沖縄県が、辺野古への土砂海上搬送が続いている本部塩川港でのベルトコンベア設置を許可してからすでに半年が経過した。
月単位の許可なので、本部町島ぐるみ会議は毎月、所管の北部土木事務所との交渉を行い、翌月分の許可をしないよう要請を続けている。今月の交渉は明日(27日・水)に設定されている。
以下、明日の交渉のための質問・要請書を掲載する。
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北部土木事務所長様 2021年10月27日
本部塩川港でのベルトコンベア設置許可問題に関する質問と要請
本部町島ぐるみ会議
本部塩川港でのベルトコンベア設置許可問題について下記のとおり質問します。
また、来月分の港湾施設用地使用を許可しないよう申し入れます。
記
1.港湾使用の実態について
1-1. 本部塩川港に設置されたベルトコンベアは、本年4月分の許可以降、毎月3分の1程度しか使用されていない。特に、9月25日からは、10月21日まで、連続して27日間も使用していない状態が続いた。
全く使用しないにもかかわらず、3000平方メートル以上もの荷捌地がフェンス・土嚢で囲われ、ベルトコンベアが置かれた状態となっていることは、港湾管理上も問題である。
長期間使用しないときは、いったん撤去させるべきではないか?
1-2. 事業者は申請にあたって、「シップローダは、日曜日を除き原則毎日を想定しています」と説明していた(2020.2.27 北部港運の回答文書)。当初の説明とは全く異なった使用実態となっており、許可そのものを見直すべきではないか?
2.港湾施設用地使用許可の法的根拠、使用料について
2-1. 今回、本部塩川港でベルトコンベア設置について港湾施設用地使用許可を出した個所は、「荷さばき地」(F-4-11)である。
港湾法第2条第5項では、「港湾施設」を、「水域施設、外郭施設、係留施設、臨港交通施設、荷さばき施設(荷さばき地等)、旅客施設、保管施設、船舶役務用施設、港湾公害防止施設、廃棄物処理施設、港湾環境整備施設、港湾厚生施設、港湾管理施設」とし、その敷地を「港湾施設用地」と定義している。
9月28日、北部土木事務所は、「沖縄県港湾管理条例施行規則第6条の『荷さばき地』、『港湾施設用地』の定義を説明されたい」という質問に対して、「『荷さばき地』は、貨物の荷降ろし、荷さばき、一時保管の用に使用する土地」と答えたが、「『港湾施設用地』は、港湾施設の敷地であり、基本的には港湾法と同様の定義と認識している」としか答えることができなかった。港湾法では、「港湾施設」の中に「荷さばき地」も含まれているのであるから、これでは定義にならない。
条例に基づき、利用者に使用料を課すのであるから、それぞれの用語の定義は明確にしなければならない。港湾管理条例に港湾施設用地の定義がないまま使用料を課すことは問題ではないか?
2-2. 港湾施設の使用料は沖縄県港湾管理条例第8条に基づく別表第2で定められている。今回のベルトコンベア設置については、「種別:港湾施設用地使用料」の「区分:港湾機能施設用地その他」で使用料を算出したという。「港湾機能施設用地」の定義は何処に記載されているのか? この点についても条例に定義のないまま使用料を課すことは問題ではないか?
2-3. 本部塩川港のベルトコンベアについては、以前は、本部町長が荷さばき地使用許可を出していた。しかし、2018年7月以降は、県が港湾施設用地使用許可を出すようになった。
この点について北部土木事務所は8月25日、9月28日に、「本部町と県は連絡調整を行い、固定物の設置など荷さばき地の使い方として適さないものについては港湾施設用地として県が取り扱うと整理した。そのことから、2018年7月以降は港湾施設用地使用許可を県が出している」と説明した。
しかし、「その際の本部町との協議文書を示されたい」という我々の質問に対して、北部土木事務所は8月25日、「確認します」と答えたが、9月28日になっても、「そういう文書があるかどうかは確認中です」とその協議文書を示すことができなかった。
本部町との協議文書を示されたい。県の収入となる使用料にかかわる問題を文書もないまま、担当者の解釈だけで変更することなど、行政としてあり得ない。3年前に突然、方針を変更したのだが、従前の措置との整合性に問題はないのか?
2-4. 今回は、荷さばき地の使用であるから、沖縄県港湾管理条例第8条に基づく別表第2の「荷さばき地使用料」に基づき、使用料を算定すべきではないか?
この点については防衛局ですら、「港湾管理条例を読む限りシップローダを使用して積込みを行う場合も荷さばき地使用に該当する」との見解を示していた(2020.1.28 防衛局、北部土木、琉球セメント、北部港運の協議)。北部土木事務所の解釈は通用しないのではないか?
2-5. 北部土木事務所は、「移動できない固定物は港湾施設用地使用許可」というが、港湾法、港湾管理条例や国の通達、解説書等の何処にそのような定義があるのか?
また、タイヤ洗浄装置や沈砂池等は確かに「移動できない固定物」としても、ベルトコンベアはキャタピラで移動可能である。ベルトコンベアについて、「移動できない固定物」として港湾施設用地使用許可を出すのは問題ではないか?
2-6. これらの点について北部土木事務所は、「港湾課と確認し、検討を行っているところです。内容が条例や規則の解釈にかかわることから時間を要しています」という答弁を繰り返している(6月29日、7月29日、8月25日、9月28日等)。
まだ結論が出ていないのであれば、新たな許可を出し続けることは許されないのではないか?
3.その他
<1日のダンプ台数制限について>
3-1. 防衛局は2017年11月22日、本部塩川港から辺野古への資材搬送について、崎本部地区で説明会を開いた。その説明会で防衛局は、運搬時間:「午前8時~午後5時」、搬送量は「一日にダンプトラック160台」と約束した。しかし現在、本部塩川港には1日に1000台近いダンプトラックが出入りしており、地元との約束は完全に無視されている。
この点について9月28日、北部土木事務所長は「防衛局にどういうことか確認したい。説明会のとおり履行していないのはどういうことか説明を求めます」と答えた。
その後、防衛局にどのような確認を行ったか説明されたい。地元との約束どおり、ダンプトラックは1日に160台までに抑えるよう指示すべきではないか?
<警備員のマスク不着用について>
3-2. 本部塩川港の警備員は、休憩時に不織布マスクを使用する者も出てきたが、業務中は今も感染予防には全く効果がないマウスシールドを付けているだけである。この問題について、北部土木事務所は何度も事業者、防衛局に指導・要請してきたというが、現在も改善されていない。
9月28日、北部土木事務所は、「再度、呼びつけて話をする。それでも改善されないようなら、指導の文書を出すなど、強く対応していきたい」と答えた。
その後、現在までの指導の状況について説明されたい。今も改善されていないが、今後の「強い対応」について具体的に説明されたい。
<米軍車両の本部塩川港進入について>
3-3. 10月20日、本部塩川港に米軍の大型トラックが進入した(右写真参照)。
北部土木事務所は事前に連絡を受けていたか?
何のために入ったのか、防衛局に確認したか?
3-4. しかも、この米軍トラックには火薬積載中を示す「火」の標識がついていた。1日に1000台近いダンプで混雑している港内に、火薬を積載した米軍車両が進入したのだが、不慮の事故のおそれもあった。
県として、防衛局・米軍に強く抗議するべきではないか?
3-5. 北部土木事務所は、「港内の施設を利用する場合は事前に許可が必要だが、通行に関しては港湾機能に支障がない限り問題はない」というコメントを出した(2021.10.22 琉球新報)。このコメントは、県民に誤解を与える不適切なものであり、撤回を求める。
<港内の不法占拠物件について>
3-6. 9月28日にも指摘したが、港内には現在、鉄板、水タンク等が放置されたままである。北部土木事務所として現場を確認したか? 何故、撤去させないのか?
<臨港道路の破損について>
3-7. 大量のダンプトラック通行により、港入口の臨港道路が大きく破損している。以前から何度も指摘してきたが、この部分の補修は何時、行うのか?