・・・・・・あわぞうの覗き穴・・・・・・

気が向いたときに、覗いてご覧ください。
何が見えるかは、覗く方々のお眼め次第です。

懐炉

2011年12月27日 | つぶやきの壺焼

カイロとカナ書きすると、エジプト生まれかと思うぐらいのことだが、懐炉と漢字で書くと、そのものを知らない人は、懐に炉を仕込むのだからものすごい装置ではないかと思うだろう。
昔の懐炉は、いまの線香一束ほどの大きさの燃料棒に点火して、薄型で小さめの弁当箱のような格納容器に入れて、それを懐中に忍ばせていた。
格納容器は、角を丸めた金属製で、表側にビロードを貼って当たりをやわらかくし、ばね仕掛けの蓋がパタンと閉まるものだった。
どこかに隙間があって、ちょうどよい具合に酸素が供給される構造になっていたのだろう、最後まで完焼し、時間が経てば冷温停止するよう巧くできていた。
その後出てきたのが白金懐炉。白金のコイルが燃焼口にあって、そこに石綿のようなものが詰まっていて、タンクの中に入れてあったベンジンが徐々に沁み出し少しずつ燃えていく仕掛けだった。タンクはずっと小型になり、腹巻に落とし込んでおいてもじゃまにならない、よい形にできていた。
それから後は、いまの振ると発熱する袋入りのものになった。

テーブルに、円形のぺしゃんこになった縫いぐるみのようなものが置いてある。
釣り耳がついていて鍋つまみのようにも見える。
なんだそれ、と聞くと、袋だという。
袋だけではわからない。
手にとって見ると、背中が割れてそこから物を入れるらしい。
CDの袋にしては少し小さい。
懐炉入れだと聞いてわかったが、へえと思ったのは、持ち主が小学生なのだ。
小学生が懐炉を使うのか。なんとまあ爺くさい。
こちらの爺はゴルフをやめてから懐炉など持って歩いたことはないのに。