jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

歳の取り方 ・・・・・ DOUBLE RAINBOW / JOE HENDERSON

2025-01-31 | ジャズ・ts

 

30年も前の作品を初めて耳にした。ずっと気にはしていたけれど、避けていた理由は1990年代に入りVERVEからリリースされた一作目”LUSH LIFE”が世評の良さに反し、今一つピンと来なかった。それどころか”LUSH LIFE”、二作目の”SO NEAR, SO FAR”までもグラミー賞を受賞したとあっては、カルロス・ジョビンの作品にフォーカスを当てた一枚と雖も、本来ならばよだれが出そうですが、手に取ることはなかった。

ヘンダーソンとボサ・ノヴァとの組み合わせは意外と言う評、コメントをよく目にするが、MILESTONEからの一作目”THE KICKER”(1967年)に収録されているジョビン作”O Amor Em Paz”を聴いた時、自分の文脈に落し込み、自分の語法でしっかりと謳うヘンダーソンのボサ・ノヴァにグッと惹き込まれ、いつかボサ・ノヴァ集を出してくれないかなぁ、と密かに願ったほどです。先日、ひょんな所で目の前に輸入盤CD(VERVE)が、しかもワンコイン(500円)とは!、もう救出するしかないですね。

SuiteⅠはブラジルのミュージシャンとのボサ・ノヴァでメロディのフェイクが巧みです。SuiteⅡはハンコック、マクブライド、ディジョネットという黄金トリオを配した純ジャズと言ってよく、中でもかっての熱き血潮を彷彿させるガチな”No More Blues”は圧巻です。

本作を一言で表せば「マチュア」(円熟)ですが、素晴らしい出来映えで「良い歳の取り方をしましたね」と付け加えたいです。例えるならば、街で偶然見かけた昔の彼女がより綺麗になっていて、立ち尽くすイメージです。自分にとってこちらがグラミー賞受賞作。

 

BLUE NOTEからRIVERSIDEに移籍した第一作”THE KICKER”(1967年録音)。滅多に日が当たりませんが、結構、好きな一枚。

 

晩年期のヘンダーソンの名声を高めたVERVEの作品群に絡んだB・ストレイホーン作の”Chelsea Bridge”、M・ディビスの”Nardis”、そしてジョビンの”O Amor En Paz”の三曲が収録されている。

最後に余計な事を、

グラミー賞を二年連続して受賞(VERVEの強力なお膳立て)したヘンダーソンは思い上がって「今の俺は昔のオレとは違うぞ!」とばかり、ライヴのポスターの一番上に自分の名が無い、とドタキャンしたり、録音をすっぽかしたりして顰蹙を買っている。演奏面とは真逆で両立は難しいかなぁ。心情的には兎も角、調子に乗り過ぎると碌なことはありません。