旧録音の海外CD盤は国内盤にない魅力がある。一概には言えないが、日本はオリジナル仕様を優先的に考え、海外はレコードと切り離して詳しいデータ、情報等々を付加価値として積極的に組み入れている。考え方が根本的に異なるような気がします。
今回アップしたのは米コロンビアがリリース(1999年)したCD。人気曲の”Someday ・・・・・・”のオルタネイト・テイク1曲と未収録曲1曲がボーナスとして加えられている。
ライナー・ノーツはトランペッターのE・ヘンダーソンが新しく書いているが、失礼ながら大したものではなく、録音時のデータ等の方に興味が湧きます。
例えば録音スタジオ(Columbia 30th Street Studio. NYC)は兎も角、録音日の時間帯(一例、2:30 to 6:30 PM)、エンジニア名(二人)、Take No.、オルタネイト・テイク、未収録曲が日の目を見たアルバムなどの情報が記載されている。
この作品のエピソードが生まれたのは、計3度の録音の内の2度目(1961.3.20)、”Someday ・・・・・・”の録音時、手古摺るモブレーに見兼ね、急遽、他で仕事中のコルトレーンを呼ぶくだりですね。ただ、既に出来上がっていたオルタネイト テイクを聴くと、やや甘目ではあるが、ボツにするほどのレベルではなく、マイルスは同曲のインパクトをより強めようとコルトレーンに連絡を取ったのだろう。
それより、目に留まったのは、モブレーが入った”Teo”のテイクが結局、完成せず、リジェクト(廃棄)され、翌日(21日)、再びコルトレーンが入り(モブレー抜き)完成させている所です。
つまり、”Someday ・・・・・・”のような愛くるしいメロディのワルツ曲や、スパニッシュ・モードの”Teo”は、モブレーにとってあまり得意ではなかったかも。選曲との相性に運がなかったのだろう。
もう一つ注目点が、3度目(21日)、マイルスはモブレーと気心が知れたP.ジョー・ジョーンズをスタジオに呼び、”Blues No.2”(未収録曲)1曲だけ、コブと入れ替えている。そしてモブレーはマイルスと共に水を得た魚のようにハード・バップを謳歌している。勿論、コルトレーンは抜けている。
マイルスのモブレーの心情を察しての計らいである事は明白ですね。
なお、1回目の録音日(1961.3.7)に収録された”Drad Dog”でオリジナルLPでは短くカットされているモブレーのソロが、このCDで初めて元通りに修正されている。ケリーのpがフライング気味で被っているのがカットされた理由ですが、割を喰ったモブレーは気の毒ですね。気にするほどではなく、尻切れトンボ感が残っただけでカットしなくても良かったのでは、モブレーのためにも。
アナログ時代から好録音盤として評判が良かった一枚、CDの音も20bitだけどGooですね。
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