チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

辺野古への土砂を搬出している琉球セメント安和鉱山の違法な林地開発問題 --- 県の行政指導文書が開示された! /// 違法と認定しながら、何故、違法採掘個所での土砂・石材搬出を今後も認めるのか!

2020年07月24日 | 沖縄日記・辺野古

 辺野古埋立のための土砂を搬出している琉球セメント安和鉱山が、森林法で定められた林地開発の手続きを行わないまま土砂・石材を違法採掘してきた問題については、本ブログで何回か説明してきた。沖縄県も7月2日、現地に立入調査を行って違法を確認し、7月9日には琉球セメント㈱に対して文書による行政指導を行った(その経過については7月9日の本ブログを参照されたい)。

  (琉球セメント安和鉱山の全景と違法開発個所 (沖縄ドローンプロジェクト撮影))

 7月9日に県が出した行政指導文書が22日に開示されたので下に添付する。

 この行政指導では、「あなたが行っている開発行為は、森林法第10条の2第1項で規定する許可を受けなければならないが、許可を受けていない」として違法と認定し、「本年8月31日までに林地開発許可申請書及び顛末書を提出する」と指示している。

 しかしこの行政指導文書には大きな問題がある。琉球セメント㈱の違法行為を認め、林地開発申請を行うよう指示したのは当然だが、8月末までに申請書を提出し、それが許可されるまでの間も、違法開発部分での土砂・石材の採掘を禁止していないのだ。少なくとも違法と認定したのだから、申請書が許可されるまでの間は違法開発部分での開発行為は禁止するのが当然だろう。 

 これでは、知事の許可が必要な各種申請について、業者が法令を無視して申請を出さずに強行しても、事後に申請書を出すと言えば、許可が出るまでの間も違法行為の継続が認められるという悪しき前例をつくることになってしまう。まさに、県行政の根本が問われる事態と言わざるを得ない。

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 この問題についてまとめた文書を以下、転載する。

「森林法では、地域森林計画の対象となっている民有林は、水源の涵養・災害の防止・環境の保全などの公益的機能を有していることから、1ha以上の土地の形質変更を行うためには知事の林地開発許可を受けなければならないと定められている。

 ところが、名護市から本部町にかけて拡がる琉球セメント安和鉱山では、本部町側のほとんどが地域森林計画の対象地に指定されているにもかかわらず、琉球セメント㈱は森林法に違反して林地開発の手続きを行わないまま開発行為を続けてた。

 ここにはもともと部間山(306m)があったが、違法開発の結果、山は根こそぎ無くなり広い平坦地になってしまった。そのため、山の分水嶺も大きく変わってしまうという極めて大規模な違法行為である。

 知事の許可がない地域森林計画指定地の開発行為は、懲役又は罰金という罰則規定まである重大な違法行為であることから(森林法第10条の2、第206条)、この問題を放置するわけにはいかない。

 沖縄平和市民連絡会は昨年来、県に対して、この問題に毅然と対応するよう繰り返し要請してきた。その結果、県は本年7月2日、現地に立入調査を行い、7月7日には琉球セメント㈱に対して北部農林水産振興センター所長名で行政指導を行った。そこでは、「あなたが行っている開発行為は、森林法第10条の2第1項で規定する許可を受けなければならないが、許可を受けていない」と違法の事実を認定し、本年8月31日までに「林地開発許可申請書及び顛末書」を提出するよう指示している。

 森林法第10条の3では、「知事は違反者に対し、開発行為の中止を命じ、又は復旧に必要な行為を命じることができる」とされている。しかし、今回の行政指導文書では、「上記申請の許可を得るまでの間は、森林区域において新規の伐採行為を行わないこと」と指示しているにすぎない。これでは琉球セメント㈱は、違法開発個所での更なる土砂・石材の採掘を自由にできることとなる。何故、違法開発個所でのこれ以上の土砂・石材の採掘中止を指示しないのか、全く理解できない。

 県の担当者は、その理由について、「現地は古くから開発されており、今までも災害は発生していない。林地開発制度の趣旨からも、災害発生のおそれがない場合は許可をしなければならず、中止命令を出すことはできない」と説明した(本年7月9日、農林水産部森林管理課長)

 しかし、今までの違法開発行為で災害が発生しなかったとしても、今後、更に土砂・石材の採掘が行われた場合も災害発生の恐れがないということにはならない。それは今後の開発行為の詳細について申請書を提出させ、審査を行って初めて判断できることである。

 林地開発の許可の基準は、「災害発生のおそれ」だけではない。「水害を発生させるおそれ」「水の確保に著しい支障を及ぼすおそれ」「周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれ」の全てを満たさなければならない(森林法第10条の2第2項)。「災害発生のおそれがない」というだけで、「許可をしなければならず、中止命令を出すことはできない」というのは間違っている。たとえば流域面積の変化による河川の流量変化、そして環境面への影響についても、塩川(国指定特別天然記念物)の汚濁との関連等を調べる必要などがあったはずである。

(注)琉球セメント安和鉱山下から流れる塩川が最近、雨天時などに大量の赤土が流れて汚濁しているのは、同鉱山の大規模採掘と関連しているのではないかという疑いが指摘されている。塩川のような塩水が流れている川は世界にも2ケ所だけという極めて貴重なものであり、汚濁原因の調査が必要である

 また、知事が林地開発の許可をするためには、県森林審議会及び関係市町村長の意見を聞かなければならない(森林法第10条の2第6項)。今回、森林審議会及び関係市町村長の意見も聞かずに違法開発部分での開発行為の継続を認めることは、同法の趣旨にも反する。 

 以上、述べてきたように、今回の県の措置は、違法と認定したにもかかわらず、事後に申請書を提出させて辻褄をあわせ、許可が出るまでの間もそのまま違法行為の継続を認めるというものである。これでは、知事の許可が必要な各種申請について、業者が法令を無視して申請を出さずに強行しても、事後に申請書を出すと言えば、許可が出るまでの間も違法行為の継続を認めるという悪しき前例をつくることになる。まさに、県行政の根本が問われる事態と言わざるを得ない。

 琉球セメント㈱に対して、少なくとも申請書を県が審査して問題がないと判断するまでの間は、違法開発部分でのこれ以上の土砂・石材の採掘を禁止すべきである。

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