オラリア時代と違ってファゼンダ時代の遊びにはメリハリがあった。
休日が遊びの日で朝から浮き浮きしていた。
作業着の代わりに晴れ着を着た。
といってもアイロンがかかっている、つぎはぎがないという程度の違いしかなかった。
休日には農場主のNさんちの子供も加わって大勢でいろんな事をして遊んだ。
フットボールはなくビー玉ゴルフをした。
スタートからゴールまで何箇所もホールが掘ってあって複数の競技者が順番に敵たちの玉を弾き飛ばして穴から遠ざけながら穴入れの成功を競う。
成功すると次の穴を狙える。失敗すれば交替する。
最終ホールを1番早く攻略したものが勝者となる。
ビー玉の飛ばし方が日本と全然違う。人差し指を丸めて親指の上に玉(弾)を載せて親指ではじく。
敵の玉に当てて弾き飛ばす快感はフットボールのシュートに匹敵する。
野球はまだなくイギリスから入ったクリケット遊びをした。
二手に分かれてホーム(石油缶ほどの木組みの小家)を護る。
バッターはホームの前に立ち相手がホームを狙って投げたボールを打ち返す。
空振りしてホームを壊されると即チェンジ。
当たればセカンドホームを回って還ってくると1点。走行中に敵がボールをキャッチして二つのホームのどちらかに当てて壊すとアウト。
ホームランになりそうでないときはセカンドホームで止まって次打者のヒットを待つ。
アウトになるまで点を重ねることができる。
ワンアウトで攻守交替。
野球の原型だ。
ブラジルにはイギリス人がフットボールとクリケットを伝えた。
自由奔放なガイジンはフットボールを発展させ、規律正しい日系人は野球を継承した。
わたしは前者のほうが性に合っていた。
それが私の人生を規定した。