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胡蝶の夢





英国での隔離生活、規制はやや緩まったものの、週明けで10週目を迎えようとしている。

3月末に隔離を始めた時は早寝早起きが自慢だったのだが、最近は温室で昼寝ばかりしているので夜寝られない。

温室内は夜中になっても気温が24度くらいに保たれていて、いくら自由時間があるとはいえ、勉強もせずに遊んでいたらあっという間に午前3時、4時になってしまう...


「吾が生や涯てありて、知や涯てなし」


夫は6時起きなのでほとんど入れ替わりで寝室へ行くことになる。

朝、起きられなくても支障がない毎日で、一向に生活改善できない。朝10時に起きて午前3時に寝る生活。

いつかほんとうに社会復帰できるのかしら。
もう以前の日常、ロンドンで19時半のパフォーマンスに間に合うためには何時に家を出て、何時にはあれをすませて、これは何時までに...という計算ができなくなりそうだ。





「いつだったか、わたし荘周は夢で胡蝶になった。
ひらひらと舞う胡蝶だった。
心ゆくまで空に遊んで、もはや荘周であることなど忘れはてていた。
ところが、ふと目覚めてみれば、まぎれもなく人間荘周である。
はて荘周が夢で胡蝶となったのであろうか。
それとも、胡蝶が夢で荘周となったのであろうか。
荘周と胡蝶はたしかに別の存在とされる。
だが荘周は胡蝶となって空を舞う。
これを「物化」と言う。」
(岸陽子訳『荘子』斉物論篇より 徳間書店)


「物化」というのは、シェイクスピアの

There is nothing either good or bad but thinking makes it so.
「善と悪は存在しない。人間の思考がその区別をつくるだけだ」

と、同じだ。「万物斉同」。


真紅の芍薬、美しすぎてシュール。

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