自分史 物怖じしない国際人を育てるヒント集

近現代史に触れつつ自分の生涯を追体験的に語ることによって環境、体験、教育がいかに一個人の自己形成に影響したか跡付ける。

戦争法を眠らせる法/憲法研究

2015-10-04 | 体験>知識

安倍晋三が信介、晋太郎の墓に悲願達成の報告をし、あらたに改憲の大願を祈願した。
改憲は岸信介の大願でもあった。
岸は首相退任後もその信念は揺らぐことがなく、経済一辺倒に舵を切った池田、佐藤両内閣に不満をつのらせ、改憲運動に努めた。
京大ブントもそれへの対応を迫られ、わたしが「憲法研究会」の責任者になった。

まず、戦後在野の「憲法研究会」を代表して「憲法草案要綱」を起草して新憲法GHQ案に骨子的示唆をあたえた先輩・鈴木安蔵の著作をもとに学習会をもった。
鈴木は1926年に治安維持法違反第1号「京都学連事件」で検挙され在野で憲法を研究していた。
かれは起草にあたって明治憲法成立前の私擬憲法20余を参考にした。
その内の一つ植木枝盛の名を聞けば受験で習ったと思い当たるのでは?
映画「日本の青空」(2007年)は鈴木の生涯を題材にしている。

ついでわたしはワイマール憲法の内容とその骨抜きの経緯を研究した。
ナチスドイス研究者・山口定先生を立命館に訪ね話を聞き、招いて講演をしてもらった。
この間学んだことを列挙すると・・・
1.インフレ、恐慌に苦しむ国民は、不況から脱出のために強権と変革を求める。
2.苦難の原因を他人種、隣国に帰し、攻撃し戦争も辞さない。
3.憲法は不磨の大典でなく、国権と民権の力関係によって解釈される。力関係のバランス次第で生かされもし眠らされもする。

したがって、国民が経済成長ボケになって政治に無関心になっていると、代議制民主主義に基づいて憲法が解釈され、骨抜きにされる。国民は高い代償を支払わされる。今回の戦争法成立は、だまし討ち、不意打ち、顔見知りのコンパ主宰者によるレイプみたいな違法行為である。
合意なき行為につき民衆の根深い憤激、遺恨をまねいた。
そのため民意のバネがはたらいた。
力のバランスが民権側に傾き力関係が正常化した。戦争法が適用しにくくなった。
先例がある。破壊活動防止法(1952)である。戦争法発動の動きに対してそのつどカウンターパンチで反撃するのが草の根民主主義である。
国権と民権、どちらにも一理ある。
その狭間で迷って当然。バランサーの左の皿に多数が乗れば憲法が生きる。