2009年1月25日、名古屋の覚王山にあるライブ・ハウス「STAR EYES」でトリバーが率いるBIG BANDを聴いた。総勢16人、その中にS・カウエルやB・ハーパーも居た。決して広くない店内でそれこそ目と鼻の先で彼らの演奏を、また、休憩タイムでは肩が触れ合い、集まったファンとの間にやけどしそうな熱い一体感が充満していた。
トリヴァーは勿論、M・ブラウンの「WHY NOT」を聴いてぞっこん惚れ込んだカウエルを間近で見、聴けるなんて夢にも思わなかった。
マスターの話では、近くに熱心なカウエル・ファンがいて、時々、カウエルを呼んで「STAR EYES」でライブを行っていたそうです。知りませんでした、そんな凄いファンがいたとは。
そうした経緯があって、このBIG BANDのライブが実現したのでしょう。
トリヴァーとカウエルと言えば、多様性と流動性に満ちた70年代初頭、一途なアコースティク・ジャズで瞬く間に当時のジャズ・シーンを席巻した「MUSIC INC」の主宰者で、リアル・タイムでその人気を体験したファンには忘れられないグループですね。
時には刹那的に、時には切々と情感を乗せて歌うトリヴァーに「tp一本、さらしに巻いて・・・・・」の浪花節イメージが強いです。
トリヴァーのレコード・デヴューはマクリーンの‘IT'S TIME’(BN)、‘ACTION’にも参加し、その後、M・ローチのグループを経て独立している。
本作は1968年7月2日、初リーダー・セッションとしてレコーディングされたにも拘らず、翌1969年に録音された‘THE RINGER’が先にリリースされ、3年後の1971年になって日の目を見た。
メンバーが凄いですよ! A面はハンコック、カーター、チェンバースのカルテット、B面にデビューして間もないG・バーツが参加。内容は‘THE RINGER’には及ばないものの初リーダー・セッションに懸けるトリヴァーの一本気なtpを中心に好演が続きます。この時点で、「MUSIC INC」の構想はもう出来上っていたのではないか。
全6曲、トリヴァーのオリジナルで占められ、なかなかチャーミングな曲ばかり。昔から「オリジナルが好まれる時は機運が高まり、スタンダードが好まれる時代は停滞期」とよく言われるが、その諺通りですね。
ただ残念な事に、録音が高域にシフトしやや紙っぽく、特にハンコックのpは細く甲高く聴こえ、知らずに聴いたらハンコックとは思わないだろう。ここが、リリースが遅くなった主因と思います。アンプのTREBLEを絞ると少し改善されます。
以前、紹介しました‘THE RINGER’
「不滅の名演盤」と公言して憚りません。既に「MUSIC INC」のクレジットが見えます。
人気絶頂の1973年の日本公演盤。こちらも良いです。
いずれもアコースティク・ジャズの「鑑」ですね。
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