が増すだけなのです。だから、経済制裁には何の効果も期待できないどころか、金正日体制による人民抑圧・搾取を手伝っているだけであり、むしろそれを増幅させるだけにすぎません。
●今こそ「制裁」ではなく「支援」を!
一方では北朝鮮人民の抑圧支配の上に世界と対立する金正日指導部、また他方では「制裁」の名によって人民に今以上に過酷な犠牲を与えようとする周辺諸国。双方共が、二千万の窮乏する人民を視野の外に置き去りにしたまま支配層同士のあいだだけで喧嘩をしているのが、現在のすがたです。このような欺瞞と偽善の国際的駆け引きには反対します。国家が最も重視すべきはそれぞれの国の人民であり、人民にとって最もよい結果をもたらす方向での駆け引きをしてほしいと思います。その点で、中国にはよりすばらしい「制裁」がある事に注目してほしい。それは中国に10万人~30万人くらい潜在的に移住しているといわれる「隠れ難民」です。彼らを正式に「難民」と認定し、彼らの居住・就業・通行の自由を認めるべきです。そして世界各国がこれら難民に対してあらゆる支援の手を差し伸べる事です。それが北朝鮮人民に最も希望を与えながら同時に北朝鮮支配層にも打撃を与えるものとなるでしょう。
(転載終了)
http://6305.teacup.com/mappen/bbs?
北朝鮮への制裁反対!
投稿者:まっぺん 投稿日:10月12日(木)11時53分36秒
●北朝鮮の国家的性格について
北朝鮮はスターリニスト金日成の指導のもと、未来に希望を持つ人民によって建国されましたが、その体制は共産主義に向かうのではなく、官僚化・硬直化の一途をたどり、もはやどこから見ても「共産主義」とはほとんど無縁なカルト国家にまで堕落してしまったと言えます。まがりなりにも彼の国が存立し得ているのは、まったく国民の合意によるものではなく、只々上意下達の党組織を使った国民監視体制と軍の権力とによるものでしかありません。北朝鮮人民は、いわば支配層による権力維持のための「いけにえ」であり「人質」なのです。北朝鮮二千万国民が「拉致」されているようなものです。あんな国家を「スターリニスト国家」と言ってはいけない。それでは北朝鮮を誉めすぎです。例えばオウム真理教とか統一協会が間違って国家権力をにぎったら、あんな風になるのじゃなかろうか。違うところがあるとすれば、唱えるお題目が「神ホトケの教え」と「まるくすの教え」という違いだけにすぎません。
●制裁措置とアメリカの動向
国連憲章の第41条が経済制裁で42条が軍事的措置だそうで、臨検は42条に含まれます。で、いまアメリカは42条の制裁までを主張し(ってーことは、北朝鮮の周囲に軍艦を配置するってことだね)、一方中国は41条まで、って言ってる。結論がどっちになるかわからないけど、もし42条が採用されれば北朝鮮と米韓とのあいだで軍事的緊張が高まるのはまちがいありません。もしそうなれば北朝鮮は米軍による直接攻撃の対象となるでしょう。北朝鮮の経済状況から考えても北朝鮮軍は非常に弱体でたちまち崩壊し、アフガンやイラクのように国家体制の崩壊に行き着くでしょう。それは「核戦争」にまでいくのか? 核開発については、例え開発に成功していたとしても、まぁ1発か2発。それをアメリカまで飛ばす能力は北朝鮮にはまだありませんから、その点についての心配はまったくないので、もし北朝鮮側が軍事的挑発をすればアメリカは直接軍事介入に躊躇はしないでしょう。
●鍵をにぎるのは中国の動向
北朝鮮側もそこまでは判っている。だから、制裁されたら「宣戦布告と解釈する」と、精一杯、威勢を張ってはみても、到底戦争にまで踏み込む事はできないだろう。せいぜい「核実験」や「ミサイル発射」などのデモンストレーションを繰り返すしかやる事がない。金正日体制のジレンマはますます深く北朝鮮を被っている状態です。ここで、最大の焦点は中国の動向という事になるでしょう。日本がこれまでにない強硬措置として北朝鮮船籍の船の入港全面禁止を決定しましたが、北朝鮮の貿易全体に占める割合は大したことはない。貿易額が一番多いのは38パーセントを占める中国と28パーセントを占める韓国で、中国が42条の軍事的措置に反対しても41条に従って経済制裁を実施すれば、これは極めて大きな打撃を北朝鮮にもたらすことになります。中国はどこまで「制裁」を実施するのか。それによって北朝鮮の国家体制の展望が左右されます。経済交流の全面停止などという事になれば北朝鮮は絶望的となります。
●誰も「人民」のことを考えていない
しかし、こうした「国家間のかけひき」の中で、二千万北朝鮮人民の事はどの国もとりあげようとしていません。金正日体制の酷さは、もはや満天下に明らかですが、周辺諸国の誰もが彼らへの「制裁」を口にしながら、それが北朝鮮人民にどんな影響を与えるのかを誰も考えていない。最初に書いたように北朝鮮はもはや人民をいけにえにしたカルト国家といっていい状態であるために、どんな制裁を与えようと、支配者たちは与えられた制裁を全て人民に押しつけ、「敵の攻撃」と宣伝し敵への憎悪を扇動しながら、人民の犠牲の上にタラ腹食ってしこたま蓄財して生き延びていくに違いありません。制裁をすればするほど、人民の犠牲が増えるだけであり、また宣伝に踊らされる人民の憎悪が増すだけなのです。だから、経済制裁には何の効果も期待できないどころか、金正日体制による人民抑圧・搾取を手伝っているだけであり、むしろそれを増幅させるだけにすぎません。
●今こそ「制裁」ではなく「支援」を!
一方では北朝鮮人民の抑圧支配の上に世界と対立する金正日指導部、また他方では「制裁」の名によって人民に今以上に過酷な犠牲を与えようとする周辺諸国。双方共が、二千万の窮乏する人民を視野の外に置き去りにしたまま支配層同士のあいだだけで喧嘩をしているのが、現在のすがたです。このような欺瞞と偽善の国際的駆け引きには反対します。国家が最も重視すべきはそれぞれの国の人民であり、人民にとって最もよい結果をもたらす方向での駆け引きをしてほしいと思います。その点で、中国にはよりすばらしい「制裁」がある事に注目してほしい。それは中国に10万人~30万人くらい潜在的に移住しているといわれる「隠れ難民」です。彼らを正式に「難民」と認定し、彼らの居住・就業・通行の自由を認めるべきです。そして世界各国がこれら難民に対してあらゆる支援の手を差し伸べる事です。それが北朝鮮人民に最も希望を与えながら同時に北朝鮮支配層にも打撃を与えるものとなるでしょう。
(転載終了)
http://6305.teacup.com/mappen/bbs?