いい話を聞きました。
知人
「母がね、90歳なんだけど春ごろちょっとおかしかったのよね。でも、今は元気になって。
元通りといいたいけれどそれ以上(笑)」
私
「おかしいって?」
知人
「記憶力がないというか同じことを言うし、言ったことも言われたことも忘れるしね。」
(普通は物忘れのことが目につきやすいし、マスコミも言い立てますからここから言われることが多いのです)
私
「まあ物忘れは歳を取った人にはあることだから・・・?」
知人
「それが、忘れ方が今までと違うというか、説明すればわかってくれていたのに、まったくカケラもないみたいでね。今までそんなことはなかったのに、言い張ったり逆に怒ってしまうとか。
今までの母とは別の人になったみたいだったの」
私
「別の人になったみたいというのは大事な情報ね。
その人らしさは前頭葉から生まれてくるものでしょ?脳の老化が加速されるときに最初に影響を受けるのが前頭葉。
物忘れの前に、意欲が無くなったでしょ!」
知人
「そうそう!もともと『何々?』と好奇心いっぱいの母だったのに、さっぱり意欲が無くなって、何か言ってもわれ関せず。
確かに表情もなくなって、とにかくボーとしてるのよ。たまに動くとモタモタしてるし・・・
あんなにおしゃれだったのに、おしゃれにも関心がなくなったし、食卓でも今までと違って会話に入ってこないのよ。かとおもうと唐突に何か言ったりするのね。内容は全然おかしくないというか、完璧にまともなのだけど、タイミングが変なの」
(これはまた見事に小ボケの症状を列挙してくれたものです!)
私
「やっぱり前頭葉だけが元気を失ってる状態だったのね。それで春ごろにおかしいことに気づいたとしたら、去年の秋から冬にかけて生活が大きく変わってしまうことがあったのね?何が起きたの?」
知人
「暮れに、家族で食事に行ったのね。その時に倒れてちょっと意識がなくなったの。
病院では特別なことはないという説明だったけど、それから怖がって慎重になったというか、散歩もやめたし、とにかく家の中でジーとしていることが目立つようになったの。
この冬は特別寒かったことも影響してるかもしれない。ホラ雪も降ったし。
年が明けて、今度はめまいが繰り返し起きてきて、今度はジーとするしかない状態になったというわけ」
私「変な言い方だけど、マイナス要因がプラスされたから、春までにしっかり小ボケになられたのね。
それで、何をしたらお元気になられたの?」
知人
「これは小ボケかもと思ったので、家族みんなでなるべく話しかけたりしてたんだけど、前から計画していた家のリフォームが急に本決まりになってね。
4月ごろから、母の意見を聞かなくてはいけない場面や説明しなくてはいけないことが増えたの。母に決めてもらうしかないこともあったわね。
それから工事が始まって、そうすると今日は下に職人さんが入るとか、明日の午後はお母さんの部屋が使えないとか、日や時間を確認することがたくさん出てきて、きっとそれもよかったみたいよ。
家がきれいになってとっても嬉しいみたいで、さっきも言ったように、今では前以上に元気なの」
知人
「いつもあなたから小ボケの話を聞いていてほんとによかったわ。
実際に母を見ていたら、とにかく何か違うのよね。これがいつも聞いてる小ボケかもってすぐにわかったから。
だって家でも言ってる内容は変じゃないし、よその人と話せば誰も気が付かないくらい普通なのよ。でも、変!やることが母らしくないのよね。
『ことばを聞くのじゃなくて、やってることを見るのよ』といつも言ってたでしょう?
小ボケって治るのね」
私
「それは早く見つけて、家族の皆さんが一生懸命働きかけたからよ。早期発見がこれほど大切なものもないと思うわ。
もちろんリフォーム自体もよかったかもしれないけど。もう少し遅かったら、もう少し大変だったかもね。
小ボケの人で、リフォームや新築の家の新しい設備を使いこなせないという話はよくあるもの。その時はリフォームが脳の老化を早めることになるのよ」