・・・・・・あわぞうの覗き穴・・・・・・

気が向いたときに、覗いてご覧ください。
何が見えるかは、覗く方々のお眼め次第です。

わかりにくい放送

2013年04月12日 | つぶやきの壺焼

電車の車内放送は、昔は肉声だった。
「次はどこどこです」を、乗務員室からわざわざ出てきて車掌が告げる。
もちろん、連結車両のうち車掌が立っているハコの中にしか、その声は聞こえない。
だから、隣の車両に移ってまた同じように言う。
そのころは短い連結しかなかったから、端から端まで巧くいけば回りきれた。

車掌にはもう一つ仕事があった。乗り越しの社内精算、これは時間がかかる。
乗り越し客につかまれば時間切れになって、駅で停車すると急いで最後尾の車両まで戻る。
大変な作業の繰り返しだが、多くの車掌は手際よくそれをこなしていた。

いまはマイク放送で、近距離電車の場合に車内精算もしないから、客室内に車掌は入ってこない。
放送が聞こえてくると、その声からどんな顔をしているのか想像するのも面白い。


あるとき、「次は○○です」がとんでもない方向の駅名に聞こえた。
まあ、たまにはそういうこともあるか、とそれほど気にしなかったが、二駅過ぎてまた「次は××です」と聞き、またかと思う。
その××は降りる予定の駅名だったが、そこに着く直前に「××です」ときた。
驚いて立ち上がり、ホームの駅名看板を見るとやはり違う。
あわてて降りなくてよかった。

こちらの耳がおかしくなったのか、頭がおかしくなったのか、そのほうが気になり始め、次の放送から耳を澄まして聞き取るようにした。
そこからは違わずに目的の駅まで行って降りた。

なぜ違って聞こえたのか。
こんどはそのなぜのほうが想像の対象になる。
まず、くぐもったようなキレの悪い声が誤聴のもと、なぜ声がそうなるのか。

ちかごろカラオケ用にマイクにピタッと吸い付くようにして歌うと、声が外に漏れない仕掛けのものができたという。

マイクを近づけると、声を張り上げずにすむ。

省エネルギーが無条件で善とされると、なるべく力を入れずに声が届くようにと、マイクに口を近づける。
しかし、マイクがある距離を保ったときに音質が最高になるよう設計されていれば、極端な近接発声は、間違いなく音質破壊の原因になる。

このあたりのことを、実務研修に組み入れて体験させるようなカリキュラムを組んでもらえると、車内放送だけでなく、放送のプロでなければならないラジオのアナウンサーも、上ずった聞きづらい声で気象情報を叫ぶようなことも少なくなっていくのではないかと思う。

何ごとも、発信はモニタリングと組み合わせなければ、品質向上はできないのだ。

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