小さな旅、大きな旅の写真物語(Virtual trips/travels)

京都や東京を本拠地として、自然の中や町を歩きながら、撮った写真をどんどん掲載します。いっしょに歩いているように。

アイスランドの旅 その2 ブルー・ラグーン /  北欧神話

2019-09-14 14:10:21 | 旅行
アイスランドの旅 その2
2019-8-29


Fujifilm X-T3+Zeiss touit 12mm

ツアーバスで国際空港そばのブルーラグーンに向います。遠くから湯気が見えますが、これは大規模な地熱発電施設で、この海底2000mからくみ上げた地熱海水の二次利用で、5000平方キロメートルの大規模な露天温泉が作り上げられています。アイスランドには各地に温泉が湧き出ています。ブルーラグーンは人工的に作り上げた温泉で、あたかも冷たくて泳げない海のかわりに、国民の為に人工の海水浴場をつくったという感じです。


Fujifilm X-T3+Zeiss touit 12mm

ブルーラグーンへの道は鬼押し出しを思わせるような溶岩ゴロゴロの間を抜く道を5分ほど歩くのです。

水着に着かえてシャワーをあびてから露天風呂に入ります。まずは顔に泥パック。当方はヒリヒリするので早々にギブアップしました。情報として、家内が心配していたメガネは自己責任で持ち込むことが出来ました。よかった、よかった。水辺ではフロートを腕に付けた小さな子供が水浴びをしています。こんな不透明なところでおぼれたら、到底見つけることはできません。とっても自己責任の国だなと思います。日本は甘ったれすぎているのでしょう。


Fujifilm X-T3+Zeiss touit 12mm


Fujifilm X-T3+Zeiss touit 12mm


Fujifilm X-T3+Zeiss touit 12mm

我々のブルーラグーン・ツアーには一杯の飲み物がついています。当方はレッドワインを一杯。飲んでしまってから写真を撮ろうということになって、ロッカーまで戻ってFujifilm X-T3を持ち出しました。 皆さんGoProらしきアクションカメラや防水スマホを持ち込んでいます。でかいキヤノンの一眼レフを持ち込む中国系の集団もいらっしゃいました。大丈夫ですかね? すべて自己責任です。なぜか、中国系の方はみんなでジャンプして撮影、インド系の方は女性の後姿を攻めるという特徴があるのが面白い。
アイスランドはきちっとしたことと、ラフなところが同居している。Plainなだけに、過去のしがらみや権力者のしがらみなしに、一人一人のFlatな人間視点で合理的なシステムを組んでいる所のように思えます。

プラスチックのカップに温泉の水をいれてワインのふりをして撮影。


Fujifilm X-T3+Zeiss touit 12mm


Fujifilm X-T3+Zeiss touit 12mm


Fujifilm X-T3+Zeiss touit 12mm

飲み物を売っているブースの周りには人が集まって、みんなで、ワイワイ、パーティーです。
まったく町中のパブのごとくです。温泉で男女が酒をぐびぐび飲む。これも自己責任。


温泉サイドで、家内は海苔巻き、当方はサンドイッチを買って昼食です。アイスランドの地の果てで、大露天風呂を見ながら海苔巻きを食べる図は何とも不思議な気分です。

午後3時ころにホテルに戻ります。まだ、時間は十分あるので、ロイガベーグル・メインストリート探索を続けます。


Fujifilm X-T3+Zeiss touit 12mm

我々のホテル、ミッドガルトセンターホテルはロイガベーグル・メインストリートと、町中を走る全てのバスの起点、終点であるバスターミナル、フレンムルのすぐそばです。このターミナルには、フードコートが隣接しています。このフードコートは最近できたもので、本格的料理を手軽に食べられるので、連日大変にぎわっています。


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm ミッドガルトセンターホテル


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm

ホテルの中庭には温泉プールといおうか、露天風呂といおうかそんなものがあって、いつも誰かが入ってその特別な感覚を楽しんでいました。

町を遠出するバスは殆どツアー会社が経営するバスで、この遠距離バスターミナルは町の南側に集中しています。早朝は別のようですが、大型バスは町中に入れずに、小型の乗り継ぎバスがホテルで客を拾ってまわり、ツアーバスターミナルで大型バスに乗り換えます。フレンムルのバスターミナルは北側にあり、ほぼ町中近距離用です。当方はこれを南側のツアーバスターミナルと混同していたので、あぶなく大きなミスをするところでした。ちなみに近距離用バスチケットは一律値段で、スーパーマーケットで買います。運転手にわたすと、時間を打ったレシートをわたされ、これで1時間15分以内は何度でもバスにのれます。実際はこの時間は適当なようで、郊外に出かけたときは帰りの料金はいりませんといわれました。切符がないときは現金を運転手にはらえばいいのですが、おつりはありません。

この2本立てバスターミナル・バス運営システムは結構日本でも役立つかもしれません。地方の赤字バスをコンパクトな街中バス中心にして自動運転化する。遠距離バスは郊外にターミナルを設けて、遠距離バスツアーを倍増させる、当然ツアーの目玉もどんどん整備せねばならない。これでこそ外人向けの観光が日本中に広がり、同時に地域の人の足が確保される。遠くの観光にマイカーで渋滞と格闘する必要もないし、疲れる全行程バスツアーで、通り一遍の観光しかできないということもなくなる。京都のような無茶苦茶な交通混雑が緩和され、人の住む町は静かになる。だから人が集まり、ビジネスが回る。2種のターミナルは面倒かもしれないが、日常の生活が向上することの方が重要です。

当方は、地方創生のかなめは、公共交通手段にあると思っています。日常の生活と郊外の非日常の生活の双方の質を上げて、生活が楽しくできなければ、90歳すぎても小さな軽自動車で山道を運転しなければならない地方にいくら仕事があっても、移住したい人はいないのではないでしょうか。
こんなことを考えさせるのが、plainなアイスランドなのです。


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF23mm

バスターミナル脇のビルにあるストリート・アート。誰の絵か分かりません。

ロイガベーグル・メインストリート探検には北欧神話の理解が必須です。
北欧神話の骨格は以下の通り。実体は面白い話が、枝葉のように無数に入り組んでいます。これだけシンプルに北欧神話をまとめるに当方は大変な努力をしたのです。面倒かもしれませんが、読まなければ損です。

第一章 世界が出来るまで
太古の昔、宇宙には巨大な裂け目があるだけだった。その北には氷と霜の国、南には炎の国があった。氷と炎がぶつかって裂け目にしずくがしたたり、そこから最初の生物である巨人ユミルが生まれた。その後、最初の人間と巨人達が生まれ、その間の子、三兄弟オーディン、ヴィり、ヴェーが生まれる。彼らは力を合わせてユミルを殺し、ユミルの体などから海、土、山、天、太陽、月など世界を作る。この時に人間を作り、大地の真ん中の国、ミッドガルドに住まわせる。この時に巨人族は滅びるが、一組の夫婦が脱出して、ヨツンヘイムに住む。
これが後々のアース神族と巨人族の最終決戦ラグナロクにつながる。
第二章 ヴァルハラのアース神族
ミッドガルドの中心、アースガルドに3兄弟とその一族がアース神族として住む。オーディンはアース神族の最高神で宮殿ヴァルハラの王座にすわる。馬は8本足のレイプニル、槍は百発百中のグングニル。オーディンは片目とひきかえに知恵を、クワーシルの霊酒を手に入れ詩を世にもたらし、苦行によりルーン文字を手に入れる。
ワルキューレという乙女達を戦場につかわして、戦死した勇者の霊を集める。
トール(英語読みソー)はオーディンの息子、アース神族最強の雷神。投げれば必ず命中し手元にもどってくるミョルニルというハンマーによって無数の巨人を打ち倒し、神と人間の国を守っている。
別の神族でアースガルドと和議を結んだニヨルド、その息子フレイ、双子の妹フレイヤがアースガルドに合流する。フレイヤはワルキューレの先頭に立ち、死者の霊を集める。
ロキは巨人族であるが、オーディンの義兄弟となり、アース神族に加わる。
イドウンは青春のりんごを持つ女神。神々はこれを時々食べて若さを保つ。イドウンは青春のりんごと共に巨人族に連れ去られアース神族は窮地に立たされるが、ロキがこれを取り戻す。一方ロキはバルドルを殺したことで罰をうけ、受け皿に満杯になり漏れ出す度に毒にもがき苦しむことが地震となるといわれる。このロキとアース神族との確執が最終戦争ラグナロクにつながる。
バルドルはオーディンの息子で、光の神。彼の見た悪夢を心配した母フリッグが、世界のあらゆるものにバルドルを傷つけないという約束をさせた。しかし、唯一幼いために契約できなかったヤドリギがあることを知ったロキは、バルドルの盲目の弟ホズルにこの木を投げさせた。これに貫かれてバルドルは死に、最終戦争ラグナロクが近づいた。
ウトガルトはヨツンヘイムに住む巨人の王。
スルトは炎の国のムスベルヘイムの入り口を守る巨人。ラグナロアでは炎の巨人達を引き連れておしよせる。
ロキは女達に3匹の魔物を生ませた。恐ろしく凶暴な狼フェンリル、とてつもなく大きな大蛇となるヨルムンガンド、死の国の女王ヘル(地獄)。 戦死でなく、病気や老衰で死んだ者はヘルに行く。これらはアース神族によりなんとか封印されていた。
第三章 最終戦争ラグナロク
バルドルの死によって世界は光を失い、3年もの間冬が続いた。太陽と月はフェンリルの子の狼に飲み込まれ、あらゆる封印は吹き飛んだ。解き放たれたロキは巨人族を、ヘルは冥界の亡者を、スルトが炎の巨人たちを率い、フェンリルとヨルムンガンドもアースガルドに押しよせた。アース神族と巨人族の激しい戦いの結果、スルトが投げつけた炎の剣によって世界は火の海につつまれ、海の底に沈んでいった。
しかしその後、新しい陸地が浮上し、新たな太陽が生まれ、バルドルもよみがえった。ヴィダルなど数名の神は生き残り、アースガルドの跡地に住まいを建て直した。また男女1組の人間が森の中で生きのび、彼らの子孫が地を満たした。

ワーグナー、「ニーベルングの指環」ではオーディンはウォータン、その妻フリッグはフリッカ、トールはドンナー、イドウンはフライア、ロキはローゲとして登場する。ワルキューレや宮殿ヴァルハラはそのまま。神々と巨人族が地下の小人族の持つ、強大な力を持つ指輪を取り合う。北欧神話では世界は三層(九つの世界)で構成されている。上層は神々や人間の国、中層の巨人や小人の国、下層は死者の国などとなっている。ニーベルングの指環では神々の国、巨人の国、小人の国の三層になっており、ウォータンはその全制覇をねらって、指輪を手に入れたかった、それが達成できずにやけになり放浪生活に入る。そのためにヴァルハラは堕落してゆく。堕落したヴァルハラを浄化するためにブリュンヒルデがロキに頼んで(ここははっきりしないが、ブリュンヒルデの意志が前面にでる)火を放つ顛末になっている。ヴァルハラは焼け落ちるが、最後に再生を暗示する旋律がふっと現れるところが北欧神話の再生と重なる(神々の黄昏)。
「ニーベルングの指環」ではウォータンと人間の間の子達が近親相関で産んだ子、ウォータンの孫にあたる英雄ジークフリートとワルキューレのメンバー、ブリュンヒルデが話の筋の中心となる。不死身のジークフリートは背中の唯一の盲点を刺されて死ぬが、バルドルの盲点を刺されて死ぬ話が移行したと思われる。このあたりはいかにもワーグナー好みで、彼が北欧神話をもとに創作したのだろう。わけわからん怪物ばかりで、かっこいい男と女が登場しなければ話にならないから当然かもしれない。



ロイガベーグル・メインストリートの探索では、北欧神話トール(英語読みソー、アベンチャーおよびマイティー・ソーという映画に登場 )、オーディンの名を付けた店に出くわします。トールではルーネ文字でロキとかいた木製ネックレスを娘用に家内が購入。ロキは美形の神なので娘がファン。


スマホ


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm


2019-8-31 Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm


2019-8-31 Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm

さらに、ジュエリーの店、グルトブージンでは銀製の知恵という意味のルーン文字のネックレスを自分用に、トールのハンマーを娘用に家内は購入。その後、帰りがけの空港で、安いトールハンマーとワルキューレのそれぞれネックレスを購入。
ルーン文字とはゲルマン人がゲルマン諸語の表記に用いた古い文字体系ですが、2~3世紀にデンマークで生まれたとされています。つまり古代北欧文字が原点で、ゲルマンにもノルマンにも伝わっているということです。アイスランドには移住したノルマンがすでにルーン文字をもっており、ゲルマンのルーン文字が時代とともに変化していったのに対して、アイスランドのルーン文字は原型をとどめているので、研究者はさかんにアイスランドのルーン文字を研究します。北欧神話ではオーディンがルーン文字を手にいれたことになっているので、ルーン文字は北欧神話の一部なのです。漢字のように文字が発音だけでなく意味をもっています。アイスランドではルーン文字を書いたぐい飲みのような陶器も売っていて、ルーン文字はあちこちで見かけます。


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm グルトブージン

日本のアイスランドの案内書にグルトブージンが出ていたのを、この店の人が感激して、スマホで本のこの店のページを撮影。ディスプレイはごちゃごちゃですが、いろいろいわくありそうなジュエリーが並んでいて楽しい。いわくを理解しないと、ただ高価なだけですが。


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF23mm

グルトブージンとか66ノース近くの分かれ道は真っすぐハットグリムス教会に続き参道のようです。この道はアート・ストリートの様相もあり、何やらちょっと気取ったジュエリー、絵画、陶器などの店がならびます。


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF23mm

当方にはPlainなアートというよりは、どこにでもありそうな気どり方がかえって興味を半減させています。どうみても富士山の形をした陶器とか、ウインドウの撮影禁止の札とか。

ハットグリムス教会はアイスランドで最も高い建物の一つです。このルーテル教会は、建設に41年もの歳月を要し、1986年に完成した新しい教会です。その名前は17世紀のアイスランドの詩人であり牧師であるハトルグリムル・ピエトルソン(Hallgrímur Pétursson)に由来します。教会の美しい外装は、プロテスタントデザインのシンプルさ、スバルティフォスの滝(Svartifoss Waterfall)にある六角形の玄武岩の柱状節理と雷神トールのハンマーの形をモチーフにデザインされたということで、またトールが登場します。面白いですね、キリスト教の教会に原始宗教の痕跡をまぎれこますとは。


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF23mm


2019-8-30 撮りなおし Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm


2019-8-30 撮りなおし Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm

この教会のエレベーターでトップに上るとレイキャビックの町を360度見渡せます。一人1000円弱ですが、必見でしょう。


2019-8-30 撮りなおし Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm

これは、次の日に当方が一人で再び上って撮影しなおした写真です。前日は夕方でもう日がかげっており、曇り気味でもあったので、写真が不満だったのです。この日は天気はよかったのですが、夕方でまだまだ光線が足りません。振り返るとアイスランドでの撮影は、そのコントラストの強さに悩まされています。人の顔は真っ暗か真っ白か、白黒2分割か、まともに撮れません。景色も対象に合わせるとせっかくの空の色がとんでしまいます。ダイナミックレンジの設定をうまく変化させるべきだったとかフラシュを使うべきだったとか、自分の技術の未熟を後悔しています。夜も遅くまで明るいのですが、写真にすると寝ぼけた写真となり魅力なくなります。日本とは同じようにゆかない。すべての状況でそれなりに撮れるスマホのほうがいい写真になるので、ショボンです。


2019-8-30 撮りなおしFujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm

このようなアイスランドのあちこちにある低い山に雲がかかるさまが、いかにも神々が住む山あるいは怪物が住む山で、映画のような物語が展開されているに違いないと想像をかきたてられるのです。


2019-8-30 撮りなおし Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF23mm

23mmと45mmを比較すると、やはり45mmの方が説得力がある。ただ広角による印象の希釈だけが原因でないような気がするのです。彫りの深さの違いといいましょうか、23mmにはUVフィルターを付けるべきかもしれません。


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF23mm

これは撮りなおし前日(2019-8-29)の撮影で、コントラストを抑えて影の部分を明るく修正しています。ねぼけてしまいます。


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF45mm

これも前日。


Fujifilm GFX50S + Fujifilm GF23mm

教会は外側も中側もシンプル。ヨーロッパのごてごてしたゴシック建築を見慣れた方には拍子抜けしてしまうでしょう。アイスランドのplainの象徴であるかのように、ハットグリムス教会はとっても合理的な存在です。どこからでもこいつを目印に町を歩けるし、展望台はよい観光資源であるし、内部はでかいディスプレイが供えられた、よい集会所なのです。しかもグッドなフォルムのアート彫刻なのです。


Fujifilm X-T3+Zeiss touit 12mm

前日の写真。Fujifilm X-T3+Zeiss touit 12mmなら少しは眠くなくなるかとおもったのですが、やはりアイスランドのコントラストに対応することはできていません。アイスランドの撮影は無茶苦茶季節と天候と時間に左右されるようです。

今日はここまで、明日は2019-8-29の続きです。


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