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ついに小泉・安倍政治から脱却へ

2009年09月02日 16時38分53秒 | 未完の政権交代
 

 今度の総選挙が「民主ボロ勝ち、自民ボロ負け」に終わった理由?そんなモン、これまでの自公与党の政治が、トコトン国民から見放されたからに決まっているではないですか。石破茂(自民党)や前原誠司(民主党)などの当事者自身が、自分のブログや開票速報でのインタビューで、いみじくも語っている様に。それ以外に、他にどんな理由があるというのでしょうか。
 その具体的現われが、自分は当用漢字も碌に読めないくせに平気で人の神経を逆撫でする発言を繰り返して平然としていた麻生太郎であったり、国民には偉そうに躾や道徳を説きながら自分の健康管理も出来ない中川昭一であったりした訳ですが、ではそういう失言や失態さえ無ければ、自民党はこの選挙で勝てていたのかというと、そんな訳ないでしょう。

 また、民主党の公約が国民から絶大な支持を受けたから、自民党に大勝したのかというと、それも無いでしょう。民主党の公約なんて、その場その場でくるくる変わるし、中にはまともなものもあれば(後期高齢者医療制度撤廃や派遣法改正など)、自民党のバラマキや大資本優遇策と瓜二つで、国民から不信・不評を買っていたものもあったのですから(子ども手当創設や高速道路無料化、日米FTA推進など)。
 つまり、「民主党が国民から支持されたのではなく、自公与党が国民から愛想を尽かされた」のです。その中で、「今の大政党に有利な小選挙区制の下で、自民党政治を手っ取り早く終わらせるには、野党第一党の民主党に票を集中させるしか無かった」、これに尽きます。

 では、国民は自公与党の政治の何処に愛想を尽かしたのか。産経新聞や一部のバカウヨが言うように、「小泉構造改革が不徹底で、終戦記念日に靖国神社に参拝しなかったからw」なのか。それも、そんな筈あるわけないでしょう。偏に、自公与党が進めた弱肉強食(新自由主義、市場原理主義)の格差政治と、それに対する不満や怒りを、強行採決と北朝鮮・中国脅威論、何でも過去美化の歪んだ愛国心扇動で封じ込めようとした姑息さに、国民が「NO!」を突きつけたからに他なりません。それ以外に、一体どんな理由があると言うのでしょうか。
 まあ私としては、そんな産経やウヨクの言い分を、自民党が真に受けて、どんどん国民の思いとかけ離れ、真の保守党(維新政党新風や幸福実現党みたいな極右カルト政党)として再生(転落)してくれた方が、政党の正体がはっきりして(政治が分かりやすくなって)良いと思いますが。勿論、これは民主党内の「隠れ自民」派にも言える事ですが。

 その中で、これまでの自公与党を圧倒してボロ勝ちした民主党ですが、改めて面白い事に気付かされました。それは、私自身は心情的に左派であり、自分の考え方に一番近い政党は共産党、次いで社民党で、民主党はそれよりも遥かにかけ離れていて、自民党よりは多少マシぐらいにしか思っていなかったのが、今の民主党とも結構考え方が近いという事に、改めて気付かされた事でした。
 それが、毎日新聞がウェブサイトで行っていた世論調査「えらぼーと」です。携帯サイトでは10項目、PCサイトでは20項目のアンケートを、総選挙の候補者に施すと同時に、個人もインターネットでそれに回答する事で、それぞれの一致度から、自身と候補者の両方の政治傾向を割り出せるというものです。
 この世論調査のミソは、民主党みたいな寄り合い所帯の政党の候補者に対しても、個別の政治的立場がかなり炙り出されるので、投票する際の判断材料に出来る点です。私もこれを見て、最終的に選挙区は民主党候補に投票を決めました(比例区は共産党に投票)。下記がそのアンケートの結果です。公示日の数日後に行いました。

■質問項目(括弧内は私の回答と、民主党との一致度)
(1)憲法9条改正(反対、62%)、(2)集団的自衛権(見直さず、58%)、(3)核武装(検討せず、90%)、(4) 国会議員の世襲(制限、94%)、(5)衆院定数削減(反対、4%)、(6)企業・団体献金(禁止、90%)、(7)政界再編による議員の政党所属変更(問題ない、8%)、(8) 政治家と官僚の関係(抜本変更、97%)、(9)郵政民営化(失敗、91%)、(10)取調べの可視化(賛成、95%)、(11)小泉構造改革(否定、97%)、(12)消費税率引上げ(反対、94%)、(13)温室効果ガス削減(もっと減、81%)、(14)環境税(導入、84%)、(15)年金財源(税方式、81%、但し今の消費税増税先に在りきの論議の中ではこれは保留)、(16) 製造業への労働者派遣(禁止、76%)、(17) 最低賃金時給千円(賛成、87%)、(18)日米関係(アジア重視で、62%)、(19)アフガン派遣(反対、66%)、(20)北朝鮮政策(未回答なのでデータなし、選択肢が制裁強化・国交正常化の二択しかなく、それ以外の脱北者支援による民主化促進が無かった為)
http://mainichi.jp/select/seiji/eravote/09votematch/etc/?result=2424141344142312221244242312221414242402
※政党別・候補者別の回答一致度については、上記URLからそれぞれの詳細ページをクリックする事で確認出来ます。

 上記結果からも分かる様に、民主党候補の回答が、予想以上に自分の回答に近かったのです。例えば、政党との一致度で、共産・社民との一致度がほぼ100%に近いのは当然としても、民主党とも7割以上の一致度を示している事が、改めて分かりました。9条改憲・郵政民営化・製造業派遣・アフガン派兵の可否についての質問にも、6割以上の候補者が反対の回答を寄せているのです。
 実際、開票速報を見ながら、民主党の選挙区候補について、北海道から順に北関東まで見た限りでは(ここで調査挫折)、圧倒的多数の候補者が、それらの項目にも反対の回答を寄せていました。ただ、小沢一郎や鹿野道彦もアンケートでは9条改憲・アフガン派兵には反対と回答していたりして、このアンケートの結果もどこまで信用して良いか分からないし、東海・近畿などの「松下政経塾」出身者の多い地域では、また少し違う回答の出方になっていたかも知れませんが。

 確かに、これらのアンケートの回答については、当選するまでのポーズにしか過ぎないかも知れません。そして、この選挙結果が、所詮は政治全体の右傾化基調の中での、「なんちゃって左派」の失地回復にしか過ぎない事も、元より重々承知の上です。今や「左巻き」思考の典型の様に思われている「平和憲法・非核三原則擁護」や「生存権擁護・格差社会反対」の主張も、一昔前には自民党ですら口にしていた、国民大多数の意見だったのですから。
 しかし、たとえそれが選挙前のポーズにしか過ぎず、また右傾化の中での相対的な「左派」浮上でしかないとしても、候補者にそれを強いているという事については、もっと自信を持って良いと思います。

 小泉政治の登場以来この方、「平和憲法・生存権擁護」を唱える人たちは、ネオコン・ネオリベ・ネットウヨに押されて防戦一方でしたが、今回の選挙結果で、「逆転大勝利」とまでは言えないにしても、「侵略者を当初の国境線まで一気に押し戻す事が出来た」ぐらいには評価出来るのではないでしょうか。この傾向は既に先の参院選で明らかになっていましたが、やはり衆院選での結果となると、その重みはまた違います。
 これは別の言い方をすると、外見上は、共産・社民の明白な護憲政党が現状維持に止まり、保守二大政党制への流れも強まったものの、その裏では、脱「小泉・安倍政治」派が巻き返しに成功しつつあるとも、言えるのではないでしょうか。(ここで現職総理の麻生ではなく小泉・安倍を引き合いに出しているのも、それ以降の政権はいずれも両者による政治の亜流・変種にしか過ぎないからです。)

 そういう意味では、共産・社民の両党は、今回議席こそ伸び悩んだものの、早い段階から反貧困運動に取り組み、民主党の「左傾」化・「鮮明野党」化にも一定貢献し、今の「自公退陣・民主躍進」の流れを作ってきた事については、もっと自信を持って良いと思います。小選挙区制の影響もあって、自分たちの議席増にこそ結びつかなかったものの、代わりに民主党を「平和憲法・生存権擁護」の方に引き寄せる事が出来たという意味では、「名を捨てて実を取る事が出来た」と言う事も出来るのではないでしょうか。そこが、ますます国民から遊離して極右カルト化の道を辿るしか能の無い自民党とは、決定的に違います。
 問題は、党内6割の護憲派ではなく、残り4割の、いつ古巣の自民党に戻っても不思議ではない改憲・新自由主義派が、依然として民主党の執行部を牛耳っている事ですが(小沢・鳩山を筆頭に)、彼の人たちとて、下手に過去の自民党政治に戻ろうとすればするほど、国民世論との板ばさみに遭って立往生に陥る事については、充分分かっているのではないでしょうか。

 この現象は、改憲・新自由主義派にとっては、少なくない誤算でした。小選挙区制・保守二大政党制の下で、自民・民主の政権たらい回しによって、今までの政治のやり方を続けようと思っていたのに、思っていた以上に民主党が「左傾化」してしまったのですから。残る手立ては、比例区定数削減で、「平和憲法・生存権擁護」派を完全に国会から閉め出してしまう他ありません。
 しかし、それで政権が一時的に持ったとしても、それは「矛盾の先送り」にしかなりません。そんな事をすればするほど、国民の不満は滞留して、いつ何時爆発するかも知れません。それが更なる政権交代(或いはもっと進んで市民革命)に至るか、逆に戦前の様にファシズムの方向に絡め取られてしまうかは、今では何とも言えませんが。

 そういう観点から捉えれば、これを一面的に「国民の勝利」と<だけ>捉えて、「失地回復に成功した」「逆転大勝利だ」と唱えるのも、聊か無理があると思います。あれだけ「蟹工船」ブームや「派遣切り」が問題になったのにも関わらず、共産・社民の比例票が全然伸びなかったのは、一帯何故なのか。今の情勢下では、小選挙区票こそ「手っ取り早く自公政治を終わらせる為に」民主党に票が流れこそすれ、比例票では民主党だけでなく共産・社民両党や国民新党も票を伸ばして然るべきなのに、何故そうならなかったのか(共産491万→494万の微増、社民に至っては371万→300万の減)。
 その解明をしないまま、一時の政権交代だけに酔いしれて小成に安住していると、気付いた時には更なる政権交代(市民革命)どころか、より反動的・極右的なファシズムの方に絡み取られている可能性もあります。そういう意味では、今回の政権交代は、「やっと古臭い自民党政治から抜け出しつつある」という意味では、それ自体が大変貴重な一歩である事は間違いないものの、あくまでも「最初の本格的な一歩にしか過ぎない」と思います。
コメント (17)
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