アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

当ブログへようこそ

 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

 これが、当ブログの主張です。
 詳しくは→こちらを参照の事。
 「プレカリアート」という言葉の意味は→こちらを参照。
 コメント・TB(トラックバック)については→こちらを参照。
 読んだ記事の中で気に入ったものがあれば→こちらをクリック。

正社員や無期転換よりも限定正社員が一番マシ

2018年03月07日 23時17分56秒 | モリカケも忖度もない公平な社会を

 2013年4月の労働契約法改正で、有期雇用でも勤続5年以上の従業員については、無期契約への変更を会社に申し出る事ができるようになりました。会社はその申し出を断る事はできません。2013年の改正法施行からちょうど5年目の今年が、その無期契約への変更権(無期転換権)が発生する最初の年になります。その無期転換権行使についての説明が、昨日、所長からありました。

 もちろん、有期雇用から無期雇用に変わると言っても、別に正社員になれる訳ではありません。無期雇用に変わっても依然として非正規の契約社員のままです。ただ、今までだったら、1年ごとに所長と面談して契約更新しなければ雇用を継続できなかったのが、無期転換以降は、別に契約更新しなくても定年まで働く事ができるようになります。平たく言えば、契約更新の手間が省けるようになる。たった、それだけの話です。

 有期契約から無期契約に変わったからと言って、別に正社員に昇格してボーナスや退職金がもらえるようになる訳ではありません。毎年の契約更新も形式的なもので、よほどの事がない限り、会社から雇用契約を打ち切られる事はありません。せっかく与えられた無期転換権も、名前だけで実際のメリットは何もありません。むしろ私にとっては、契約更新面談の時ぐらいしか、所長とじっくり話をする機会が無かっただけに、その貴重な機会が奪われるデメリットの方が大きいです。

 私にとっては、無期転換よりも限定正社員の方がよほど魅力的です。ボーナスや退職金、定期昇給がある代わりに、どこに飛ばされるのか分からないのが正社員です。しかし、限定正社員は正社員とは違い、勤務地や職種を選ぶことができます。その代わりに、正社員よりもボーナスや退職金は少ないので、限定正社員と呼ばれるのです。いわば、限定正社員と言うのは、バイトと社員の中間のようなものです。

 でも、こちらは無期契約とは違い、条件付きながらもボーナスや退職金ももらえます。その一方で、正社員ほどには会社に拘束されないので、社員のように、サービス残業や休日出勤を強要されたり、過労死におびえながら働かなければならない心配はありません。私がこうやってブログ更新できるのも、私が正社員ほどには会社に拘束されていないからです。

 但し、これは私のように、非正規・有期雇用の契約社員から限定正社員になる場合に初めて言える事です。正社員から限定正社員になる場合は注意が必要です。子育てやリハビリ就労の必要から、本人が希望して限定正社員になるのだったら良いのですが、正社員の都合も聞かずに、会社の方で一方的に格下げに濫用されては堪りません。そうならないように法律で規制しなければなりません。

 日雇い労働者でもない限り、たとえ有期雇用であっても、そう簡単に解雇はできません。懲戒解雇となればまた別ですが、それ以外の整理解雇については、「整理解雇の4要件」(注)で、会社の解雇権は大幅に制限されています。(注)整理解雇の4要件=①どうしても経営上必要な解雇なのか?②解雇対象者の人選は公正か?③希望退職を募るなどの回避義務を尽くしたか?④労働組合等とちゃんと話し合ったか?この4条件が満たされない限り、解雇する事はできないとする最高裁の判例。

 このように、日本では解雇はそう簡単にはできませんが、それ以外の労働基準法に定められた権利については、もうほとんど有名無実と化してしまっています。例えば、1日8時間労働が建前なのに、実際には労働組合と三六(さぶろく)協定を結びさえすれば、いくらでも労働者に残業させる事ができます。今や大企業の労働組合の大半は、会社言いなりの御用組合か、運動会などの社内行事の下請け機関に成り下がってしまっています。名前だけの労働組合では全然歯止めにはなりません。

 それに対して、欧州では、経営者は比較的自由に解雇ができます。なぜなら、別に解雇されても、失業保険などの社会保障が充実しているので、労働者はそんなに困らないからです。日本のように数ヶ月で打ち切られるような失業保険ではなく、何年も失業保険をもらいながら、じっくり職探しができます。住宅も、日本のようなバカ高い家賃の民間住宅だけでなく、安価な公営住宅も充実しているので、別に焦って職探しをする必要もありません。労働組合の力も、日本とは比べ物にならないほど強いです。学校教育も、日本のような競争至上主義の詰込み教育ではなく、子どもの個性を伸ばす教育が行われるからこそ、ビル・ゲイツのような独創的な起業家も生まれるのです。ブラック企業が横行し、ワタミみたいな守銭奴がデカい顔してのさばる日本とは大違いです。(但し、欧州も最近は次第に日本や米国のような格差社会になりつつありますが)

 封建制の時代が長く続き、明治以降も軍国主義に走り戦争に明け暮れ、戦後になってようやく「借り物」の民主主義を手に入れる事ができた日本では、21世紀になっても、いまだに「年功序列」「官尊民卑」「男尊女卑」等の封建的な風潮が根強く残っています。安倍・麻生のような世襲政治家や、ワタミのようなブラック企業主や高須クリニックのような新興成金ばかりがチヤホヤされ、生活保護受給者や障がい者、LGBT(レズ・ゲイ等の性的少数者)、在日朝鮮人などの社会的弱者はとことん差別される。そういう社会では、労働者も「社畜に甘んじるから解雇だけは勘弁して」という意識に流れがちになります。日本が「解雇には厳しいが、その他の労働者の権利は全く貧弱」なのは、そういう歴史的背景もあるからではないでしょうか。

 今、新聞やテレビで報じられている厚生労働者の裁量労働制データ捏造(ねつぞう)問題や、数日前に発覚した財務省の森友学園への国有地払い下げ交渉記録書き換え問題も、そんな「社畜に甘んじるから解雇だけは勘弁して」の奴隷根性が生み出したものだと、私は思います。一般労働者の「最長残業時間」と裁量制労働者の「平均残業時間」を比較すれば、後者の数字の方が短くなり、裁量労働制を広げたい政府にとって都合の良いデータになるのは当たり前です。そんなインチキなデータで、「1日の残業時間よりも1週間、1ヶ月の残業時間の方が短い」という資料のデタラメに、頭の良い官僚や政治家が気が付かないはずがありません。気が付かなかったのではありません。気が付いていたにも関わらず、わざと知らんふりしていたのです。その結果、裁量労働制拡大で多くの労働者が過労死する事になっても、自分だけ助かればそれで良いと思ったのでしょう。

 安倍政権を批判した為にニュース番組のメインキャスターの地位を追われた古賀茂明さんが、旧通産省(今の経済産業省)に31年間勤務された経験から、裁量労働制データの捏造が起こった背景を、寸劇ドラマにして私たちに紹介してくれています(後述)。そのドラマの出来栄えが余りにも上手くて、かえって悲しくなりました。

 森友学園との交渉記録書き換え問題も、これがもし本当だったとするなら、公文書偽造という立派な犯罪行為です。そんな犯罪行為を、「捜査に支障を来す」という口実で、安倍も麻生もウヤムヤにしようとしています。本当に偽造文書なんてないなら「ない」と言えばそれで済むのに、そう言えずに「捜査に支障を来す」という持って回った言い方で証言を拒否する。これでは「偽造した」と言っているようなものなのに、それを誰も面と向かって批判しない。こんな国が、果たして先進国と言えるでしょうか。

 そんな「社畜」に成り下がる位なら、まだ「限定正社員」の方がまだマシです。今回の記事の表題「正社員や無期転換よりも限定正社員が一番マシ」というのは、もちろん皮肉です。日本が、本当に今の憲法で保障された基本的人権が会社によって尊重される国であったなら、正社員の方が一番マシなのは言うまでもありません。ところが実際は、今や正社員は「社畜」の代名詞でしかないので、こんな皮肉の一つも言いたくなるのです。

ある日大臣室で
大臣 「裁量労働にすれば労働時間は短くなると言えるんですよね」
局長 「実は、データではその逆になっておりまして、なかなか悩ましいところです」
大臣 「こっちはただ言葉で短くなるはずですと言うだけということか。それでは、苦しいな。何かうまいデータはないんですかね。安倍さんは経団連に約束しちゃってますからね。失敗は許されませんよ」

帰りの廊下で
局長 「大臣も相当なプレッシャーを感じてるんだな。確かに、労働時間が長くなるというデータしかないというのは苦しいな。短くなるというデータはないのかね」
課長 「色々見たんですが、ないんですよ。そもそも、今の日本の職場で裁量労働なんて入れたら労働時間が長くなるのは目に見えてますからね」
局長 「君、そんな他人事みたいなこと言ってちゃ困るな。何とかしてくれよ!」

課内で
課長 「いやあ、参ったなあ。大臣は安倍さんのことしか見てないし、局長も大臣のプレッシャーを感じちゃって、無理なこと言うんだよ。だけど、局長の立場もわかるよな。下手すると官邸に目をつけられて次官の目もなくなっちゃうしな。何とかうまくやっていいデータはできないかね」

課長補佐 「まず無理だと思いますよ」
課長 「……」
課長補佐 (小声で)「でも、やるだけやってみますか」
係長 「そんなこと絶対に無理ですよ! 相当なイカサマ調査をやるということになりますよ!」
課長 「イカサマやれとは言ってないよ!何とかいいデータはできないかなと言ってるだけだ。とにかく、やるだけやってみてくれよ。責任は俺が取るから」

深夜、課長退庁後の課内で
係長 「色々考えましたが、これくらいデタラメやれば何とかなるかもしれませんが……、あまりにもひどすぎますよね。やっぱり、無理だなあ」
課長補佐 「でも、俺たち、どっちにしてもこの法案出して、それを国会でディフェンドしなくちゃいけないんだよな。できなければクビだよ。馬鹿みたいだけど、やるだけやってみて、上に上げてみるか。どうせボツになるだろうけどな」

数カ月後、課内で
課長 「おおっ!よくこんなデータができたな!やっぱり、何でもやってみるもんだ」
課長補佐 「課長、これ、相当滅茶苦茶ですよ。その注釈(比較の仕方などを解説したもの。ひどい内容であることをアリバイのために書いておく)をよく読んでください」
係長 「それを読めば、誰も使えませんよね。このデータ」
課長 「うーん。確かに、ずいぶん無理をした比較だな。これじゃあちょっと無理かなあ。でも、これしかないんだろう?じゃあ、局長と相談してみるよ」

局長室で
局長 「いやあ、よかったなあ、いいデータができて。注釈は気になるけど、こんな細かいことはいちいち言う必要はないよな」
課長 「大臣に説明する時は必ず、無理のあるデータだということをよくご理解いただいたうえで、それでも使うということであれば、やむを得ないかと思いますが……」(官僚の責任逃れの常套句)

大臣室で
大臣 「おうおう、これで、立派に反論できるな。さすが、局長、お見事!」(官僚をおだてるのができる政治家)
局長 「いやあ、いろいろ無理をしまして。部下にもずいぶん文句を言われましたが、何とか……」
大臣 「法案が通ったら若い連中を呼んで盛大に慰労会をやらなくちゃいかんな」

課内で
課長補佐 「えーっ!?局長はあのデータの問題点を大臣に言わなかったんですか?大臣は知らないってことですか?それ、話が違うじゃないですか!課長、ひどいですよ!」
課長 「いやあ、俺も、局長が言わないから、自分で言おうかと思ったんだけど、局長は確信犯だな。全くそんな雰囲気じゃなかったんだ。帰りにおかしいと言ったら、そのうち、俺から話しておくからって」

夜、課長退庁後の課内で
係長 「局長絶対に大臣に言わないでしょ。今更言えないと思いますよ。後でばれたら、全部俺たちの責任ってことですよ!」
課長補佐 「……」
係長 「すみません。補佐も被害者ですよね。こうなったら、ばれないように祈るだけということですね」
課長補佐 「でも、絶対にばれるだろうな。あー、大臣がブチ切れる姿が目に浮かぶなあ……」

以上、古賀茂明「働き方改革の捏造データの作られ方、教えます」(AERA.dot)より引用。
https://dot.asahi.com/dot/2018022500014.html?page=3

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする