風のささやき 俳句のblog

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雪の降った週末に 【詩】

2022年11月24日 | 

「雪の降った週末に」

可愛げのない顔をした
雪だるま
紅いニンジンの唇

少し離れたところから
怪訝そうに僕を眺める
誰だろうこんな深い雪の日に
わざわざ訪ねて来るなんて と

 ○

顔に触れた
子供の手の冷たさ
その小さな跡が
頬にそのまま
紅葉のように
赤く くっきりと
残りそうだ

 ○

幾つかの柿の実は
まだ枝にぶら下がっている

干し柿に選ばれなかった実だ
とんだ晒しものだと

雪にますます
赤らむように見える

 ○

雪囲いが 間に合わなかったと
笑って話す 隣人
寒いですねと 言葉を交わした後には
降りしきる雪の中で
黙々と 体を使った作業が続く

 ○

横目で眺める
屋根の上の雪の厚み
雪下ろしに駆り出されるには
もう暫く時間がかかりそうだと
ほっとしている

 ○

静けさの中を 歩いてみれば
雪が 隠し忘れた
大根の葉っぱ
ぐったりとして
SOSを
送っているようにも見える

 ○

陽射しが覗いたのに
あざ笑うように
舞い降りる雪

まだまだ 序の口だよと
髪の毛にまとわりついて
耳に 吹聴している

 ○

威勢よく 温風吹き出す
石油 ストーブ
ちらり ちらりと 
燃える炎が その奥に見える

頑張ってくれ 君だけが頼りだ

 ○

子供の体が温かい
寝かしつける振りをして
ぎゅっと抱きしめて
暖をとっている

 ○

布団の中に 入っても寒い
肩の辺りで 冷たい獣
凍った息を 吐いている みたいだ