コレクターへの入り口、登竜門として知られる通称「インペリアル三部作」。
所有する盤は1983年、「ジャズ・コレクターのための最後の名盤」としてリリースされた国内盤。3枚とも帯がそのまま残っている。残した理由は、いずれ処分する際、少しでも高値で引き取ってもらえる算段からだが、オリジナルに買い替える目的だったかどうか、記憶がハッキリしていない(多分、無かったと思う)。と言うのは、聴く前から曲数の多さから凡その見当は付いており、残念ながら、その通りだった。帯にコレクターズ価格(オリジナル盤)がそれぞれ35,000円と記載されており、中身と相場は必ずしも一致しませんが、それにしてもかなり盛り過ぎです。
三枚、それなりに変化を付けていますが、ベースは同じなので、好みは人それぞれでしょう。曲単位で一番好きなトラックを挙げれば”GO MAN!”のラスト・ナンバー”If I Had You”かな。2:42と演奏時間は短いけれど、甘めのメロディを特有の下品ぽさを垣間見せながら吹き切るクリスの世界、One & Onlyです。
余計な話ですが”GO MAN!”のカヴァはスクーターの脚が有る、無しの2種類があるそうで、その昔、コレクターの間で話が盛り上がったようです。どちらが本当のオリなのか? ある方なんでしょうね。
で、60年代に入り、不遇をかこっていたクリスは1962年、ヨーロッパへ渡り、心機一転を図る。
その記録が1962年10月~63年4月に掛けてPolydor/Branswickに吹き込まれた2枚組16曲です。レコードの希少性はあるものの、内容はにやけた笑い顔通りで肩透かしを喰らう。
前回、UPした”AT THE CROSSROADS”のライナー・ノーツに1965年ロスに戻ったクリスを取り巻く厳しい環境について触れられている。
苦慮したクリスはなけなしの貯金をはたき自費でレコーディングしたデモ用音源をPrestigeレーベルのプロデューサー、ドン・シュリッテンの所に持ち込み、同レ-ベルとの契約に漕ぎつけたそうです。
その背水の陣で録音(1965年6月)した音源をB面に収録したレコードがこちらの”MEMORIAL ALBUM”(XANADU 200)。
メンバーはH・HAWES(p)、C・JOHNSON(b)、F・Butter(ds)
”Saturday Morning”、”When Sunny Gets Blue”、”The Masquerade Is Over”、”What's New”、“Ursura”の5曲で、“Ursura”では何とソプラノsaxまで披露している。この5曲が全てなのか、それとも選出されたものか定かでありませんが、それこそ切羽詰まった演奏と思いきや、実にナチュラルで穏やかなプレイを展開している。シュリッテンはそこに伸びしろを見い出し、レコーディングのチャンスを与えたのだろう。66~69年に掛け、7作もリーダー作を録音している。この5曲に「下町、裏通りのキング」と愛される原資が秘められていると言っていいでしょう。
なお、この音源はクリスの死後、7年置いて1984年に日の目を見ている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます