脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

岩手県奥州市の認知症予防教室「年とらんと会」-3

2014年11月30日 | 認知症予防教室

「年とらんと会」の報告がもう一つあります。

会の女性部推進役の千葉キヌさん。演劇の時の脚本やナレーター担当です。
水沢江刺駅に迎えに来てくださった千葉謙さんが
「キヌちゃんだけど…」と声を潜めて言われるので、びっくりして
「亡くなったの?」とつい大きな声が出ました。

千葉謙さんは「違う違う!」と大慌て。
キヌさんにはもともと腰痛があったのですが、その手術のために入院。再手術などもあったため、かれこれ50日も入院されてるそうで
「年とらんと会に行く前にちょっとお見舞いに行ってあげてほしい」という言葉に、もちろん二つ返事でOKです。

「50日・・・しかも痛みと戦いながらでしょ?大丈夫?ボケてないかしら?」とつぶやく私の声を聞きつけて
「そんなことはないよ。2~3日前にも顔だしたけど元気!元気!もともと土台が違うからね、キヌちゃんは。大丈夫だよ」
そんな話をしているうちに病院到着。

恐る恐る病室に入った私たちに、キヌさんの笑顔が飛び込んできました。
84歳、50日間も入院している人に見えますか?

この笑顔を見て私はほんとに安心しました。
「この大変な50日間に負けてない!」と確信しました。

あわただしい面会時間にびっくりするようなことを、キヌさんは言ってのけました。

「私、入院中に脳梗塞もやったんです。ある朝起きたら、ろれつが回らなくて口の右の端が何だか変で、これは脳に何かが起きた!言葉の脳にね。ってすぐわかったから、看護師さんに言ったら少しも変でないというの。だから自分で一生懸命お医者さんに訴えてようやく治療してもらったんだけど、なんともなく治りました。
考えたら入院中だったから助かったということでしょ?
いろいろ思うこともないとは言わないけど、それより、楽しいこと、うれしいこと、できることを思うようにしてる。そっちの方がいいものね」

1989年に調査したかくしゃく百歳の方々のお顔が目に浮かびました。
みなさんは共通しておっしゃたのは、全くこの言葉でした。
楽天的というか、肯定的というか、ポジティブな前向きに考え方ができる人達でした。

生きてこられた人生は十人十色。
山も坂もあったでしょうに、その人生を良きものと振り返り、来るべき時にも明るさを見ることができるのは、まさに前頭葉の力。
キヌさんは、豊かな才能だけでなくがんばる底力にも恵まれ、何よりも前向き前頭葉の持ち主です。
今84歳、これからもキヌさんのやりたいことを楽しむだけでなく、キヌさんを待っている人のためにも、
「『脳』を大切にしてくださいね。ボケないでね」と言ってお別れしました。

「年とらんと会」の佐野向公民館でも、脳の病気の話がありました。
1.慢性硬膜下血腫で血を抜いてもらった仲間が、年とらんと会に出席することを目標に頑張ったそうです。ひざの手術をした人も、また出席したいとリハビリをがんばったということもあったそうです。


2.前の安次郎会長さんも、朝早くトラクターで仕事中に脳梗塞の発作でたおれてしまったそうです。
「土手に、寝ていたら通りがかりの人が救急車を呼んでくれてなんともなく退院できた」ですって。
「今日も夏油温泉の冬ごもりの準備をしてきた。もう雪が水分積もってるよ」と
遅れて参加です。
同席していた奥さんが、「倒れていたのはちょうど見えない場所なんです。見つけてくれてほんとにありがたかった」と、地域の力を言われたのが印象的でした。

もうすぐ80歳のハシメさん。童女のようなかわいいおばあちゃんですが、体の柔らかさと仕切り力はなかなか。もちろん世剣舞の舞い手です。

現会長さんは、みなさんから飲み過ぎチェックを受けてます。(手術をなさったそうですけど、お大事になさってください。)世剣の舞が始まって衣装にちょっと不備を見つけたら、すぐに行って治してあげていました。御神楽奉納幕もきちんと引いて。そういうところが千葉謙さんが言う「会長職がその人の脳を鍛えることになる」というところかと思いました。
 

男性群が多いです。地区のもともとのリーダー千葉謙さんが、率先して活動を進めたところが遠因かと思います。
長栄さんは80歳を超えていらっしゃいます。「耳が遠くなってね」と言われましたが、にこにこしながらお話にもちゃんと参加されていますし、私の話を聞いてくださるときの真剣さは素晴らしかったですよ。後で女性群が「とても協力してくれるんですよ」と耳打ちしてくれました。

正面写真が撮れていませんでしたが、やはり以前に会長を勤められた正賢さん。
マラソンが趣味で「今年も全国大会シニアの部で優秀な成績を収めたんだよ」と資料を見せてくださいました。
実は世剣舞の復活には正賢さんの御力が大だったそうですね。元来男の舞いだったそうで、女性は着物をたたむことも許されないと聞きました。どんなに丁寧に教えてあげたことか、想像するだけでもご苦労がしのばれます。これからもよろしくお願いします。


千葉謙さんはお囃子方。チェックのシャツの一色とセーターの色が同じというおしゃれさんでした。

「年とらんと会」の皆様
これからも、体を大切になさってください。そして脳も大切に。
脳の健康は、皆さんが心ひとつにして楽しく過ごされることですからね。
またお会いできる日を楽しみにしています!

 

 


認知症予防教室「年とらんと会」の世剣舞

2014年11月26日 | 認知症予防教室

まず告白。
初めて、iPadミニで動画を撮ってみました。
電池があまりなくて、動画を取ることでどのくらい消費するかわからず途中でやめました。
ネットで教わりながら、ユーチューブにまずアップして、ブログにアップするということを学びました。(わかってしまえば実に簡単)
「年とらんと会」の世剣舞をぜひ皆さんに見ていただきたいという思いがあったので、とっても私の脳刺激になりました。
(自分の意欲が無ければ、嫌々やることになり、居眠りよりはましというレベルの脳刺激。前頭葉の関与の差が脳刺激の効果を決めます)

認知症予防教室「年とらんと会」の世剣舞


岩手県奥州市の認知症予防教室「年とらんと会」-2

2014年11月25日 | 認知症予防教室

今回訪問した時も、奥州市江刺区稲瀬「年とらんと会」の皆さんが歓迎してくださいました。その歓迎ぶりは感謝を超えて感動ものでした。

稲瀬は名前の通り、おいしいお米の名産地です。江戸時代には、船で北上川を下り江戸にお米を運んだそうですが、その折に「金の札 」を掲げておいしいお米だとアピールすることが許されていたと聞きました。江刺金札米
その広い稲瀬の一角に佐野向地区の公会堂があります 。

公会堂に入ったら、持ち寄りのごちそうが机の上に所狭しと並んでいました。どのお皿からも、身近な食材を使って心を込めてお料理してくださっていることが伝わってきます。

一関地方を中心にしたもち文化の地域ですから、時計回りにショウガ・クルミ・ズンダのおもち。

地区一番のおもてなし料理イカもち(イカの袋を炒めて、ゴボウとニンジンのすりおろしを加え、最後はみそ味で。豆腐も入れて、青みはセリがお約束とか)も用意してくださいました。

問題はこれだけの量のごちそう!どうするのかと思ってしまいましたが
「みんなで分け合って持って帰るんです。他の人の作ったごちそうを食べられるのがうれしいし、自分の料理を持って帰ってもらえると思うと、励みになります」

「自分にできることが、他人を喜ばせることができる」
このことを心から喜んでいる気持ちが伝わってきました。

会食しながら、その後の暮らしぶりを次々に語ってくれるのですが、皆さんイキイキしていること!
そして皆さんお若い。
教室が始まってもう10年にもなるわけですから、10歳、年を取ったことは事実ですが
「この教室があるおかげで、楽しみがたくさんある。教室に来てみんなで話したり、歌ったり、踊ったり。時には先生に来てもらってワイワイいいながらものづくりも楽しむし・・・」
確かに行灯が飾ってありましたね。編み物もよくされています。


男性陣は2年ずつの交代制で会長さんになります。このアイディアも「年とらんと会」を立ち上げた千葉謙さんから提案されたものです。
「会長をやることで、自分たちのものという感覚が出てくる。だから意見も言うようになるし、工夫もしてくれる。
また会長を務めたことで、自分の能力に自信が出る場合もある。他グループの世話人も買って出るようになった人もいる。パソコンが使えるようになった人もいたなあ」

旧江刺市の他の教室とも年2回は自主交流会を開いていてね。笑い声いっぱいの楽しい時間だよ

「数年前から、教室にふさわしいテーマは何だろうかと試行錯誤していたんだけど、重要文化財までなっている御神楽が途絶えてしまっていることに思いあたった!もちろん「年とらんと会」名物の劇も続けてるけどね。去年は認知症予防の大きな大会で頼まれて演じたけど、たぶん我々が一番好評だった、はず(笑)」

「それくらい、いろんなところから引っ張りダコ。中学生に教えたり、ホームに行ったり。
いろんな大会で頼まれることも多くなったし、そうそう明日も岩手県食の匠の大会があるので呼ばれてるんだ」

「新聞にもよく載るよ。表彰もよく受けるし」
確かに壁にたくさんの表彰状が飾られていましたね。

こんなに脚光を浴びたら、練習にも身が入るし、出演が楽しみにもなります。
千葉さんのお話はまだ続きます。
「忙しいとか、また~というようなブーイングは聞かれないのは、これが自分たちの脳刺激でボケ予防やってるということがよく実感できてるからだと思う

「みんなで!という精神はここ佐野向には前からあったのだけど、この年とらんと会では本当になんでもみんなで取り組む気持ちでやってるよ
御神楽の準備でも、会場の準備でも
ごく自然にみんなが助け合ってました。


「12月になったら、忘年会をするんだけども、これは佐野向の人みんなに声をかけて温泉に行くことになってるんだよ。教室に入ってなくてもボケさせるわけにはいけないからね」

ボケないように、地域で声を掛け合い協力し合っていく
こういう考え方だけが「住み慣れた地域で、高齢者が安心して住み続けることができる」社会を実現させるのだと思います。

(さすがに御神楽ですね。襟が正されました)

認知症になったら、それも小ボケを過ぎて中ボケになってしまった時点で、地域で支えるのはもう無理だと思います。
なぜならば、私たちの言う中ボケは、
夜中に騒ぐ、徘徊、不潔行為などの世で言う「ボケた症状」はまだないレベル。けれども脳機能から見ると幼稚園生くらいの判断能力・生活遂行能力になっているのです。幼稚園生を一人暮らしさせるでしょうか?!
まして、日常生活に介助がいる大ボケの人を、常に見守りがいるようなレベルになっている人をどうやって支えられるというのでしょうか?!


ボケを生まない努力こそが、これからは、地域に対して求められなくてはいけないことです。
その具体的なモデルが、岩手県の奥州市江刺区稲瀬、そのまた1地区に過ぎない佐野向「年とらんと会」のあり方だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      

 


岩手県奥州市の認知症予防教室「年とらんと会」-1

2014年11月24日 | 認知症予防教室

11月17日に岩手県奥州市稲瀬の「年とらんと会」に行ってきました。
エイジングライフ研究所が提唱する、地域ぐるみの認知症予防活動の一つの到達点かと思うほど感動しましたのでまとめます。
「年とらんと会」のご紹介。今までに書いたブログの中からピックアップしてみます。ブログが移動しましたので見苦しい点はお許しください。


 

2006.2.11 江刺市「稲瀬年とらんと会」

江刺市の脳元気グループ「稲瀬・としとらんと会」の紹介です。
この会のスタートは、稲瀬地区センターの市職員の千葉さんが、市役所健康増進課長に栄転する所から始まります。
「いろいろお世話になった千葉さんに、餞はないだろうか」
「健康増進課の進めている脳元気グループを立ち上げてみようじゃないか」(千葉さんだらけですから要注意)

ここで登場するのが千葉謙さん。去年の交流会の勇姿です。
Dsc00378_1 稲瀬地区は26戸という小さな部落ですが、どういうわけか男性が早世され未亡人が多いそうです。3年前大きい建築会社の副社長を退職したところ、恰好の人材ということで老人クラブの会長に 就任。70歳に見えますか?
去年からは、正:千葉謙さん。副:千葉きぬさんの最強コンビになっています。

 

次の立役者が千葉きぬさん。これも去年の作品です。
Dsc00390_2 「としとらんと会」が始まって、「こういう心境になりました。左←右」と説明してくれました。着物地から作るベストを皆さんに伝授したそうで、参加者全員が着用。更に「ほしい人のために」と型紙まで用意してありました。去年も今年もナレーターの大役で参加。声も姿も若々しく、年齢は千葉謙さんよりは上とだけ報告しておきます。

 


 

P1000037_3

 

 

去年は「チンドンやパレードと昔の遊び」さて今年の出し物は?集団就職したあの頃を思い出して「歌劇」ですよ。

P1000032_1 オープニングは「ああ上野駅」の合唱にのって「うえの、うえの、終着駅上野です・・・」のアナウンス。舞台には、ほほを高潮させた学生服・セーラー服の皆みなさん。中学卒業後、集団就職という設定です。

 歌の上手なすみちゃんは、退職後はじめたP1000028_1カラオケ教室の班長さん。きぬさんのよき協力者です。美声を生かして最高齢のおばあちゃんの手を引いて「東京だよ、おっかさん」を歌いながら舞台を進みます。

 足の悪い人は、靴磨き。
P1000033_1

 

 

 

みさこさんも足が悪いので、モデル。画家は千葉謙さん
(汽車と二重橋も描かれました)
P1000029_1 

2月13日には渡温泉に一泊で「お疲れ会」だそうです。これは地区恒例のものだそうですが、今年の6時から9時の宴会タイムは、さてどう盛り上がるでしょうか?世話役さんたちは、衣装をどうするか相談中とのことです。
今度の行政一区の総会では「またやる!」ことが決定済み。

江刺の花作りコンクールでは3年連続の優秀賞受賞、神社・会館の掃除や芋の子会その他まとまりのよい地区活動あってのことときぬさんは述懐されましたが、地域性はもとより、「ボケ予防」という大きな目的が認識され、皆さんを強力に引っ張るリーダーに恵まれれば、ここまでやれるのです。こういう「生き方」ができるのですね。

一方で、千葉謙さん私からのメッセージです。
稲瀬の皆さんのために始めた活動ですが、第二の人生が始まり「としとらんと会」のなかで千葉謙さんの持っている才能をいかんなく発揮することができて、私は何よりも千葉謙さんのために喜んでいます。
そして、来年を楽しみにしています。
それからもう一つ、これはお願いです。
「稲瀬の皆さんを引き連れて、あちらこちら公演してまわる」
実現できたらいいですね。
追伸。今度チャンスがあったら似顔絵を描いてください。


江刺の脳元気教室は2004年には始まっていたと思います。交流会も回を重ねるたびに充実してきたのですが、例の大合併。
保健師さんたちの業務の見直しもあったのでしょう、以前のように積極的には事業にかかわることが少なくなっていきました。当然ながら私が江刺に伺うこともなくなっていきます。
「年とらんと会」の活動は、全く自主的に継続していきました。
特に寸劇は好評で、すぐにいろいろなところから公演の依頼が舞い込むようになっていきました。


2008.12.11 号外 奥州市千葉キヌさんの手紙

奥州市江刺区稲瀬としとらんと会の千葉キヌさんからのお手紙です。
「脳元気いきいき交流会」の報告をくださいました。
途中からですが、とにかく読んでみてください。ちなみに、千葉キヌさんは79歳です。 

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どうですか?
こういう生き方ができたら、少なくとも「脳の健康」は保障済み!という感じではないですか?

千葉キヌさんや千葉謙さんという、全体のことに目を配ることができる方々がいらっしゃるので、 稲瀬はほんとにいい感じ。

お二人に話を聞いたら、もともとみんな仲良しで、協力して事を為すという地域性だといわれましたが。
そういう風に言われるところがさらにまたいい感じ・・・・・

台本(配役)役名に注目、楽しんで工夫していることがわかります。
秋に亡くなった仲間も主役ゴンタの亡くなった妻役として参加しています。若手3人が旅行で抜けたのですが「森の仲間出張会議」、どうしても参加できなかった人たちは「留守番」として、あくまでも全員参加を図っているところなどは感動ですね。キヌさんの優しさでもあり、稲瀬佐野向の優しさでもあるのでしょう。

Img_2

 

千葉キヌさんと電話でお話しました。
①皆さんが舞台慣れして堂々としてること。
②せりふなしで構成していたら、「せりふが言いたい」といわれて、せりふを作ったこと。
③台本を基に、自分のだけでなくみんなのせりふを覚えたこと。
④だから、マイクの手渡しがスムーズにいったこと。
(練習当初は20分かかったのが本番では16分に収まった)
⑤お面や帽子など小道具作りも楽しんだこと。
(今回も、背景画は謙さんの作品だったようですね)
⑥当日は若手3人が旅行で参加できなかった分、余分にがんばったこと。
⑦岩手日日に掲載されたこと。
⑧ビデオ撮影担当者がいるので、反省会をかねた忘年会が楽しみなこと。
⑨公演して「お花」をもらってみんなでランチを楽しんだこと。etc

お手紙もうれしかったのですが、としとらんと会の活動そのものがうれしいのです。
他教室との交流や公演も、たびたびされますように!
皆さんお元気で。風邪と転倒に気をつけて、冬に負けないでください。


2011.3.10 あの東日本大震災の前日、年賀状をいただいたりしたので、久しぶりに「年とらんと会」にお邪魔して交流を深めました。地震の後、千葉謙さんは、私が一関市にいることを知って何度もお見舞いの電話(携帯だけつながったのです)をくださいました。
そして3.18.迎えに来てくださって花巻空港へ行くことができました。千葉さんのご尽力がなかったら、いつ帰宅できたかわかりません・・・


2011.6.25 「ここに幸あり」花壇 奥州市「年とらんと会」の活動

奥州市「としとらんと会」の活動はたびたび紹介していますが今日も心温まるお話です。

   稲瀬としとらんと会in奥州市江刺区

   号外ー奥州市千葉キヌさんの手紙

   江刺市「稲瀬としとらんと会」

   千葉さんの手紙「新聞に載りました」

   Img_0002

 

 

 

 

 「としとらんと 会」のメンバーが、地域の奉仕活動として花壇作りを長年やってきているのです。
「このたび、その花壇にこのような看板を立てました」とおなじみ千葉謙さんからご連絡をいただきました。
「あんまり、見事なのができちゃったから、今一つ心配してるんだ!ナニ、通り掛かりの人がお宮と間違えて拝んだりはしないかってさ」
それからしばらくして
「今度は通りの入り口にちょっと立派なのを据え付けたよ。何しろ今年の会長さんが大工さんだからね。前のは杉の丸太だけど今度は欅(ケヤキ)の一枚板!」

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書いて彫ったのは、二つとも千葉謙さん!
材を生かしたデザインと言い、変化のある字体(後でお話しする理由があります)と言い、おみごと!!!

実は、3月の大震災の前日、私は「としとらんと会」にお邪魔していました。
全くプライベートで遊びに行かせていただいたのです。そしていつもながらの大歓待を受けました。写真を写してありますから、その雰囲気を味わってください。

世剣(せつるぎ)の舞。去年の交流会の出し物で途絶えていたものを復活させて、今度は地区の子どもたちに教えることになっています2011_0310_115800p1000087






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余興もあります。引っ込み思案という言葉はここにはありません。みんな出たいのです。
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楽しそうでしょ。「としとらんと会」の皆さんはいろいろなことを「楽しいイベント」にかえる名人がそろっています。
ほんとは今年「全国チンドン屋フェスティバル」に出場の予定だったとか。
会場が大船渡市なので無理ですね・・・
 御馳走も記念写真もあります。
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この翌日が大震災。
帰宅してしばらく経ったら、本当にお世話になったという感謝の気持ちと、何かちょっとプレゼントしたいなあという気持ちがわいてきました。Img_2

「ここに幸あり」と聞くとメロディが浮かんでくる保健師さんもいるはずですが、大津美子さんが歌っています。 私の40年来の友人です。
3月11日、岩手にいる時に、たまたま電話をくださって、それは大層心配をしてくださったのです。

帰宅後、いろいろ報告のおしゃべりをしているうちに
「『ここに幸あり』って励ましの言葉にならないかしら」と思いつきました。
大津さんは
「こんな大変な時に歌どころではないと思うし、気楽に『ここに幸あり』って言えない気がするわ」とためらわれたのですが、押し切って色紙を書いていただきました。

それを、「としとらんと会」にお送りしたら、思いがけない大々的な活動につながったというわけです。
(上の写真は、大津さんから頂いた今年の年賀状です。看板の「ここに幸あり」の字は、実は大津さんの字をまねて書かれていることがわかりますよね!)
千葉謙さんの話
「面白いもんで、名前がついたというだけで今年の花壇づくりには気合いが入ってる。みんながイキイキしてよかったと思ってるよ」
「例の看板、祈ってる人を見たという報告はまだないけど、あの前で佇んで涙ぐんでる人がいたって聞いたよ・・・歌がいいんだよ。それにしてもやっぱりいいことをしたんだね」
「まぁ、今回いろいろあったし、ちょっと気を入れてやったから今度は『お疲れさん会』もやることになってるんだよ。としとらんと会のみんながそれも楽しみにしててね。次々に楽しいことにつながっていくもんだなあ」

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「としとらんと会」にはテーマソングがあって、例会では皆さんが唱和されます。そして
「この歌の通りだね」と
言い合われるのを何度も耳にしました。
その「ああ人生に涙あり(御存じ。水戸黄門主題歌)」に加えて「ここに幸あり」も歌うようになったそうですよ。

ここでもノリのいい「としとらんと会」の面目躍如ですね。

お花がきれいに咲いたら写真を送ってくださるそうですから、楽しみにしています。


年とらんと会のあらましと、私との関係はわかっていただいたでしょうか?

稿を改めて、今の年とらんと会の様子を書きます!

 


他のいきいき教室in十日町市

2014年10月14日 | 認知症予防教室

十日町市での講演の追加報告です。

講演会場は十日町市川西地区の 中心地にありました。

千年の湯
ひだまりプール
千年の森ホール
千年の市

施設の名前を見ても、その町の持つ雰囲気ってわかるものですね。

前ブログで報告したように、いきいき教室の皆さんのおしゃれな発表の後、私の出番。

講演は、聞く人にもちょっとした期待があるものだろうと思うのですが、講師の方にも導入部分はワクワク感があります。

私は、話の初めに「ボケるくらいなら?…」と言って、ちょっと間を置きます。
そうすると、会場から「死んだ方がいい」という答えが返ってきます。これは全国どこでも同じ。
「それほど、嫌がられているボケの正体を知れば、ボケは防げることがわかります。ボケないように生きていきましょう」と続けるわけです。

ところが、会場の真ん中あたりから、はっきりした力のある声で
「ボケるとみんなに親切にしてもらえるから、ボケてもいいかな」というではありませんか!

「まあ、話を聞いてみてください。考え方は変わると思いますよ」と答えましたが、新米講師だったらちょっとドキッとしたところでしょう。

 講演を終えてホールを出たところで、実務研修会に出席したT橋さんとばったり。

「在宅介護支援センターつまりの里でも、いきいき教室 をふたつしています。
稲穂の会と白藤の会。
このM山さんは、稲穂の会のリーダーさんなんです」

横にいるM山さんは、あらっ、一番最初に
「ボケてもいいかな」と発言した当の本人!

「いきいき教室に行ってながら、どうしてあんなことを言ったのですか?」と聞きました。

その答えに大笑い。
「だって、初めにみんながドキッとすることを言った方が後が、話が楽しみになるでしょ?
当たり前なことを言ってもねえ。おもしろくないしね」

「なんだ。計算づくだったのですか!」

「もちろん」
こういうやり取りの後、稲穂の会と白藤の会の皆さんがバスに乗ってるということで激励に行きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この笑顔。
「話を聞いて、生き方に自信が持てました」とM山さんが言われましたが、会の皆さんの笑顔もそういってくださっているような気がしました。
T橋さんが、「皆さん脳機能が改善しているんです」といったこともよくわかりましたよ。

講演の直後、十日町市の在宅介護支援センター(三好園しんざも頑張ってます。懐かしいお顔が見えました!) 、社会福祉協議会から、認知症の相談や利用を促す挨拶がありました。

事後の相談だけでなく、認知症予防活動にも力を入れていることを、もっともっとアピールしたらいいのに。

日本中ほとんどの地区は、事後対応に追われるばかりなのですから。
予防活動ができるという十日町の特徴をさらに伸ばしていただきたいと思いました。


いきいき教室―十日町市川西地区

2014年10月13日 | 認知症予防教室

前のブログでお知らせした川西町のいきいき教室の発表がありました! 「私の講演会の始まる前に発表をしてください」とお願いしたのは9月末。 たまたま丁度教室開催日がすぐだったので 「皆さんに尋ねてみますが、断る理由はありません」という頼もしいお返事を、代表のT村さんから頂いていました。

見てください。 役場の課長さんのごあいさつの後、皆さんの登場です。 白いブラウスに黒いズボン。 胸に色鮮やかな青いスカーフを巻いて。 歌詞カードを挟む台紙も青で統一されていました。 かっこいい! 何だかこれだけで、晴れやかさが伝わってくるようです。 もちろん、ちょっとばかり緊張されているらしい感じも。 そして会場の皆さんの期待感も伝わってくるようでした。

 2011年にも、同じような経緯で講演前に発表してくださったのですね。 その時のことを「十日町報告」としてブログにまとめてありますから、クリックして読んでみてください。

2011年のステージ

楽しそうに発表してくださいました。 でも、今年のほうが、かっこいい! こういう風に、「脳をいきいき使う」ということが、生活の小さなところにも反映されることこそが、大切なことだと思うのです。 言い換えれば、生活をちょっとしたところでも自分らしく楽しむ、自分らしく工夫する、それが人を喜ばせられたら最高。 このような生き方ができることは、前頭葉の若さに他なりません。

 控室の様子です

ステージは遠くなってしまって表情がうまくわかりませんが、控室では「ドキドキしちゃう」とか言いながらこの和気藹々さでした。 口紅もくっきりしてましたよ。

T村さんが活動報告。

「最後に」と断った後 「私たちの教室には他と違う特徴があります。脳いきいきチェック(脳いきいき度チェック)を皆が受け、また、皆がそれを楽しみにしているところです」とまとめてくださいました。 講師としたら「何も言うことはない。パーフェクト」と心の中で快哉を叫んでいました。

続いて、会の歌と紅葉の合唱。
会の歌はお座敷小唄の替え歌です。歌詞は上の写真の男性(霜条の山岸眞治さん)の作詞です。
詳細は「十日町報告」をクリックしてください。

 

もちろん会場の皆さんも唱和されます。200席くらいの会場が満員でした。 いいですねえ・・・ 上手でなくとも、みんなと一緒に大きな口を開けて歌を歌えることは、気持ちいい。 こういうことが脳を活性化させるのです。

いきいき教室の皆さんの脳機能は、この7年間でどうなったかということを報告しておきましょう。 まずお断りしておきたいことは、いきいき教室の参加者は最初からとびぬけて、かくしゃくとしていた方たちだったということです。 その人たちが、どうなったか?
基本的に脳機能はそのままの若さなんですよ!

参加者のおひとり、K崎さんが皆さんの感想としてあげてくださった言葉をお伝えします。
 
「活動が充実していて、無理なく参加できます」
「病人がいてもみんなに相談に乗ってもらえるし、近所に友達がいないので、教室が楽しみです」
「教室で作った作品を飾っているとお客さんから褒められて、意欲が上がります」

そして、K崎さんはこう言い足されました。

「どうしてみんなが参加しないのかが不思議。どうしたらこの楽しさをわかってもらえるのか。どうしたら参加者が増やせるのか、いつも考えています」

 K崎さんは82歳です!本当に生き生きしている脳は、このように社会に向いているものです。

皆さん、これからもお元気で。体も脳もです(笑)


自主活動継続中 認知症予防教室in十日町市川西地区

2014年09月26日 | 認知症予防教室

10月になったら、十日町市に講演に伺います。
十日町は、川西、中里、松代、松之山が合併しましたから、実はもうそれぞれの地区に行ってお話をしています。
川西には7年前に伺っていますから、少し工夫をしなくてはと思ったのです。

考えるほどのこともなく、T村さんのお顔が浮かんできました。

7年前の講演が終わった時、ちょっと紅潮した感じで、私に会いに来てくださいました。そして

「とってもよくわかりました。何だかボケないでやっていけそうです」と言われました。

続けて「みんなで集まって楽しくやればいいんですね」と言われた時の笑顔が浮かんできたのです。

異空間カフェJ-garden(ipadに変えたのに写真の向きはアチラコチラ。困ったものです)

Img_0022_3Img_0015_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの教室は続いているかしら?」 

続いてさえいれば、皆さんはお元気なのです!

なぜこれほど断定的にいえるかというと、エイジングライフ研究所が指導して認知症予防教室を継続しているところの結果を見ると、必ず効果があるからです。

担当のM田保健師さんから連絡を取ってもらって、電話しました。

Img_0012 電話口のT村さんのお声は弾んでいました。

私「教室は続いているのですか?」

T村さん「はい!もちろん」いかにも当たり前のようなその声に、幸先のよさを感じました。

私「教室の皆さんの脳は、お元気ですか?ボケ始めている人はいませんか?」

T村さん「もちろん、皆さんお元気ですよ」答えながら、T村さんは笑っていました。

私「今度の講演会の時、話の前に皆さんで発表をしていただきたいんですけど…」とちょっと遠慮しながら話してみると

T村さん「23年前だかの十日町市民会館での講演の時、私たち発表したんですよ。
(ごめんなさい。忘れていました)

その時の皆さんの感想を言いましょうか?
Img_0019_3

・自分の人生で、市民会館のステージに上がることなんかないと思っていたので、それが実現しちゃってうれしかった。

・みんなの前で歌うなんで6070年ぶりだったけど楽しかった。

・冥途の土産ができてしまった!

26日に教室があるので、皆さんに聞いてみますが、断る理由なんかないと思いますよ」

講演前に10分間程度自由に発表していただくということで、この件はこれですんなり落着。

続いてのT村さんの話が面白かった。
そしてここに認知症予防活動を地域で自主的に継続していくコツがあると思いました。

その一つは
「皆さんが脳チェックを楽しみにしているんです。去年と比べて一喜一憂。それをまたみんなで話し合うんですよ」

(憂はちょっと問題。脳機能が低下した場合は、生活を見直して改善できるところを一緒に考え、生活改善指導をするところまでが関わり方ですから憂のままはありません。

いずれにしても脳チェックがないと単なるお楽しみ教室にしかなりませんよね?脳機能テストなしでは、参加者の方々が確実に認知症予防ができているという自信につながりません)

次の点として強調されたのは

「自分は一番若いので、代表や連絡係りを務めていますが、みんな平らで、指示する人などいません。それぞれが得意な分野、好きな分野の時、リーダーシップをとって、歌ったり話したり運動したりしてるだけ」

(そういわれましたが、活動の趣旨をよく理解してくれているT村さんのような世話人は必要です。T村さんの役割は次の言葉に表現されています)

「最初のころは、知らない人が多かったのですが、続けていくうちにお互いに仲良しになりました。
頼りにしてくれているし、『この教室が生きる支えになっている』という言葉を聞くと私が感動してしまいます」

さらに大切なことを言われました。

「最年長は8990になっているかも?
とにかく皆さんお元気で、一番若い私が皆さんのパワーに圧倒されるほどです」

教室を続けるうちにお元気になって行かれた方ももちろんいらっしゃるでしょうが、ここまでお元気な方たちはもともとお元気だったはずなのです。より元気に、若々しい脳になられたということでしょう。

Img_0008 なぜこれが大切かというと、地域で自主活動として継続していくためには脳機能のよい人たちを中心に据えなければ無理なのです。
かくしゃく高齢者を含め、脳機能が正常な方たちが2/3。小ボケの方は1/3どまりにすることを勧めています。

とにかく認知症予防は、脳機能が正常な時に始める方が効果的です。
他の生活習慣病と同じなのです。

中ボケになったら、カリキュラムに付いて行けませんし、地域の自主活動に任せるのは負担が大きすぎます。
専門スタッフによるもう少し濃密なかかわりや家族の熱意ある対応が必要不可欠になってきます。

エイジングライフ研究所では、認知症に対してはこのように脳機能レベルに応じた施策をと主張しています。

教室の皆さんの脳機能はまだ見ていませんが、きっとお元気な方たちがもっとお元気になられたはずと期待しています。

 

 

 


小布施便り―東部地区脳のリフレッシュ教室10周年!

2014年08月20日 | 認知症予防教室

8月1日に小布施に行きました。
いつものように講演会や勉強会も予定されていましたが、すべてに先立って「今年は、東部地区の脳のリフレッシュ教室が10年目になりました。そこで、在宅介護支援センターのスタッフと一緒にお邪魔することになってますから!」と嬉しそうな声で連絡がありました。(写真がまた回転してしまいます…)

P1000182 考えてみれば、小布施町で「『ボケても安心な町』ではなくて『ボケのない町』」を目指して認知症予防活動が始まったのは2000年に入った年だったと思います。
山王島を皮切りに、各地区で教室を立ち上げていったのですが「さしあたり町内全地区で教室ができました」という報告の後、一昨年からは10周年を迎える教室が出てきました。

2012.山王島の教室10周年記念

2013.北部の教室10周年記念

小布施町では、各地区が教室運営にそれぞれの特色を持っています。
東部地区の特徴は、ボランティアさんが支えているということです。

当日も、最強のボランティアトリオが3人参加してくださっていました。

なんとなく、ごく自然に教室が始まります。「じゃあ、最初は歌いましょうか」という声掛けをしてくださいました。

そうすると、手作りのピンク!の表紙の 歌集が開かれます。懐メロ、童謡、新しい歌も。なかなか素敵な歌集でした。

ボランティアさんが、歌う歌を決めるのではなく「さあ、今日は何から歌いましょうか?」と問いかけてくださいます。
これはきっといつも通りの展開なのだろうと思いました。

Nec_1275こういうことは何でもない事のようですが、「自分で決める」ということは前頭葉のためにはとても大切なことなのです。
考えてもみてください。毎月1回の教室でも、10年間にわたって「今日はこれを歌いましょうね」と指示され続けるのと「今日の歌は?」と問いかけられるのとでは、生き方に大きな差が生まれてくることはすぐにわかりますね。

前頭葉は日々の生活の中で、どのように使っていくのかということで、その働きが決まってくるのですから。

歌が決まると、さっとハモニカ伴奏が始まるのです。
伴奏者も歌い手さんたちも手慣れたもの。次々に歌いたい歌を申告しながら楽しい時間が流れます。

P1000180_2 P1000179

手話を取り入れたり、体操を取り入れたり 、歌うだけでなく同時進行する課題にも楽しみながら取り組んでいますね。

歌は右脳発揮のいいチャンスですが、東部地区のような取り組みだと注意力を分配しないといけないので、前頭葉までも元気になります。
お互いにお互いを思いやるというような様子も、見てとれました。これも前頭葉。

P1000181東部教室、最高齢。もうすぐ90歳!

毎回30分以上かけて歩いて教室に参加してくださるそうです。
「楽しみなんですよ!
それにこれを見てください」とわざわざ私に声をかけてきてくださいました。

東部地区では、ボランティアさんたちが手芸 教室も取り入れてくださってます。
(ハモニカ伴奏の方の胸元のブローチも作品ですって。在宅介護支援センターのスタッフの胸も飾っていました)

「このテッシュ入れを作るとき、『好きな布を選んでください』って言われて、こんないいのがもらえました!
一番きれいなのが手に入って、ほんとにうれしかった」とこの笑顔。

席の向こう側からは、「私のはこれ」とシックな作品が次々見せられます。
「自分が選んだ布で、自分が作った作品」ですから、みんなとっても満足できているのですね。

話はちょっと飛びますが、手前においしそうなものがたくさんありますね。
だいたいいつも、だれが当番というのではなく、漬物や手作りお菓子や果物や時にはちょっとしたお料理まで集まるのだそうです。お茶の時間のお楽しみですって。

これは小布施町の色々なところで見られることなのですが、ちょっと質問してみました。
「負担にはならないのですか?」とたんにお返事がいくつも!

「家にあるものですから」
「みんなと食べるとおいしいし」
「昔の料理でも喜んでくれる」
「褒められたらうれしい!」
「『教えて』とか言われると、鼻高々」

いい関係ですねえ!!都会ではちょっと考えられないことかもしれません。

P1000178_3話は戻って、歌う曲の選択と言い、布の選択と言い、積極的に「自分」が関与するやり方が続いてきたことに 、ちょっと感動しました。

ボランティアさんたちの配慮、在宅介護支援センターのスタッフの指導が10年間継続してきたということです。
ありがとうございました。

実は東部教室には、男性が1名参加されています。
奥様をなくされて独り身の方です。

「いや、やっぱり一人だと楽しみも変化もないもんだで、教室があってよかったよ。ほとんど欠席なく来てるからね!」

ほんとうに、教室があってよかったですね。

周りから声がかかります。
「私たち、親切にしてあげてるしね」
そしてみんなで爆笑。

在宅介護支援センターのスタッフが言い添えました。

「〇〇さん、脳機能検査の成績よくなってるんだものね!」

そうなのです。これが大切なのですよ。
小布施町で行われている脳のリフレッシュ教室に参加するというような体験は、認知症予防に最も近い道ですが、一般的にはそれで確実に認知症予防ができているかどうかの客観的な裏付けがもらえません。

小布施町では、脳機能検査が常に行われますから「大丈夫!」と太鼓判を押してあげられるというわけです。
もうひとつ。教室の参加期間が長いほど、脳機能がよくなる傾向がはっきりしてきました。
山王島や北部では80%の方たちが、脳機能改善という結果を誇っています。
2010年の結果です。左が山王島。右が北部です。


小布施町脳のリフレッシュ教室(北部)

2013年06月27日 | 認知症予防教室

小布施町は各地区に脳のリフレッシュ教室という名前の認知症予防教室を持っています。全地区に教室があるということと、それが原則自主活動であるということ、さらには参加している方たちの脳機能が80%は改善しているということは、この上ない認知症予防活動のモデルたりうると考えています。

S左のグラフは、一番早くから活動を開始した山王島地区の3年前の結果です。
昨年の山王島地区脳のリフレッシュ教室10周年に引き続き、今年は北部地区も10周年を迎えました。

じつは北部地区も3年前のフォローでは全く同じ傾向を示していました。
経過観察ができた人数は10名なのですが、改善8名・維持1名・低下1名。

グラフ化したら、まったく同じになります!すでに高齢者がさらに10年間、脳機能が維持改善しているというのは、やはりすごいですね。

10周年記念の茶話会が開かれ、ご招待を受けましたので喜んで伺いました。
79歳だった方は、89歳になられているし、70歳だった方は、茶話会の後「今年80歳になるんですけど、今日のお話を聞いてまた頑張ろうと思いました」とわざわざ話してくださいました。
P1000440P1000438

懐かしい話に花が咲きました。「そうそう」とうなずいたり、私のあいまいな記憶をはっきりとしてくださる方がいたり。
テッセン
P1000461こんな昔話も出ました。
「ボケ予防にいいというのでわざわざドリルを買ってきてやったのですが、これで本当にボケ予防ができるのですか?」と聞きに来られた方がいました。

「どう思いますか?」と私は聞きました。

「ドリルばっかりやっても、ちっとも面白くない。こんなことをしていたらボケてしまう」って答えられたのですよね。

「どうしたらボケないでいられると思うのですか?」と重ねて聞いたら

「脳のリフレッシュ教室でみんなと笑ったり歌ったりしていると、なんだかボケないでいられるという自信が出てきます」

「それが正解なんですよ」こういうやり取りも、ちゃんと覚えていてくださって細かく説明を加えてくださいました。

そして、右脳の話で盛り上がりました。
みんな一緒にやる。楽しいことが大切。制作するときは自分らしく自由に。歌って右脳の最たるもの。社会科見学(ちょっと出かけてカフェで一休みも含めて。北部地区だけ年間2回出かけるそうですね)。

いつも協力してくださっている公民館のスタッフが「せっかくですから今日も歌いましょう」とタンバリン片手に声掛けをしてくださいました。
在宅介護支援センターの林所長も楽しそう           手作り歌集
P1000442P1000444

平均年齢は80歳以上かと思われる皆さんが、何のためらいもなく手作り歌集を開いて大きな声で合唱や輪唱を楽しむ・・・

いいですねえ!
10年間の継続が、こういう生き方を根付かせたのですね。P1000451
でも
「散歩が大切と思って、歩いているんですが、季節になって皆さんが野良仕事に出ていらっしゃると、歩くのが後ろめたくて・・・」こんな声も聞かれます。

「ボケ予防は、自分の問題、家族に迷惑をかけるのが忍びないでは終わりません。
町も国も、高齢者がボケてしまったら、経済的に支えきれないのです。
町や国のためにボケ予防している!その気持ちを持って、胸を張って歩いていただきたいのです」と励ましましたが、多くの高齢者が持っている「遊ぶ時間があったら仕事しなくては」という考え方を、どうすれば根本から変えることができるのでしょうか???


小布施町脳のリフレッシュ教室交流会2

2013年03月07日 | 認知症予防教室

                                   北部の作品集 個性的ですね。
P1000081今回の交流会では、特筆しておきたい事がありました。
それは、自主的な活動が一段と進んだということです。

スタッフからも、
「まったく関与しないままに準備ができた」とか
「自由に集まって自由に作って持ってきてくれた」とか
「この歌を歌いたい。このダンスをやります」など、「びっくりさせられました」と嬉しそうな報告がありました。
各地区で、当然温度差はあるわけですがそれでも「自分たちの教室」「この活動で認知症予防をする」という意識がはっきりしてきたと思います。
以下の写真、一枚しかない地区は見とれて取り損ねたんです。失礼しました。

伊勢町地区。試行錯誤して、みんなが楽しめるものをたくさん見つけてください。それは正答ですから。
P1000096P1000034_2

中町中央地区。小道具も玄人はだし。かんざしもきれい。先生がいるんです。地域の人材活用の例です。
P1000097_2P1000029

飯田地区。真っ赤なほっぺにはなたれ小僧。みんなでやるから怖くない。フムフムなかなか楽しそう。

P1000099P1000100

山王島地区。いつも大人しいのに。今年は意欲的でしたね!心が一つになった「花は咲く」には泣けました。
P1000101P1000102

東部地区。「信濃の国」を歌うだけでなく、十州を紹介してくれました。そういう工夫が大切です。
P1000104P1000103

大島地区。たくさんの参加者!お花一つで気分はお祭り。前列の方は足で見事な拍子を取ってました。
P1000108P1000109

P1000111この写真も見てください。
大島地区の皆さんと会場が一つに盛り上がったところです。

13年前、この会場にこれだけの皆さんが集まったとして、こういうシーンは繰り広げられたでしょうか?
たぶん、もっとおとなしく、お行儀よくただ「見ている」だけではないでしょうか?

認知症予防は「生き方の変革」です。
このように、ノリノリの楽しみ方ができることが、変革が進んでいる証拠です。

2010年交流会の様子です。クリックしてみてください。


ブログ村

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