RE-ISSUEシリーズで陽の目を見たBN未発表2枚組。
3つのセッションから成り、
一つはフロントをB・モウピン、P・パトリック、C・トリヴァー の3管編制のSEXTETによる3曲(1970.1.16&23)、2つ目はモウピンが入ったQuartetにString Quartetをプラスした3曲(1969.8.1)、そしてF・ハバード、J・ヘンダーソンの2管QuintetのLP一枚分の5曲(1965.2.10)
一枚目の1、2と二枚目の3の間、4、5年間のHILLの変わり様が本作の聴き所でしょうか。
分かり易く言えば、語弊があるやもしれませんが軟化している。1.ではあの特異な強い個性が薄れ、リズムに乗りスムーズに流れている。勿論、俗化している意味ではないけれど、当時のジャズ・シーンの変化をHILLと雖も無視出来なくなったと、容易に推測できる。しかしながら、HILLの本質はそれほど変わっているようには思えず、内装・外装が上手く嚙み合っていないのでは?また、突如ストレート・アヘッドな3曲目に違和感を覚えてしまう。
それから、String Quartetをプラスした3曲、こうした実験的試みに対するHILLのイマジネーション不足が浮き彫りになり、どれを聴いても途中から同じように聴こえてしまうのが残念。
ハバード、ヘンダーソンとのセッション、
ヒルと二人は別々に録音しているが、意外にもこの二人は初顔合わせ、しかも2管でLPフルサイズもの(BN)は本作のみと貴重です。
1965年と言えば、内容はおおよそ見当は付きますね。この時期、サイドとしてハバードはフリー色を一番発揮しており、彼に刺激されフリーぽい曲を含め、早い話、3人の「ガチンコ勝負」です。
このセッションはリアル・タイムでリリースされても良かったのでは? 世に出た1975年ではジャズの潮目はすっかり変わってしまっていたので。
お蔵入りの原因を探ると、リリース・ローテーションの犠牲の可能性が強いけれど、ひょっとして2曲目のトリオによる”ERATO”かな?ちょっと「甘過ぎ」で、折角のテンションが途切れるほど浮いている。
少々、ネガティブなコメントになりましたが、60年代のジャズの急流に翻弄された?魅力あるジャズ・ピアニスト。
なお、1.2はF・ウルフ、3はA・ライオンがプロデュースしている。
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