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続・八ッ場ダム問題考―毒食らわば皿までも

2009年09月28日 23時00分32秒 | 未完の政権交代
 

 先日アップした八ッ場ダム関連記事の続きです。
 「薮蛇」とはこんな事を言うのでしょうか。鳩山新政権の苦難の船出を印象付けるかのような報道ぶりから始まった、この八ッ場ダム建設見直し問題ですが、ネガティブ報道の当初意図とは逆に、このダム建設の恥部が続々と明るみに出てきました。建設推進派による「やらせ」インタビューから、自民党政権時代から続く国交省職員の関連公益法人・ゼネコンへの天下り、巨額補償金の闇から鉱毒汚染の隠蔽まで、もう底なしの様相を示し始めています。

 まずは9月28日付「日刊ゲンダイ」の下記記事(写真左上)から。
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 群馬県は総理大臣を4人も出した保守王国だし、長野原町には古くから地元のドンもいる。テレビに出て、ダム中止に怒りをあらわにする住民は、「群馬を牛耳ってきた自民党の関係筋ばかり」(事情通)だという。そうでない地元民は、「おかしいと思っても口には出せない。あからさまにダム建設の中止を訴えれば、あとで何をされるか分らない」と語る。しっぺ返しを恐れているから、反対の声が聞こえてこないわけだ。ダム中止反対は、いわば「つくられた民意」(前出の事情通)というから変な話だ。
 もうひとつ、彼らを”推進派”に押しやっているのが「補償金」だ。これまでほとんど報じられていないが、この問題が地元民を縛っている。
「補償金問題は表に出ず、ブラックボックスになっているのが現実です。」
 こう指摘するのは、「八ッ場ダム・足で歩いた現地ルポ」の著者で、ジャーナリストの鈴木郁子氏だ。
(中略)
「立ち退きのための補償金については個々の家の資産によってマチマチで、どこも言いたがりませんし、情報公開を取っても非開示なのです」(前出の鈴木郁子氏)
 本紙の取材では最高の家で10億円近いとささやかれていた。
 移転を決意した人にとって、こうした補償制度が見直されたり、元に戻ることが怖い。それで「ダム建設を計画通りに進めてほしい」の合唱になるわけだ。すでにダム建設予定地周辺には、道路建設費も含めて3217億円の税金が投じられている。ダム本体建設にはさらに1400億円が予定され、そういった工事をアテにしている地元民も多い。地元観光協会や旅館関係者はダム完成後の新しい観光地に期待している。ここで中止は死活問題というのもうなずける。
 しかし、民主党は生活再建を支援するための特別措置法を準備し、何も過去の補償金を召し上げるつもりもない。国が買い上げた田畑をもう一度借りて農業を続ける方法だってある。
 世間は水没住民に同情する人ばかりではない。騒動拡大以来、長野原町の役場には全国から「ダム建設中止は当然だ」「地元だけの損得で反対するな」という抗議の電話が殺到している。(後略)
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 正にアメとムチ。なるほど、そうやって反対運動を切り崩し、住民の口を封じてきたのか。しかも、話はそれだけに止まらない。そこまでして建設推進に固執する八ッ場ダムが、これがまた普通のダムには非じ、相当イワクつきの”物件”なのだ。

 以下、「八ッ場あしたの会」HPの記述から抜粋。
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品木ダムでは、中和によって生じた大量の中和生成物と土砂からなる沈殿物を浚渫、脱水し、流域内の周辺山林を借り受けた処分場で埋め立て作業を行っています。上流の火山性の脆い地質が原因で、品木ダムに流入する土砂は当初の予測より遥かに多く、堆砂率はすでに8割を超えていますが、次第に処分場の用地確保が難しい状況となっています(浚渫物はヒ素を含むため、流域外での処分が困難)。中和、浚渫、沈殿物の処分などの総費用は、人件費も含めて年間10億円となっています。
(品木ダムの堆砂データ:略)
中和事業によって、吾妻川の水質は弱酸性となりました(八ッ場ダム予定地で、pH4.77~5.99)。しかし八ッ場ダムが完成した場合、品木ダムが満杯になれば、中和生成物は八ッ場ダムに流入し、八ッ場ダムは中和生成物の沈殿池を兼ねることになります。藻類の異常増殖と相まって、ダム湖は異様な色を呈し、地域にとってマイナスイメージとなることは確実です。
また、中和生成物の流入は、堆砂率の進行要因となり、ダムの寿命を一層短くすることにもつながります。
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 前回記事でも少し触れましたが、火山地帯を流れる吾妻川は、元々は魚も棲めない強酸性の「死の川」でした。八ッ場ダムの建設に先立って、まず川の水質を中和しなければなりませんでした。その為に、八ッ場ダムのさらに上流に作られたのが品木ダムでした。
 このダムは、水質中和の為に上流の支流で投入された石灰ミルクと川の水を、互いに混ぜ合わせてPH値を平常に保つ為に作られました。
 そうまでして、やっとどうにか川の水質をダムの使用に耐え得るレベルにまで改善する事が出来たのですが、その品木ダムも、数十年後には土砂や中和生成物のヘドロが堆積して、使いものにならなくなります。そうなれば今度は八ッ場ダムが、品木ダムに代わりに中和用ダムとして、上流の火山・温泉・鉱山からの硫黄や砒素を含んだ毒水を溜め込む事になるのです。
 もはやここまで来ると、「毒(巨額補償金)食らわば皿(毒水)までも」という他ありません。正しく喜悲劇以外の何物でもない。この一事を以ってしても、日本は明治時代の足尾銅山鉱毒事件の昔から、何も変わっていないのではないかと、思わざるを得ません。水俣病やイタイイタイ病の悲劇を、また繰り返すつもりなのでしょうか。
(下記画像は上から順に、現場周辺図、石灰投入、品木ダム湖などの映像)
 
 
 

 最後に、八ッ場ダム問題に関する所謂「改革派」知事のスタンスも見ておきましょう。同じ「日刊ゲンダイ」の同日付第一面の記事に、彼らの発言が載っています。それらの発言からも、自称「改革派」のこれら知事が、実際はこれまでの保守系知事ともさして変わらない事がよく分かります(下記参照)。こんなエセ「改革派」「地方分権」偽装の「隠れ自民」には、くれぐれも騙されないようにしなければいけません。こいつらも「毒食らわば皿までも」一味の立派なお仲間です。

○上田清司(埼玉県知事)
「民主党の公約そのものがルールを無視したもの。」「カネを返せばいいというものじゃない」
○森田健作(千葉県知事)
「私も視察に行ったが、あの状況で止めるのは大変。地元の人達の国への信頼もなくなり、協力への躊躇が出るのではないか。」
○石原慎太郎(東京都知事)
「基本的に建設反対に反対。7割もできているプロジェクトをやめる意味は、理解できない。」
コメント
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