辺野古新基地建設事業は、沖縄県が8月31日に埋立承認を「撤回」したため、もう1ケ月半も止まっている。
ところが沖縄防衛局は、今日(10月17日)、県の「撤回処分」に対して、行政不服審査法に基づき、国土交通大臣に審査請求を行い、同時に「撤回」の効力停止を申立てた。
これは、2015年10月、翁長前知事が埋立承認を取消した際と同様の手法だが、当時も国が行政不服審査法を使うことに大きな批判が上がった。行政不服審査法は、行政庁の違法又は不当な処分に対して、国民の権利保護・救済することを目的としたものであり(第1条)、国の行政機関である沖縄防衛局にはその資格がないことは明かである。3年前も、全国の行政法学者100人近くが批判声明を出している。
また、2015年3月、翁長前知事が国が岩礁破砕許可の許可条件に違反しているとして工事中止を指示した際に、沖縄防衛局は、農林水産大臣に対して審査請求と執行停止の申立てをしたことがある。その際も1週間足らずで農林水産大臣が執行停止を認めた。しかし、審査請求そのものは長い間野ざらしにしたまま、防衛局は審査請求を取下げてしまった。当初から裁決をするつもりなど全くなく、ともかく知事の処分を執行停止し、工事を再開することだけが目的なのだ。
国は、今回の「撤回」に対しては、前回、これだけの強い批判を浴びたことから、行政不服審査法ではなく、裁判所に行政事件訴訟法による「撤回」取消しと、執行停止を申立てるものと言われていた。ところが、同法では執行停止は、「重大な損害を避けるための緊急の必要」がある場合に限られる。県の「撤回」からすでに1ヶ月半も何の対応も講じてこなかったのであるから、裁判所に「緊急の必要」があると認められるのは困難である。そのため、法的に大きな問題のある行政不服審査法を使ったのであろう。
同じ内閣内の国土交通大臣は、この申立てを認める。2015年当時も、「右手で出した書類を左手で受け取るようなもの」(琉球新報 2015.11.3)と言われたが、今日もデニー知事は「内閣内部の自作自演」と強く批判した。このような政府の法逸脱行為を許すわけにはいかない。そもそも今回の「撤回」理由は、軟弱地盤や活断層等の問題を最大に事由としたものだが、国土交通大臣はいったいどういう理由で執行停止を認めるのか?
埋立承認取消しの際は、審査請求から2週間足らずで執行停止が出され、工事が再開された。今回は、あるいは今月末にも工事が再開されるのではないかと言われている。
現場の体制を強化しよう!