数日前に、職場で商品仕分け作業中に、通りがかった所長から声掛けられました。
所長「○○さん(私の本名)、最近腹立つわ。ちょっと聞いてくれる?安倍さん一体どこ行ったのよ?コロナ対策は知事に丸投げで、記者会見も担当大臣任せで。何故表に出て来ないんかな?」
私「もう自信喪失したのと違いますか?今まで『安倍一強』と言われていたのも、取り巻きの補佐官たちがマスコミに睨みを効かせて抑えて来たからです。御用新聞の番記者たちに記者会見を仕切らせて、フリーの記者を排除し、当たり障りのない八百長質問で猿芝居を繰り返してきたからです。放送番組にも陰で圧力を加えて、テレビ朝日「報道ステーション」の古賀茂明氏や、NHK「クローズアップ現代」の国谷裕子氏を始め、政府に批判的なコメンテーターやアナウンサーを片っ端から辞職に追い込んで来たからです」
「でも、その補佐官の神通力が通用したのも、権威盲従の国民性あればこそ。ところが、コロナウイルスには政府の権威なぞ通用しない。マスコミの様に統制する事も出来ない。安倍自身も苦労知らずのボンボンで、過去には政権投げ出しの前科もある。だから次々とボロが出て来て、国民もようやくその事に気が付き始めたのと違いますか」
所長「そうか…○○さんに愚痴聞いてもらってスッキリしたわ」
今まで所長とは、仕事中にこんな政治の話なぞした事はありませんでした。ところが今や、その所長すら自分から私に話しかけて来る様になりました。世の中は変わったものです。
でも、ちょっと待って下さい。せっかく安倍の化けの皮がはがれても、東京都知事の小池百合子や大阪府知事の吉村洋文に人気が集まってしまっては、今までの政治と何も変わりません。何故なら、小池も吉村も、所詮は安倍と同類の、同じ穴のムジナ(狸が化けたとされる妖怪)に過ぎないのですから。
政府は二言目には「PCR検査を拡充する」と言っていますが、実際は新型コロナ感染症を発症しても、「コロナかどうかまだ分からないので、もう少し様子を見よう」と、何だかんだ口実付けて、何日間も自宅待機で放置したり、病院への入院を拒否する事例が、全国各地で横行しています。それで実際に入院前にコロナで命を落とした人も決して少なくありません。何故こんな事になったのか?医療崩壊がもう既に始まっていて、検査や入院させたくても出来ないからです。
1997年に保健所法が改正されて、「地域保健法」と名前が変わりました。この改正で、それまで地域に密着して住民の健康を守って来た都道府県の保健所が、「予防接種だけなら格下の保健センターで充分だ」「健康診断も企業にやらせれば良い」という事で、どんどん統廃合されて行ったからです。その結果、今や全国の保健所の数は、当時の半分ほどになってしまいました。
全国の保健所数とその管轄別内訳の推移グラフ。1997年(平成8年)の保健所法改悪を機に減少の一途をたどっている。
この90年代から2000年代にかけて何があったか?正社員から派遣労働者への置き換えであり、郵政や道路公団の民営化です。今まで国民生活を守る為に行われて来た公務員の仕事が、「民間で出来る事は民間で」「安全よりも利益優先」という事で、どんどん民営化されて行きました。
その中で、保健所の業務も「儲からない」という事で、どんどん統廃合されて行きました。今まで食品検査の立ち入り調査や住民の健康診断を積極的に行って来た保健所も、「住民検診や予防接種なら格下の保健センターで十分だ」という口実で、どんどん減らされて行きました。
しかし、保健センターなんて保健所の出張所に過ぎません。たかが出張所では、住民検診や予防接種は行えても、感染症対策なんて無理です。そういう流れが、90年代以降、今までずっと続いて来たのです。
削減されたのは保健所だけではありません。公立病院の統廃合もどんどん進められて来ました。その結果、新型インフルエンザやSARS(サーズ)、MERS(マーズ)、新型コロナ感染症が広がっても、まともな対策がほとんど打てなくなってしまったのです。
この流れを推進したのは全国では自民党です。しかし地方で、その流れに便乗・迎合し、自ら率先して推進したのは「都民ファースト」の小池都知事や「維新の会」の吉村・大阪府知事、松井・大阪市長たちです。
井上伸氏のツイートより。維新府政による病床削減で今や大阪府の病床数・保健師数は全国ワースト2位。
特に大阪では、1989年には50以上もあった大阪府管轄の保健所が、今や9にまで減らされてしまいました。府管轄から中核市(人口20万以上の市で保健所を独自に設ける事が出来る)に管轄が移った分を含めても18です。その結果、それまであった能勢など山間部の保健所支所は全て廃止されてしまいました。能勢町の住民は、保健所に通うのにも、わざわざ山を越えて池田市まで出て来なければならなくなりました。この池田保健所も廃止の噂が出ています。そうなれば、能勢町の住民は、もう茨木市や豊中市の保健所まで出て来なければならなくなるのです!
1989年度、大阪市内に24、府下に28の計52もあった保健所(支所含む)が、2020年の今や、府から中核市管轄に移行した分を含めても18まで減らされた。大阪市内各区にあった保健所も1箇所に統合され、他は全て保健センターに格下げされた。どうりでPCR検査の受診抑制やコロナ患者のたらい回しが頻発する訳だ
何でこんな事になるのか?自民党や維新曰く「保健所はコストばかり掛かって儲からないから」です。では、儲からなければ全部切り捨てるのか?過疎地の住民は全部切り捨てるのか?しかし、ではその過疎地で作ったお米や野菜を食べているのは一体誰か?大都市の住民ではないか?大都市の住民は、自分の都合の良い時だけ過疎地の住民を散々利用しておきながら、コストだけを過疎地に押し付けようとしているのです。そのような不正義が果たして許されて良いのか?
何でもかんでも「採算第一」「金儲け第一」で考えていると、こんな考えになるのです。だから、コロナ感染がこれだけぶり返し、もはや春の緊急事態宣言の時よりも感染が広がってしまっているのに、「外出を自粛しろ」と言いながら「GoToトラベルで旅行して金を観光地に落とせ」なんて矛盾した事も平気で言えるのです。「カジノやオリンピックで大儲け」する事しか考えられないのです。
そのGoTo、カジノ、オリンピックを推進しているのは誰でしょう?自民党であり、「都民ファースト」や「維新の会」ではありませんか。だから、この三者は、地方では互いに対立するように見えていても、新自由主義(拝金資本主義)の「金の亡者」という点では、所詮は「同じ穴のムジナ」に過ぎないのです。
米国やイタリアであれだけコロナ感染が拡大したのは一体何故か?米国でもイタリアでも、金儲け至上主義の政権の下で、公立病院の統廃合が進められたからです。米国のトランプ大統領や、英国のサッチャー元首相、イタリアのベルルスコーニ元首相が、日本では安倍晋三や麻生太郎、小泉純一郎、橋下徹に相当します。いずれも「新自由主義」の「金の亡者」です。
特に米国なぞは究極の格差社会です。あの国には日本の社会保険や国民健康保険に相当する制度がありません。国民はバカ高い民間医療保険に加入するしかありません。民間医療保険に加入出来ない貧しい人たちは、盲腸の手術を受けるのにも、日本の百万円に相当するほどの高額の医療費を払わなければなりません。その医療費が払えず盲腸で命を落とす人が大勢います。
それに対し、英国やイタリアは、かつては世界でも有数の福祉国家でした。ところが、サッチャーやベルルスコーニは、「福祉制度が人間を怠け者にする」と言って、それらを全部破壊してしまいました。だから、コロナ感染が広がると、たちまち医療崩壊を引き起こしてしまったのです。
サッチャーやベルルスコーニ、トランプは、貧しい人たちを怠け者と誹りました。でも、派遣や非正規の低賃金では、どんなに努力しても食いつなぐので精一杯です。オレオレ詐欺でもやらなければ、サッチャーたちを見返してやる事は出来ません。
ところが、サッチャーたちはどうか?労働組合を弾圧し、労働法を骨抜きにし、ブラック企業をのさばらせました。ズルして金儲けに走ったのは一体どちらか?私に言わせれば、サッチャーたちこそが「オレオレ詐欺」の主犯ではないか?搾取で築き上げた不労所得の上にあぐらをかくサッチャーたちこそ、究極の「怠け者」ではないか!
日本で、このサッチャーやベルルスコーニ、トランプに相当するのが、小泉純一郎や安倍晋三、麻生太郎、石原慎太郎や小池百合子、橋下徹や松井一郎、吉村洋文たちです。このような「金の亡者」を全員、政界から追放しない限り、幾ら安倍晋三が退陣しても、第二、第三の安倍晋三に取って代わられるだけです。コロナ感染が更に広がるだけです。