震災に遭った農地に加工工場を建設しようという復興案を農水省に申請したら、工場は経済産業省の管轄だからと受理されずに持ち帰され、頓挫してしまったという話を聞きました。
高台に復興事業を考えれば、そこは持ち主不明の山林で、土地取得の方法も見つからないという話もあります。
せいぜい100日ぐらいで何とかなりそうないろいろなことが、700日を超えてなお放置されるのは、回転式行政方式のおかげのようです。
たらい回しでうまくいっているのは、たらいの親戚である洗濯機だけでしょう。
行政のたらい回しは、なぜ起きやすいのか、それは組織の縦割りせいだという答が簡単に出てきます。
何か困った問題に、簡単に出る答には共通の性格があります。
それは「答を出す人が、自身は何もしないですむこと」です。
これこそたらい回しの本質なので、「たらい回しは、組織の縦割りのせい」という答に、もうたらい回しが始まっています。
たらい回しは、そうしたがる動物の習性ですから、それが悪いと言ってみても、なくすことはできません。
たらい回すをやめてもらうには、回っているたらいを抑えて止めるしかないのです。
「ではどうやって」「それだけ言うなら簡単」という声が聞こえてくれば、それもたらいの回転音で、そこでもたらいが回り始めているのです。