明日（7月18日・金）、沖縄平和市民連絡会として沖縄県交渉を行う。
現在、本部町の琉球セメント安和鉱山から、辺野古への土砂が連日、大量に搬送されている。下は上空からみたこの鉱山の全容だが、総面積255haにもなる広大な採石場である。これだけ広大な採石場であるから、当然、環境面の問題が危惧されるが、県は何故か、「安全で良好な地域環境の確保」「無秩序な開発防止」のための県土保全条例を適用していない。
平和市民連絡会は、昨年からこの問題を指摘し、県との交渉を続けてきたが、県は、鉱山に対して何故、県土保全条例を適用しないのかを説明することができていない。この鉱山からは、これからも辺野古の埋立のために大量の土砂が持ち出されることから、あくまでも地域の環境を守るために、県土保全条例の厳正な適用を求めて今年も交渉を行う。
沖縄県知事 玉城デニー様 ２０１９年７月１９日
鉱山（石灰岩の採石場）に対して県土保全条例の厳正な適用を求める要請
沖縄平和市民連絡会
日々、辺野古新基地建設事業を阻止するためにご奮闘いただいていることに敬意を表します。
沖縄県では「安全で良好な地域環境を確保する」ために、沖縄県県土保全条例を制定しています。この条例では、「3万㎡以上の一団の土地について開発行為（土地の区画形質の変更）をしようとする事業主は、---あらかじめ知事に協議し、その同意を得なければならない」（第４条）、「3千㎡以上の一団の土地について開発行為をしようとする事業主は、知事の許可を受けなければならない」（第６条）と定めています。
ただ、県土保全条例第18条ではいくつか適用除外を定めており、「⑹ 採石法第33条の規定により認可を受けた採取計画に基づいて行なう岩石の採取行為」等は、本条例の適用除外となっています。
沖縄県には、北部地域を中心に多くの石灰岩の採石場がありますが、石灰岩は採石法第２条でいう「岩石」ではなく、鉱業法第３条で「鉱物」と定義されています。採石法は県の所管ですが、鉱業法は国の所管ですから、県は石灰岩の採掘の認可権限を持っていません。ただ、県土保全条例は、鉱業法を適用除外とはしていないので、石灰岩の採石場に対しても、当然、県土保全条例が適用されるはずです。ところが沖縄県は、以前から石灰岩の採取行為については、何故か、県土保全条例の対象としていません。
私たちが県にその理由を尋ねたところ、担当者は「鉱業法は国の専管事項なので、そもそも県土保全条例の対象とはならない」と説明されました（2018年6月6日 県企画部統括監）。しかし、鉱業法は「鉱物資源を合理的に開発する」ための鉱業権等について定めたものであり、「安全で良好な地域環境の確保」、「県土の無秩序な開発防止」を目的とした県土保全条例とは全く趣旨が異なるものです。条例で石灰岩の採取行為について適用除外と定めていない以上、当然、県土保全条例の手続きが必要です。
この点については、沖縄県で鉱業法を所管する沖縄総合事務局も、「鉱業の実施 他法令の認可等」として、「採掘する区域において、他法令による制限がある場合には、それぞれの許認可の手続きが必要となります」（『鉱業法って？』）とし、『施業案の記載の手引き』でも、「他法令による許認可事項等については、その概要を参考資料として添付すること」としています。鉱山に対しても県土保全条例が適用されるのは当然です。
以上の理由から次のとおり申入れます。
記
１．県土保全条例は、知事の許可を受けない開発行為に対して罰則規定まで定めている（第20条）。あいまいな運用は許されないことから、沖縄県内の3000㎡以上の掘採を行っている鉱山に対して、ただちに県土保全条例の手続を行なわせること
２. 知事は、開発許可等を受けないまま工事を施工している事業主等に対して、当該工事の停止、現状回復その他の措置を講じるよう命じることができる（第13条）。県土保全条例の手続を行っていない鉱山に対しては、手続きが終るまで、掘採行為を中止させること。
（以上）
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