『銘酒居酒屋・赤鬼』赤鬼だより

東京三軒茶屋にある『銘酒居酒屋・赤鬼』のスタッフが、お酒周り、お店周り、そして旬のよしなしごとをトツトツと綴ります。

愛酒の日と浴衣会の御礼

2007-08-27 17:27:04 | 赤鬼つれづれ日記
25日(土)、26日(日)の両日、赤鬼浴衣会は大盛況でした。
ご来店くださったかた、ありがとうございました。
混んでいて入れなかったかた、ごめんなさい。
ゆかたの会、また来年もやります。そのときは是非。


その前日の24日(金)は「アイシュ」の日、でした。
といっても、アイスクリームの事をイクラちゃんの「バブー」語で 言っているのではありません。
「愛酒」です。

酒を愛した歌人若山牧水の誕生日だからなのだそうです。

……
白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり
それほどにうまきかと人のとひたらば なんと答へむこの酒の味
夜為事のあとを労れて飲む酒の つくづくうまし眠りつつ飲む
……

白玉をさかなに酒を飲んだことはまだありませんが、世の中にはあんこで飲めるツワモノもいるそうで、いやはや、右も左もいろいろですね。
酒の味は説明できないもので、そのときの体調や気持ちにぴったり添うような酒席だと、ほんとうにただうれしくたのしく、「旨いなあ」としか言えなくなりますよね。
そして三句めは、ドキッとする艶っぽい歌。

私は牧水がすきで、今でも景色を見たり心が動いたりするたびに思い浮かべるいくつかの歌があります。

……
いざ行かむ 行きてまだ見ぬ山を見む このさびしさに君は耐ふるや
白鳥は哀しからずや 空の青海のあをにも染まずただよふ
とこしへに解けぬひとつの不可思議の生きてうごくと自らをおもふ
けふもまた心の鐘を打ち鳴し 打ち鳴しつつあくがれてゆく
……

牧水は、酒の歌人であるとともに旅の歌人でもあります。
そういえば俳人山頭火も旅人であったなあ。
酒と旅は心も身体もとおくに運ぶという点で、同じところがあるのですね。


夏空から少しずつ、雲がうつりゆく季節を伝えます。
武田百合子さんは「逝く夏」と日記に書いています。
高校野球も夏のサッカーも歓声は青空に吸い込まれ、あとに残る寂寞。
雲のように鳥のようになににも染まらずにただ形を変えてただよっていく
自分を俯瞰するようで、夏の終わりはしんとした気持ちになります。

せめて夜為事のあと、たわむれにたゆたう酒を飲みましょか。
なんて見栄を張ってみたりして。

このブログをのぞいてくださるみなさん、一年365日が「愛酒の日」でありますように…。


/R