7月2日(金)、「魂魄の塔」横の熊野鉱山予定地で2基の重機による整地作業が始まった。
土曜日に続き、今日(7月5日・月)も朝から糸満市へ。最初、現地の作業状況を見にいく予定だったが、糸満市島ぐるみ会議の方から「今日は作業をしていない」と電話があったので糸満市役所へ。
業者の森林伐採届に対して、6月下旬、糸満市が確認通知を出したという報道について担当課長に確認したのだが、やはり事実だった。
下の図の「1470」と「1482」の地番の森林伐採届が出されていた。作業期間は7月1日から31日まで。2つのシーガーアブ付近の伐採だが、業者は「壕への転落防止のためフェンスを設置する」と説明しているという。
下に添付した風景づくり条例の行為届出書の図でも、赤線でフェンス設置が明記されている。高さ 1.8mで、総延長85mにもなる(開閉式部分を含め)。
さらに、この開閉式フェンスのある「1470」の土地から北の農道まで「進入道路」も予定されている。土石採取後の運搬道路がないと言われていたが、業者はこのルートを予定しているようだ(しかし、このルートの大部分は農振法の農用地区域の農地で、一時転用は簡単ではない)。
今回の伐採届は、「転落防止のためのフェンス設置」だけではなく、今後の土砂搬出道路造成のための準備でもあろう。
以前の市民団体の調査では2つのシーガーアブは地下で繋がっていることが確認されている(下図の「連絡洞」)。その上を重機で造成し、ダンプの走行路とすれば、地下の壕は崩壊してしまうだろう。2つのアブも、さらに奥まで延びている可能性があり、今後、採掘が始まれば崩壊するおそれがある。
シーガーアブにも、遺骨が確認されており、一帯には多くの軍靴、薬莢、手榴弾、ガスマスク等もあることから、戦没者の遺骨と推定される。
さらに、今回、伐採が予定されている「1470」の土地には、戦争当時の砲弾の着弾跡の穴が数か所、そのまま残っている。この一帯は、戦争当時から手つかずの緑地帯と思われることから、遺骨も残されている可能性がある。
このまま、伐採・造成を行えば、兵士たちだけではなく、多くの地元住民らも亡くなった貴重な戦跡が破壊され、遺骨の回収も困難となるだろう。少なくとも、2つのシーガーアブとその周辺の遺骨調査を急がなければならない。
(本年2月、具志堅さんの案内で国会議員らがシーガーアブを視察。この日も、遺骨や軍靴などが確認された。)
(2つのシーガーアブの間の林には、砲弾の着弾跡と思われる穴が数か所残っている。一帯は、戦争当時から手がつけられていない緑地帯と思われる。)
糸満市役所の後、沖縄県庁へ。保護援護課長と環境部参事に会い、関係資料を渡して説明した。
保護援護課長には、シーガーアブ周辺の遺骨等の調査の必要性を訴えた。また、環境部参事には、5月14日の自然公園法に基づく知事の措置命令との関係について尋ねた。
この措置命令では、「①、遺骨の有無について関係機関と連携して確認し、関係機関による遺骨の収集に支障が生じないよう措置を講じること」、「④、①~③の各措置について掘採開始前に県に報告し、協議すること」としている。今回の伐採、整地作業を始めるにあたって、「遺骨の有無の確認」もなく、県と協議もされていない。これは明らかに措置命令違反ではないのか?
県の毅然とした対応を求めたい。
(このような形質変更が県との協議なしに行われた。措置命令違反ではないのか?(7月3日、八重瀬町のKさん撮影))