3月3日(水)、具志堅さんのハンストは3日目に突入した。今日も県庁前広場の座込みテントには、朝から大勢の人たちが集まり、具志堅さんを激励した。
知事が県議会から知事室に戻った昼休み時間、今日も具志堅さんは知事に訴え続けた。「デニーさん、助けてぃくみそーれ(助けてください)」、「あなたにはこの開発計画を中止させる権限がある。助けてぃくみそーれ」と訴える具志堅さん。この悲痛な声が知事に届いていないはずはない。
私たちは期待している。まもなく知事がこの座込みテントを訪れ、具志堅さんを激励してくれるにちがいないと信じている。
(県議会への陳情書を提出する具志堅さん)
(毎日、医師がテントに来てくれる)
今日、具志堅さんは、現在、開会中の県議会に陳情書を提出した。以下、その全文を掲載する。
沖縄県議会議長様 2021年3月3日
戦没者の遺骨が混じった土砂を軍事基地建設に使わせないことを求める陳情
沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」
代表 具志堅隆松
私たち「ガマフヤー」は昨年9月末から、糸満市米須の「魂魄の塔」西隣りのうっそうとした森の中で戦没者の遺骨収集作業をしていました。ところが、11月1日に行ってみると、現場の森が広範に伐採されて採石場(鉱山)に変わっていたのです。遺骨を掘り出している現場でしたが、立入禁止となり遺骨収集もできなくなってしまいました。このような事態は私の39年間に及ぶ遺骨収集活動の中でも初めてのことです。このことは、沖縄戦の遺骨が国により遺族への返還のためのDNA鑑定が行われることになった最中のことです。
また他にも、戦没者の遺骨が残存していると思われる未開発緑地帯での新規の採石場(鉱山)開発の動きがあるとも聞いています。このままでは、遺族の元へ帰るべき戦没者遺骨が土砂とともに埋立に使われてしまいます。
政府は、「仮に南部地区から行われるとしても、採石業者においてご遺骨に配慮した採取が行われる」(菅首相、2021年1月22日 参議院本会議)、「南部の土砂を採取する場合は、契約文書の中に遺骨の取扱いをしっかり記載する」(防衛大臣、2021年1月27日 衆議院予算員会)などと説明していますが、遺骨収集は経験と人骨に関する知識が不可欠であり、採石業者による遺骨収集は無理です。
そもそも戦没者の血の染み込んだ南部地区の土砂を遺骨とともに軍事基地建設のための埋立に使うなど、戦没者を冒瀆するものであり、人間の心を失った行為と言わざるを得ません。
現地周辺は沖縄戦跡国定公園に指定されています。戦跡国定公園とは、「沖縄戦の20万余りの戦没者の霊を慰めるために制定」された、我が国唯一の戦跡としての性格を有する国定公園です。
現在、採石業者から自然公園法にもとづく開発届が県に出されています。同法第33条2項は、「知事は国定公園について、当該公園の風景を保護するために必要があると認めるときは、普通地域内において---当該行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置を執るべき旨を命じることができる」と定めています。知事は、戦跡国定公園の歴史の風景を保護するために、この条文を適用して熊野鉱山開発計画の中止を命じるべきです。
そして、本島南部の戦跡地域は、多くの住民や兵士が殺された、悲しいながらも美しい場所ですから、慰霊と沖縄戦学習の場として残すべきです。
この問題について、下記のとおり陳情します。
記
1.知事は本年2月26日の県議会で、「当該地域の土砂が辺野古埋立に使われることは、悲惨な戦争を体験し、多くの犠牲者を出した県民の心を深く傷つけるものであり、とうてい認められない」と表明した。そうである以上、熊野鉱山の開発届に対して、自然公園法第33条2項による開発中止を命じること。
2.戦没者の遺骨が残っている可能性が高い南部地区の未開発緑地帯での土砂・石材の採取を禁止する条例を制定すること。