アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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9条輸出こそ真の国際貢献 改憲派こそが奴隷の一国平和主義

2008年05月12日 12時14分11秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権
 日記の更新が遅くなってしまいましたが、まずはこの話題から。先日5月6日に、休みを取って9条世界会議・関西に行ってきました。9条世界会議というのは、「日本国憲法第9条の考え方を世界にも輸出しよう」という趣旨のイベントで、GW期間中に、千葉・幕張メッセを皮切りに、大阪・仙台・広島でそれぞれ開催されたものです。私が参加したのは地元・大阪でのイベントで、8千人近くの人が集まりました(4会場全体ではのべ2万2千人が参加)。

 会場となった舞洲(まいしま)アリーナへは、JR桜島線経由で行きました。GW連休最終日という事で、桜島線の車内は大混雑。私は当初、「どうせ共産党系のイベントだろう。車内の大半はUSJに向かう行楽客で、一つ手前のユニバーサル・シティを過ぎれば大分空くだろう」と高を括っていたのですが、豈図らんや、そこを過ぎても一向に車内の混雑が緩和されません。そして終点の桜島駅についたら、何と舞洲アリーナ行きのシャトルバスが運行されていて、既に長蛇の列が出来ているではありませんか。

 9条世界会議の腕章を巻いたスタッフがそこかしこに立っていたので、「会場で食べる所はありますか?」と聞いたものの、今ひとつ返事が曖昧。「ままよ、どうせ屋台か何かが必ず出ているだろう」と思いバスに乗り込みましたが、これが実は大誤算でした。バスの車内になると流石に若い人はあまり見かけなくて中年の男女が中心でしたが、驚いた事に、動員臭が殆ど感じられないのです。今まで参加した事のあるメーデーや「赤旗まつり」とも少し雰囲気が違う。規模の違いを脇において準えれば、昨年9月に沖縄で開かれた集団自決検定意見撤回県民大会も恐らくこんな感じではなかったのか。

 会場に着いたのは午前11時過ぎ。まずは昼食の確保をと思いきや、屋台や弁当販売の類などは一切皆無。会場隅にレストランがあると聞いてやっと訪れたものの、既にランチもおにぎりも売り切れで、うどん・そばもいつ売り切れるか分からないとの事。慌ててかけそばを注文し、それと近くで売っていたフランクフルトで、どうにか腹ごしらえを終える事が出来ました。
 メーン・ホール前のブースには、お馴染みの生協や新婦人やAALAだけでなく、それ以外の「ふぇみん・婦人民主クラブ」やアタック関西、イラク平和テレビなどの市民団体も出展していて、これが単なる共産党系だけには止まらない広がりを持つイベントである事が、初めて実感出来ました。そういえば9条茶とかいうものも売っていたな。手頃な250mlサイズが無かった事もあり、「どうせ中身は普通のお茶だろう」と思って、私は買いませんでしたが。

 午後からは愈々メーン企画の始まりです。前半に在阪の大学生数人によるメッセージがあり、その後、戦後の憲法起草で活躍したベアテ・シロタ・ゴートンさんを初めとする海外ゲストの紹介が為され、中盤には休憩を挟んで小山乃里子さんと香山リカさんの対談や、私が心待ちしていたソウル・フラワー・ユニオンのライブなどがあり(私の参加目的の半分はこれが目当て)、当日夕方からのバイトに間に合うギリギリの時間まで、そのライブ演奏を堪能しました。
 その他の詳しい途中経過は、AMLの報告を参照して下さい。日記更新が遅れているし、私が書いても結論はほぼ同じなので、そこはもう「超・手抜き」しますw。ここでは印象に残った事だけを幾つか。

 前半の在阪大学生メッセージの中で、「私は実は改憲派」だと堂々と名乗った人もいて、少し驚かされました。但し、その方は「改憲派の私にもモノが言える護憲集会であって欲しい」「改憲であろうと護憲であろうと、堂々とモノが言える世の中であって欲しい」という趣旨の発言をされていたので、私的にはもうそれで納得。
 その後に登場のパネリストも多士済々で、先述のベアテ・シロタ・ゴートンさん以外にも、インド出身の国際法律家協会会長や、イラク反戦兵士エーラン・ワタダ中尉の活動を支援している米国の退役軍人、台湾にも憲法9条を広めようと活動している准教授などが紹介されていました。

 世界には既に軍隊の無い国が27ヶ国もあるという話も、その中で出されました。それらの非武装国家の大半は北欧・EU圏や南太平洋の小国で、中には米国に防衛・経済の首根っこを押さえられている国々も少なくありません。しかし、それらの国々でも日本と同様に、対米追従派とのせめぎ合いの中で非核平和政策が追求されている、というお話でした。
 その代表的な国が中米のコスタリカ。先住民が早くに駆逐された為に(これはこれで問題有りだと思う)、貧富の差の少ない白人同質社会が出来上がり、民主主義を支える下地が出来た事。米軍基地こそないものの、米国に経済的に支配されている事。近隣のニカラグア革命やパナマ運河返還運動への干渉基地として同国を利用しようとする動きがあり、その動きとのせめぎ合いが続いている事。イラク戦争の折りもそれが表面化し、政府の派兵容認政策をくい止める事に成功した事など、日本との比較で色々考えさせられました。
 それと同時に、キューバが若し北朝鮮や中国の代わりであったならば、東アジアもとっくに、今の南米大陸の様に新自由主義を放逐出来ていたのに、という想いが頭をよぎりました。北朝鮮拉致ではなくキューバの無料医療スタッフが日本で活躍していたら、今頃は医療難民の問題などとうに解決されているのに。中国も、タンザン鉄道建設の例に見られるように、かつてはそういう時期があった筈なのに。

 そして、15時半過ぎからは、愈々お待ちかねのソウル・フラワー・ユニオンのライブが始まりました。私もその名前だけは知っていたものの、実際に彼の人たちの演奏を聞くのは初めてで、ボリュームに圧倒されました。
 演奏曲目は「海行かば 山行かば 踊るかばね」「インターナショナル」「平和に生きる権利」などでしたが、その中でも特に圧巻だったのが「うたは自由をめざす!」。演奏された歌詞にソウル・フラワーの面々が更に即興でアドリブを加え、「バグダッドから、ノース・コリアから、オキナワから、チベットから、うたは自由をめざす!」と歌っていたくだりなど、正にこのブログのテーマとぴったりじゃないですか。
 かつてはイラク反戦サウンドデモの音量に尻込みしていた私ですが、このライブを聞いた後では、それまで馴染んでいた「うたごえ運動」の曲が、何かすごく物足らないものに思えてきました。「インターナショナル」や「平和に生きる権利」は「うたごえ」の曲にもありますが、インパクトが全然違う。帰りがけに大枚はたいてソウル・フラワーのCDを買いましたが、そこには「うたは自由をめざす!」は収録されていませんでした
 
 そういう事で「世界は9条を選び始めた」事を実感できたイベントでしたが、世間では相変わらず産経新聞が、お仲間の読売新聞ですらそれなりに紙面を割いて取り上げた9条世界会議のニュースも完全に黙殺して、その価値を腐す様な言論ばかりを垂れ流している様です。
 当該記事によると、特定失踪者調査会の代表が「9条の所為で拉致問題が起こり、拉致被害者の救出が阻まれている」という趣旨の発言をしたとの事ですが、何をか況やです。かつての「ソ連が攻めてくる」式の使い古された反共攻撃を、北朝鮮・中国に置き換えただけのものにしか過ぎません。しかし、未だにこういう言論が世間ではまだまだ幅を効かせている現状がありますので、最後に反論しておきます。

 この人が言っているのは、「日本も再武装して北朝鮮・中国に対抗していかなければならない」という事でしょう。つまり「国家主義には国家主義で対抗するしかない」と。しかし、そんな事をしたら、北朝鮮・中国みたいな国が、東アジアにもう一つ誕生してしまうだけじゃないですか。
 「いや、日本や米国は自由で民主的な国なので、北朝鮮・中国みたいにはならない」というつもりなのかも知れませんが、一体こんな国の何処が自由で民主的なのか。確かに北朝鮮やミャンマーよりは「見せかけの自由」はあるかも知れませんが、格差社会やネットカフェ難民、老人姥捨て山の現状を考えると、人が人として尊重されていないという点では、本質的には北朝鮮・中国と全く同じじゃないですか。否、民衆支配の仕組みがより巧妙である分、余計に悪質であるとも言える訳で。

 そういう現状を抜きにして、高飛車に「日本を守れ」だの何だのと言われても、そんな論理は到底受け入れられません。この人は、最近は日本政府や「救う会」にも物申すみたいな態度を取っていますが、何の事はない、北朝鮮・中国の人権をダシにして、「下見て暮らせ傘の下」と「国体護持」の説教を垂れているだけではないですか。これでは政府や「救う会」と五十歩百歩です。
 私たちの目指す平和は、そんな欺瞞的なものではありません。今の日米の「見せかけの自由・平和・民主主義」でも、勿論北朝鮮・中国のソレでもない、真に自由・平等で人間が尊重される「もう一つの世界」を目指す、ある意味「自らの生存と尊厳を賭けた闘い」でもあるのです。これは単なる「安寧秩序」(奴隷の平和)だけを求めるものではなく、同時に「生存権」の確立をも求めて、世界の人々と共に歩んでいこうという主張なのです。

 私から見たら、この特定失踪者調査会代表の言っている事の方がよっぽど、「日本さえ好ければそれで良い」という「一国平和主義」であり、只の現状追認・復古反動・戦争美化・弱肉強食肯定の「奴隷の平和」「勝ち組平和」「ウヨクお花畑」でしかありません。
 北朝鮮拉致が日本だけでなく韓国・タイ・レバノン・ルーマニアなど世界各地で起こっている事一つとっても、「9条の所為で拉致問題が起こった」という言説の破綻は明らかです。北朝鮮・中国の独裁や人権侵害を無くすには、根本的にはそれを生み出した戦争・対立・抑圧・貧困の世界体制そのものを突き崩し、世界をもっと民主的なものに変革していく事しかありません。北朝鮮・中国に対抗して「もう一つ別の北朝鮮・中国」を作る事では、断じてありません。
コメント (1)
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