何気ない風景が、視界の端をよぎる。
えっ! そう思い振りかえりみれば、紫の煙幕に楓が映えていた。
脈絡は無いけれど、高砂(たかさご)が浮かんだ。
高砂や この浦舟に帆を上げて 月もろともに出で潮の・・・。
高砂の松と住吉の松は相性の松、・・波の淡路の島影や、遠く鳴尾の沖過ぎて、はや住吉に着きにけり、・・離れていても夫婦である。
婚儀の定番は、やはりその成り立ち方からして秀逸の風景を連想させる。
紫の背景に色づき始めの楓も、相性がいい。
相性のいいところを大事にすれば、高砂や なのである。
そういえば近々、私は何度も、この唄を思い出すはめ、もとい、人生を寿ぎ慶びに浸る機会があるのであった。