私の職場でも以前から話に上っていた契約変更の件が、ここに来て、いよいよ具体的に姿を現してきました。
その前段として、繰り返しになりますが、まずは私の雇用関係についての説明から。私が勤めているのは某大手スーパー(ここでは仮にA社とする)の物流センターで、私はそのA社の仕事を請け負っている業務請負会社(同じくB社とする)の契約社員として働いています。今はもうどこの企業でもそうですが、A社でも人件費削減の為に、製造・物流などの現業部門は、下請けの業務請負会社や派遣会社に丸ごと委託しています。謂わばB社は、幾つかあるA社の一次下請企業のうちの一つです。そして、業務量の変動に応じて、B社の社員だけでは仕事が終わらない時は、B社からまた派遣会社(同じくC社とする)に要請して人手を手配します。派遣会社も幾つか馴染みの所が数社あり、いずれもA社から見れば二次下請に当たります。
以上、話を分かりやすくする為に、敢えて単純化して説明しました。この発注元A社―請負B社―派遣C社の関係については、この後も何度も出てきます。話がゴッチャにならない為にも、まずここでご理解しておいて下さい。
その中で、A社では、大阪市内にある幾つかの物流拠点を、新センターに統合する話が進んでいました。その新センターの稼働日が、この10月12日なのです。残務との兼ね合いもあって、実際は半数ずつの異動となりますが、私も含めた後発隊メンバーも、その後一週間もすれば新センターの方に移ります。
その今回の異動ですが、A社の正社員にとっては、業務引継ぎの苦労はあっても、私たち下請けからすれば、単に就業場所の変更にしか過ぎません。異動先も同じ大阪市内です。しかし、私たち下請けは違います。それは、これを機に、A社が諸々の契約変更を提示してきたからです。当初は「そんな条件では雇用の確保は難しい」と難色を示していたB社も、最終的にその条件を呑む事になりました。以下がその主な変更内容です。
(1) 一次下請けから二次下請けへ。A社としては、本当は請負企業をB社からD社に切り変えたかった様です。このD社は、既に関東地方ではA社業務を請負っています。A社としては、これを機にD社に一本化するつもりだったのでしょう。しかし、B社がしぶとく食い下がった為に、B社もD社の下請けとして参入する事になりました。実際に新センターの業務を担うのはB社ですが、形式上はD社からの孫請けの形となります。
謂わば、発注元A―請負D―請負Bという「二重請負」(重層下請)の形になる訳ですが、派遣会社では違法に為る「二重派遣」とは違い、請負会社を規制する法律が皆無なので、現状では全然違法とはならず、ピンハネされても何も言えないのが癪に障る。
(2) それに伴う人件費コストの削減。
1.時給切り下げ(900円→880円)。
2.大阪市外からの通勤用送迎便(マイクロバス)の廃止。送迎便は市内直近の駅からのものだけとなる。これによって、只でさえ早い出勤時間(午前7時始業)の中で、私は今より更に45分早起きし、早朝5時半発の電車に乗って通勤しなければならなくなった。その代替措置として、通勤交通費が上限月額1万円まで支給される事になったが、それでも足が出る事には変わらない。
3.社会保険の切り替え。健康保険は、今までの健保組合から脱退し、協会けんぽ(旧・政府管掌保険)に変更。厚生年金も別のものに切り替わるらしいが、そちらは会社の総務が全て手続きするので、従業員は何もしなくても良いらしい。但し、厚生年金基金は非加入になるとの事だが、そもそも厚生年金と厚生年金基金の違いがよく分からない。
まあ、こんな感じです。私からすれば、時給が900円から880円に下がるのは、D社に賃金ピンハネされている様なものです。普通、勤続年数が延びれば賃金は上るものだろう。「今やそういう時代ではない」と言われればそれまでだが、それでも定昇維持すらでなく、賃下げとは。
健康保険の切り替え(政管への移管)にしても、B社の説明では「月々の保険料が数百円上るだけ」とだけ聞いていたが、とんでもない。今まで政府の管掌だったのが、この社会保険庁の解体で、この10月からは全国健康保険協会に丸投げされる事が分かった。この協会だが、名称こそ全国と付いているものの、実質は協会の都道府県支部による独立採算制で運営されている。その為、大都市圏と地方の都道府県との間では、やがて保険料や給付内容で大きく差が出るようになる、そういうとんでもない保険らしい(下記参照)。
成る程、それが社会保険庁改革の本当の狙いだったのか。「消えた年金」への庶民の怒りを逆手にとって、木っ端役人のお役所仕事ぶりや、カラ残業などの官公労の不正を論い、民営化に世論誘導。しかし、そんな木っ端に役人根性を植えつけて官公労を丸め込んだ高級官僚どもの天下りや、政・官・財の癒着に対する追及は、いつも途中でウヤムヤにされて。そうして、気が付いた時には、民営化・市場化による公共サービスの低下のみが残されて。何の事は無い、郵政民営化の時のやり口と、全く同じじゃないか。
・新制度「協会けんぽ」のもたらすもの…政管健保廃止で都道府県支部に移行(保団連)
http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/080903kenpo.html
・「協会けんぽ」と都道府県別保険料率制度(レイバーネット)
http://www.labornetjp.org/news/2008/1223189335628zad25714
それで、実は私の方でも、別の就職口を探していたのですが、碌な求人がないのです。昔は、就職難と言えば「正社員の口が無い」という事で、パート・バイトについては対象外だったのが、今はパート・バイト求人の奪い合いになっています。「フォークリフトのオペレーター若干名募集、時給900円、昼勤8時間労働で多少残業あり、直接雇用、社会保険加入」といった、一昔前ならごく普通の何の変哲も無い求人が、奪い合いになっているのですから。後に残っている求人は、遅かれ早かれ「派遣切り」されるのが見え見えの、ロクでもないものばかり。
今ここでB社を退職したら、「糧の確保」すらママならなくなる。とりあえずは、新センター移行に伴うシステム変更はあっても、扱う商品や作業内容は基本的に今までと同じで、引き続き慣れた仕事に就けるだけでも、好としますか。しかし、如何にも、強欲資本家によって、こちら側の足元を見透かされている様で、私としては非常に嫌な気分なのですが。
ただ、ブログ更新に割ける時間は、今以上に限られたものになるだろう事だけは、確かでしょう。近々、新センターの見学も予定されているので、そちらの現場写真も、可能なものは、このブログでアップする事にします。
※この後日談については、10月20日付記事「今日から新異動先に出勤」を参照。
その前段として、繰り返しになりますが、まずは私の雇用関係についての説明から。私が勤めているのは某大手スーパー(ここでは仮にA社とする)の物流センターで、私はそのA社の仕事を請け負っている業務請負会社(同じくB社とする)の契約社員として働いています。今はもうどこの企業でもそうですが、A社でも人件費削減の為に、製造・物流などの現業部門は、下請けの業務請負会社や派遣会社に丸ごと委託しています。謂わばB社は、幾つかあるA社の一次下請企業のうちの一つです。そして、業務量の変動に応じて、B社の社員だけでは仕事が終わらない時は、B社からまた派遣会社(同じくC社とする)に要請して人手を手配します。派遣会社も幾つか馴染みの所が数社あり、いずれもA社から見れば二次下請に当たります。
以上、話を分かりやすくする為に、敢えて単純化して説明しました。この発注元A社―請負B社―派遣C社の関係については、この後も何度も出てきます。話がゴッチャにならない為にも、まずここでご理解しておいて下さい。
その中で、A社では、大阪市内にある幾つかの物流拠点を、新センターに統合する話が進んでいました。その新センターの稼働日が、この10月12日なのです。残務との兼ね合いもあって、実際は半数ずつの異動となりますが、私も含めた後発隊メンバーも、その後一週間もすれば新センターの方に移ります。
その今回の異動ですが、A社の正社員にとっては、業務引継ぎの苦労はあっても、私たち下請けからすれば、単に就業場所の変更にしか過ぎません。異動先も同じ大阪市内です。しかし、私たち下請けは違います。それは、これを機に、A社が諸々の契約変更を提示してきたからです。当初は「そんな条件では雇用の確保は難しい」と難色を示していたB社も、最終的にその条件を呑む事になりました。以下がその主な変更内容です。
(1) 一次下請けから二次下請けへ。A社としては、本当は請負企業をB社からD社に切り変えたかった様です。このD社は、既に関東地方ではA社業務を請負っています。A社としては、これを機にD社に一本化するつもりだったのでしょう。しかし、B社がしぶとく食い下がった為に、B社もD社の下請けとして参入する事になりました。実際に新センターの業務を担うのはB社ですが、形式上はD社からの孫請けの形となります。
謂わば、発注元A―請負D―請負Bという「二重請負」(重層下請)の形になる訳ですが、派遣会社では違法に為る「二重派遣」とは違い、請負会社を規制する法律が皆無なので、現状では全然違法とはならず、ピンハネされても何も言えないのが癪に障る。
(2) それに伴う人件費コストの削減。
1.時給切り下げ(900円→880円)。
2.大阪市外からの通勤用送迎便(マイクロバス)の廃止。送迎便は市内直近の駅からのものだけとなる。これによって、只でさえ早い出勤時間(午前7時始業)の中で、私は今より更に45分早起きし、早朝5時半発の電車に乗って通勤しなければならなくなった。その代替措置として、通勤交通費が上限月額1万円まで支給される事になったが、それでも足が出る事には変わらない。
3.社会保険の切り替え。健康保険は、今までの健保組合から脱退し、協会けんぽ(旧・政府管掌保険)に変更。厚生年金も別のものに切り替わるらしいが、そちらは会社の総務が全て手続きするので、従業員は何もしなくても良いらしい。但し、厚生年金基金は非加入になるとの事だが、そもそも厚生年金と厚生年金基金の違いがよく分からない。
まあ、こんな感じです。私からすれば、時給が900円から880円に下がるのは、D社に賃金ピンハネされている様なものです。普通、勤続年数が延びれば賃金は上るものだろう。「今やそういう時代ではない」と言われればそれまでだが、それでも定昇維持すらでなく、賃下げとは。
健康保険の切り替え(政管への移管)にしても、B社の説明では「月々の保険料が数百円上るだけ」とだけ聞いていたが、とんでもない。今まで政府の管掌だったのが、この社会保険庁の解体で、この10月からは全国健康保険協会に丸投げされる事が分かった。この協会だが、名称こそ全国と付いているものの、実質は協会の都道府県支部による独立採算制で運営されている。その為、大都市圏と地方の都道府県との間では、やがて保険料や給付内容で大きく差が出るようになる、そういうとんでもない保険らしい(下記参照)。
成る程、それが社会保険庁改革の本当の狙いだったのか。「消えた年金」への庶民の怒りを逆手にとって、木っ端役人のお役所仕事ぶりや、カラ残業などの官公労の不正を論い、民営化に世論誘導。しかし、そんな木っ端に役人根性を植えつけて官公労を丸め込んだ高級官僚どもの天下りや、政・官・財の癒着に対する追及は、いつも途中でウヤムヤにされて。そうして、気が付いた時には、民営化・市場化による公共サービスの低下のみが残されて。何の事は無い、郵政民営化の時のやり口と、全く同じじゃないか。
・新制度「協会けんぽ」のもたらすもの…政管健保廃止で都道府県支部に移行(保団連)
http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/080903kenpo.html
・「協会けんぽ」と都道府県別保険料率制度(レイバーネット)
http://www.labornetjp.org/news/2008/1223189335628zad25714
それで、実は私の方でも、別の就職口を探していたのですが、碌な求人がないのです。昔は、就職難と言えば「正社員の口が無い」という事で、パート・バイトについては対象外だったのが、今はパート・バイト求人の奪い合いになっています。「フォークリフトのオペレーター若干名募集、時給900円、昼勤8時間労働で多少残業あり、直接雇用、社会保険加入」といった、一昔前ならごく普通の何の変哲も無い求人が、奪い合いになっているのですから。後に残っている求人は、遅かれ早かれ「派遣切り」されるのが見え見えの、ロクでもないものばかり。
今ここでB社を退職したら、「糧の確保」すらママならなくなる。とりあえずは、新センター移行に伴うシステム変更はあっても、扱う商品や作業内容は基本的に今までと同じで、引き続き慣れた仕事に就けるだけでも、好としますか。しかし、如何にも、強欲資本家によって、こちら側の足元を見透かされている様で、私としては非常に嫌な気分なのですが。
ただ、ブログ更新に割ける時間は、今以上に限られたものになるだろう事だけは、確かでしょう。近々、新センターの見学も予定されているので、そちらの現場写真も、可能なものは、このブログでアップする事にします。
※この後日談については、10月20日付記事「今日から新異動先に出勤」を参照。