沖縄防衛局は代執行を受け、本年1月から海上ヤード工、8月からはA護岸工に着手した。沖縄県は再三にわたって工事中止の行政指導を行っているが、それを無視して工事を強行している。
大浦湾の護岸工事等については、契約後、未着工であるにもかかわらず、高額な増額の変更契約が締結されていることが問題となっている(2024.8.12 琉球新報、9.20 沖縄タイムス)。
「シュワブ(R5)仮設物維持管理継続工事」は、大浦湾のフロートや汚濁防止膜の維持管理工事だが、当初契約額が53.5億円だったにもかかわらず、本年3月27日、30.5億円も増額された。6割もの増額変更である。
また、「シュワブ(R5)C1護岸新設等工事」は、大浦湾最深部の地盤改良やケーソン工事だが、当初契約 261.4億円が、本年3月27日に117億円(4割以上)も増額変更され、378.7億円にもなっている。
他の工事も同様に大幅に増額変更されている(下の表参照)。しかし、増額の理由については、「計画調整」とされているだけで、その内容は分からない。
当初契約に対して大幅な増額変更することは、実質的な随意契約であり、入札制度の趣旨からいっても認められない。大幅な増額分は、新たな工事として一般競争入札にかけなければ、競争性、公平性が担保できない。国土交通省も、増額は当初契約の3割以下に抑える「3割ルール」という通達を出している。
この点を調べようと、本年8月7日、契約中の13件の工事について、当初契約、変更契約の契約書、特記仕様書の公文書公開請求をした。9月12日に沖縄防衛局から通知が来たが、情報公開法第11条の「特例」を適用し、なんと、来年12月26日まで開示決定を延長するというのだ。なんと、1年半近くも延ばすことになる。
情報公開法では、開示決定は「30日以内にしなければならない」のであり、「事務処理上の困難その他の正当な理由があるときは、30日に限り延長することができる」とされている。すなわち請求から60日以内に開示決定されるはずである。
ところが第11条に「特例」があり、「請求に係る行政文書が著しく大量であるため、---」等の場合は、「相当の期間内に開示決定等をすれば足りる」とされている。今回、防衛局はこの「特例」を適用し、来年末まで開示決定を延長するというのだ。
これでは、今、問題となっている増額変更の理由等の解明はできない。防衛局は、「担当課が法所定の期限内に開示請求に係るすべてについて開示決定等を行うこととした場合、他の業務の適正な遂行に著しい支障が生じる」というが、契約書や特記仕様書はそれほど大部のものではなく、1年半も延長する理由とはならない。「特例」の濫用は認められない。
また、1年半先に開示決定(あくまでも、「開示、不開示の判断をする」というだけで、「開示」ではない)されたとしても、終了している工事もあり、全く意味がない。
これは、防衛局の意図的な情報隠しである。