主要道路の交差点に、はっきり名前がつくようになってから、道を覚えやすくなりました。
「そこを過ぎていくつめの信号」などと言っても、数え損なうこともあり、次に行ったとき信号が増えていることもあって、あてにはなりません。
交差点の名には無骨なのもあれば、しゃれた名前もあります。
「汀橋」という名の交差点を通りかかって、「みぎわばし」か、いい名前だと思いましたが、通り過ぎるとき、看板の下側に「Nagisa・・・」という字が見えました。
汀には、なぎさという読みもあったのでした。
なぎさは「渚」、この字かと思っていたのですが。
MS-IMEでは、「なぎさ」で渚も汀も登録されていますが、藤堂漢和では渚は「なぎさ」、汀は「みぎわ」と区別されています。
それはともかく、見えない橋はどこにあったのだろうと、後で地図を見ましたが汀橋らしいものはありません。
この名のついているバス停は見つかりました。
その交差点から山側へ道をたどっていくと、地図に川の書き込まれたところがあります。
むかしの川が道になっているようです。
狭い町に広い道をこしらえるため、川にふたがかぶされました。
場所によってはふたもせずに道にしてしまったところもあります。
川が道になれば、橋のところはそこで交差点になります。
探してもわからないはず、「なぎさ橋」は、その場所で橋から交差点に名前が引き継がれたのでした。
そのときの都合次第で橋も交差点も、なぎさもみぎわも、人間の知恵はまこと融通無碍にはたらきます。