新・本と映像の森 22 中井久夫『いじめのある世界を生きる君たちへ』2016年
中央公論新社、100ページ、定価本体1200円。
著者は精神科医。自らの体験と深い思索にもとづいて、「いじめとその対応」をつづった書。
とくに「いじめられっ子」たちに読んで欲しい、と。ただし、「いじめられっ子」たちには、少し難しいかも知れない。
最初に「いじめかどうか」は、そこに立場の交代があるかどうかだ、という。鬼ごっこでも、その子がずっと鬼をやっておるなら、いじめではないか、と。
いじめる子は、その手口を、家庭や学区でまなぶ。家で親からいじめられている子どもが学校でいじめっ子になることも多い。
そして、いじめは犯罪であるという。
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いじめは次のような過程を通ってすすむ。つねに、加害者による被害者の暴力的な、ときには直接の暴力も伴う、改造過程だ。
① 被害者の孤立化 ② 被害者の無力化 ③ 被害者の透明化
透明化すれば、いじめは見えなくなる。加害者は、被害者にたい「無理難題」何でも命令できるようになる。
では、どうすれば、いいか。
まず、第1にすべきことは、被害者の「安全の角保」である。
そして「被害者の劣等感を軽くしてあげる」こと。
このあとは、また別の物語になるのだろうと。
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