Newアート考察 その5 天王洲アイルは東京のアート発信の地となりうるか?―3
2021-6-7
New Yorkのコンテンポラリー・アート拠点はNY市、マンハッタン島の海側(南側)とブルックリンに点在します。
ニューヨーク在住アーティスト、勝俣泰斗(かつまた たいと)さんの紹介するNew York Galleryは以下の通り(一部です)。詳細はネット・サイトを見てください。
チェルシー http://taitokatsumata.com/archives/1977
Jack Shainman Gallery
Marianne Boesky Gallery
Metro Pictures
ソーホー http://taitokatsumata.com/archives/1985
Peter Freeman. Inc.
ロウアーイーストサイド http://taitokatsumata.com/archives/2005
Bodega
Derek Eller Gallery
Nicelle Beauchene Gallery
Miguel Abreu Gallery
Invisible-Export
ウエストヴィレッジ http://taitokatsumata.com/archives/2060
Greenspon Gallery
Maccane New York
ブルックリン http://taitokatsumata.com/archives/2031
Signal
Pioneer Works
Luhring Augustine Bushwick
ここに載せたGalleryはほんの一部。NYには1500軒ほどのギャラリーがあり、アートビジネスは130億円程度の経済効果があると言われています。
佐藤慎也 東京都23区におけるギャラリー利用に関する研究
Microsoft Word - 数田宗房_四枚稿final修.docx (nihon-u.ac.jp)
から、面白い数字がありました。東京23区のギャラリー数は以下の通り。この論文が書かれた年次が分かりませんが、ここには台東区周辺で増殖するギャラリーは入っていないと思われます。
東京約1400万人 、ニューヨーク840万人ですから、1万人あたりの人口比軒数は東京23区0.347 ニューヨーク市 1.786 で約5倍の違いがあります。さらにギャラリーと言ってもその内容が違います。ニューヨークのギャラリーは新人作家発掘とサポートをビジネスとリンクさせることがメインであるのに対して(前回ブログを参照願います)、ここでいう東京のギャラリーとはアートの為の貸展示スペース・ビジネスのことを言っている(正確な定義は上記原著をご覧ください)。NYギャラリーのようなギャラリーは東京23区に数えるほどしかないと思われます。
NYギャラリーの展示と天王洲、Terrada Art ComplexI/IIの展示内容を比較すると、ひいき目で見て、同等のレベルと思われます。NYのギャラリー作品はピンキリで、ここに載せたものはコンテンポラリー・アートとして平均的なものと推測されます。ということは、東京の展示物はNYにレベルにやっとこさっとこ手がかかる程度が現状でしょう。
次回に詳しく議論しようと思っていますが、日本のアート/芸術は日本伝統工芸をルーツとする工芸、これは実用性を持った応用芸術です。一方と西洋発アートをルーツとする絵画・彫刻はもっぱら飾るため純粋芸術です。この2つにばっつりと2分されるように思われます。
この2つは分離する必然性はないのですが、現実にばっつりと2分されるのです。当方がこれまでに主張してきた意見は、
①日本伝統工芸はすでに完成しており、それに上乗せすればいいのですから、あまり心配していない。無論それを存続させることは大変で、ビジネスとすることも大変なのですが、なんとかなるでしょう。何と言ってもこちらのビジネスに関連する人の数は西洋発アートに比してはるかに多いと思われます。
②問題は西洋発アートの日本における位置です。西洋発アートを日本でビジネスとするのは、限定された例外を除いて、あまりにも大変な世界だ(西洋発アートでは大半の方が日本で食べていけない)。
天王洲アイル・アートのメインは西洋発アートですからこれをビジネスとして展開するには特別な展開が必要なのです。Terrada Art ComplexI/IIのベースにある世界レベルでのアートビジネス展開は一つの重要な方向であることを教えてもらいました。商社経験者である寺田倉庫社長の得意な分野なのだろうと思われます。Terrada Art ComplexI/IIのこの方向は素晴らしいことだと思います。
天王洲アイル・アートは寺田倉庫の資産(財力と能力)にバックアップされて、ここにエネルギーが結集されています。この方向をさらにサスティナブル(持続可能)にするにはどうしたらいいか、すこし考えてみました。
①天王洲アイル・アートの目的を<アートで食べていける世界を作る>とすると、まずは多くのアーティストが活動し、その中から抜きんでた人が現われる必要があります。美大はいっぱいありますが、その卒業生は殆ど食べて行けず、創作活動をあきらめる方が大半です。 天王洲アイルのエネルギーを使って、これからのアーティストが住んで、創作活動できる共同エリア(芸術村)を運営することはできないでしょうか? アーティストとって、お金はないが、スペースはどうしても必要なのです。アーティストの創作活動はひとりでに大きなエネルギーを生み出します。この創作活動現場が地域にエネルギーを与え、地域の雰囲気を一変させます。芸術村を始動し、なんとか自立できるようになるまで、寺田倉庫のようなパトロンがサポートできればすばらしい。ベンチャーのインキュベーターのように、アートビジネスが独り立ちできるように種々のサポートを行うのです。芸術村の敷地を広くして、野外にぼこぼこアート立体が出現したら楽しい。
② すでに、アートを基盤としてワールドワイドにビジネスを展開できている企業 例えばイケア、アラビア、マリメッコなどのショウルームを天王洲アイルに勧誘することができれば、人が集まり、この地域のアート環境をサスティナブルにします。たまたま北欧ビジネスばかりになましたが、これらは現状の天王洲アイル・アートの方向に合致しているように思うのです。
③ 全国に分散している、地域の日本工芸ビジネスを天王洲アイルに勧誘しましょう。現代に適応して生き残っている日本工芸ビジネスが全国の地域地域に点在しています。例えば、京都の京焼や木工、金沢の九谷焼、金細工、沖縄の焼き物、漆器、会津の漆器、輪島の漆器、富山のガラス器、東京のガラス器、等々。これらのアンテナショップを天王洲アイルに集約します。現在の天王洲アイル・アートは西洋発アートがメジャーですから、日本工芸ビジネスを混ぜると雰囲気が崩れるという懸念もありますが、あえて、西洋発アートと日本工芸をぶつけて両者の<自然な融合>が生じることに期待したいと思うのです。もしここから新しい融合アートが生まれれば、それは日本全土に世界中に広がってゆくでしょう。
この3つが加われば、天王洲アイルを世界に向けて、サスティナブルにアート発信地になることが出来ると思うのですが、いかがでしょうか??
当方も天王洲アイル・芸術村にスタジオを借りたいな!
2021-6-7
New Yorkのコンテンポラリー・アート拠点はNY市、マンハッタン島の海側(南側)とブルックリンに点在します。
ニューヨーク在住アーティスト、勝俣泰斗(かつまた たいと)さんの紹介するNew York Galleryは以下の通り(一部です)。詳細はネット・サイトを見てください。
チェルシー http://taitokatsumata.com/archives/1977
Jack Shainman Gallery
Marianne Boesky Gallery
Metro Pictures
ソーホー http://taitokatsumata.com/archives/1985
Peter Freeman. Inc.
ロウアーイーストサイド http://taitokatsumata.com/archives/2005
Bodega
Derek Eller Gallery
Nicelle Beauchene Gallery
Miguel Abreu Gallery
Invisible-Export
ウエストヴィレッジ http://taitokatsumata.com/archives/2060
Greenspon Gallery
Maccane New York
ブルックリン http://taitokatsumata.com/archives/2031
Signal
Pioneer Works
Luhring Augustine Bushwick
ここに載せたGalleryはほんの一部。NYには1500軒ほどのギャラリーがあり、アートビジネスは130億円程度の経済効果があると言われています。
佐藤慎也 東京都23区におけるギャラリー利用に関する研究
Microsoft Word - 数田宗房_四枚稿final修.docx (nihon-u.ac.jp)
から、面白い数字がありました。東京23区のギャラリー数は以下の通り。この論文が書かれた年次が分かりませんが、ここには台東区周辺で増殖するギャラリーは入っていないと思われます。
東京約1400万人 、ニューヨーク840万人ですから、1万人あたりの人口比軒数は東京23区0.347 ニューヨーク市 1.786 で約5倍の違いがあります。さらにギャラリーと言ってもその内容が違います。ニューヨークのギャラリーは新人作家発掘とサポートをビジネスとリンクさせることがメインであるのに対して(前回ブログを参照願います)、ここでいう東京のギャラリーとはアートの為の貸展示スペース・ビジネスのことを言っている(正確な定義は上記原著をご覧ください)。NYギャラリーのようなギャラリーは東京23区に数えるほどしかないと思われます。
NYギャラリーの展示と天王洲、Terrada Art ComplexI/IIの展示内容を比較すると、ひいき目で見て、同等のレベルと思われます。NYのギャラリー作品はピンキリで、ここに載せたものはコンテンポラリー・アートとして平均的なものと推測されます。ということは、東京の展示物はNYにレベルにやっとこさっとこ手がかかる程度が現状でしょう。
次回に詳しく議論しようと思っていますが、日本のアート/芸術は日本伝統工芸をルーツとする工芸、これは実用性を持った応用芸術です。一方と西洋発アートをルーツとする絵画・彫刻はもっぱら飾るため純粋芸術です。この2つにばっつりと2分されるように思われます。
この2つは分離する必然性はないのですが、現実にばっつりと2分されるのです。当方がこれまでに主張してきた意見は、
①日本伝統工芸はすでに完成しており、それに上乗せすればいいのですから、あまり心配していない。無論それを存続させることは大変で、ビジネスとすることも大変なのですが、なんとかなるでしょう。何と言ってもこちらのビジネスに関連する人の数は西洋発アートに比してはるかに多いと思われます。
②問題は西洋発アートの日本における位置です。西洋発アートを日本でビジネスとするのは、限定された例外を除いて、あまりにも大変な世界だ(西洋発アートでは大半の方が日本で食べていけない)。
天王洲アイル・アートのメインは西洋発アートですからこれをビジネスとして展開するには特別な展開が必要なのです。Terrada Art ComplexI/IIのベースにある世界レベルでのアートビジネス展開は一つの重要な方向であることを教えてもらいました。商社経験者である寺田倉庫社長の得意な分野なのだろうと思われます。Terrada Art ComplexI/IIのこの方向は素晴らしいことだと思います。
天王洲アイル・アートは寺田倉庫の資産(財力と能力)にバックアップされて、ここにエネルギーが結集されています。この方向をさらにサスティナブル(持続可能)にするにはどうしたらいいか、すこし考えてみました。
①天王洲アイル・アートの目的を<アートで食べていける世界を作る>とすると、まずは多くのアーティストが活動し、その中から抜きんでた人が現われる必要があります。美大はいっぱいありますが、その卒業生は殆ど食べて行けず、創作活動をあきらめる方が大半です。 天王洲アイルのエネルギーを使って、これからのアーティストが住んで、創作活動できる共同エリア(芸術村)を運営することはできないでしょうか? アーティストとって、お金はないが、スペースはどうしても必要なのです。アーティストの創作活動はひとりでに大きなエネルギーを生み出します。この創作活動現場が地域にエネルギーを与え、地域の雰囲気を一変させます。芸術村を始動し、なんとか自立できるようになるまで、寺田倉庫のようなパトロンがサポートできればすばらしい。ベンチャーのインキュベーターのように、アートビジネスが独り立ちできるように種々のサポートを行うのです。芸術村の敷地を広くして、野外にぼこぼこアート立体が出現したら楽しい。
② すでに、アートを基盤としてワールドワイドにビジネスを展開できている企業 例えばイケア、アラビア、マリメッコなどのショウルームを天王洲アイルに勧誘することができれば、人が集まり、この地域のアート環境をサスティナブルにします。たまたま北欧ビジネスばかりになましたが、これらは現状の天王洲アイル・アートの方向に合致しているように思うのです。
③ 全国に分散している、地域の日本工芸ビジネスを天王洲アイルに勧誘しましょう。現代に適応して生き残っている日本工芸ビジネスが全国の地域地域に点在しています。例えば、京都の京焼や木工、金沢の九谷焼、金細工、沖縄の焼き物、漆器、会津の漆器、輪島の漆器、富山のガラス器、東京のガラス器、等々。これらのアンテナショップを天王洲アイルに集約します。現在の天王洲アイル・アートは西洋発アートがメジャーですから、日本工芸ビジネスを混ぜると雰囲気が崩れるという懸念もありますが、あえて、西洋発アートと日本工芸をぶつけて両者の<自然な融合>が生じることに期待したいと思うのです。もしここから新しい融合アートが生まれれば、それは日本全土に世界中に広がってゆくでしょう。
この3つが加われば、天王洲アイルを世界に向けて、サスティナブルにアート発信地になることが出来ると思うのですが、いかがでしょうか??
当方も天王洲アイル・芸術村にスタジオを借りたいな!