6月10日付、エーザイのホームページよりニュースリリースの記事。
米国食品医薬品局(FDA)の末梢・中枢神経系薬物諮問委員会(Peripheral and Central Nervous System Drugs Advisory Committee、以下 本諮問委員会)が開催され、「LEQEMBI®」注射100 mg/mL溶液(一般名:レカネマブ)の臨床第Ⅲ相Clarity AD検証試験の結果が、本剤の臨床上のベネフィットを示すエビデンスであることが、全会一致で支持されました。「LEQEMBI」は早期アルツハイマー病治療薬として FDAより2023年1月6日に迅速承認取得。
当初は「今までとはメカニズムが違う認知症の治療薬が、とうとうできた!」と大歓迎でニュースを読んだ人が多かったと思います。
この鮮やかな「くれない」はニューヨークランプミュージアムで6/4に写しました。「くれない」以外は6/18の城ヶ崎文化資料館の自生種アジサイです。

しばらくすると、いろいろな立場からの疑問が呈せられるようになってきました。
簡単に列挙してみると
1.CDRの評価には客観性はどこまであるのかという有効率27%への疑問。
2.治験で見られた出血や脳のはれという副作用。(死亡例の報告もあり)
微小出血が見られた人は17.3%(偽薬投与グループは9%)、脳にむくみが生じた人は12.6%(同1.7%)
3.薬価が高い。アメリカでの標準的価格は一人当たり年間26500ドル(約350万円)

4.保険適用になったときに起きる問題。
①国の医療保険財政への負担増による財政問題。
②完全に治すのではなく悪化を7.5か月遅らせることができることとの対費用効果。
③服用が長期にわたったときの影響が不明。
④対象者が限定的。(有効なのは、認知症のごく初期MCIや軽度認知症に限るとされている)

あまり声高には言われませんが、私の疑問として。
⑤錠剤の服用ではなくて、現時点では2週間に一度の静脈点滴。そうすると医療スタッフの負担が増すことになる。
⑥副作用を見逃さないために、投与後半年間は3回のMRIが必要とされているが、その費用も大きい。
⑦FDAの迅速承認そのものに対する糾弾が起きている。

今お話ししたように、やはりいくつもの疑問を持たれているレカネマブですが、私が最も主張したい疑問点は、そもそもレカネマブが標的にしているアミロイドβが認知症の真犯人であるのかどうかということなのです。

1992年に「アミロイド仮説」が提唱されて以来多くの研究者に支持されてきたのは事実です。
このアミロイドβを標的にした新薬開発はすべて徒労に終わりその経済的損失は60兆円とも言われています。製薬会社はエ―ザイとバイオジェンを除き撤退。
声を大きくして言います!
アルツハイマー型認知症と言われる認知症の正体は、高齢者が何かのきっかけから脳をイキイキと使わない生活を続けることが引き起こしたいわば生活習慣病に過ぎません。

もしアミロイドβの沈着が原因ならば、脳機能検査を行ったときのMMS下位項目が示す見事な規則性をどのように説明できるでしょうか?
何よりも、改善する人たちをどう説明できるでしょうか?
世のなかの人たちから「あの人、危ないよね。退職したら何をするのかしら。趣味もないし人づきあいだってないでしょう」といわれる人は、確かに退職をきっかけにして脳が老化を進めることが多い。「友人が多く趣味を楽しむことができる人ってボケないよね」とみんなで言い合う。皆さんは、どうしても生き方と認知症には関連があると思っているようですね。
体験に裏打ちされた、いわば生活の知恵とでもいえそうなことを完全に無視できるものでしょうか?
体験に裏打ちされた、いわば生活の知恵とでもいえそうなことを完全に無視できるものでしょうか?

3年間続くごくごく早期の人達(前頭葉機能だけの低下にとどまっている人たち。私たちは小ボケと言います)が、変化と楽しみがある生活に変更することで、見事に改善してくるのです。
生活を変えるということは、楽しい時間を過ごすということです。あっという間に時間がたったと実感されるとき、脳はちょっと低下を戻しているのです。
ところが、どんなにがんばって楽しい時間を確保したところで、心配事などがあれば、楽しみは吹き飛んで老化を進めようとする力が強く働くことになってしまうことは容易に想像できるでしょう。
イキイキと自分らしく生き続けることができるかどうか、そこに認知症予防も改善のカギもあるのです。
ところが、どんなにがんばって楽しい時間を確保したところで、心配事などがあれば、楽しみは吹き飛んで老化を進めようとする力が強く働くことになってしまうことは容易に想像できるでしょう。
イキイキと自分らしく生き続けることができるかどうか、そこに認知症予防も改善のカギもあるのです。
そうするとアミロイドβは?
単なる老化現象ということかもしれません。戯言ではなくて、下の記事の終わりの方にナンレポートの報告を書いてあります。よく眺めてみてください。脳の萎縮もアミロイドβによる老人斑もそれが認知症の原因とはいえない。そろそろアミロイドβ犯人説根本から、覆して考えてみるのもアリではないですか!
認知症治療の新薬発表―言わずばなるまい
認知症治療の新薬発表―言わずばなるまい
by 高槻絹子

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