海外長期出張、公費で旅行ができるありがたい話。
むかしは、選ばれた人が大いなる目的をもって出かけたものだった。
いまは目的もさまざまに変化する。
逃亡ではないが、この人にはある期間日本にいてもらわないほうが都合がよいという適時退避が内実目的、現地実態調査が外面目的というのもあるらしい。
強い発言力と豊富な情報をもった重要人物が、公式の場で発言を求められては困ったことになりそうな場合に使われそうな手である。
人間の知恵は、悪いほうには惜しみなく働く。
「聖者の行進」などという日本語に訳した曲名が使われなくなって、セイジャノコウシンを「正邪の更新」と聞き取ってしまうほど、正真邪道の分別が怪しくなると、長期出張の目的など、どのようにでも使い分ける悪知恵が、ある世界に入ると自然についてしまうもののようである。