台風20号も東に通り過ぎて、やっと明るい日差しが戻ってきた。
今回の沖縄滞在の最後の1日なので、午後、本島最南部の喜屋武岬へ行く。
太平洋を一面に見下ろす岬の海岸に突き出た断崖に、具志川グスク(城)がある。築城は、12世紀後半から15世紀というが、正確な年代は分からない。それでも、久米島の具志川グスクの按司が本島に逃れて築いたものと言われている。
真っ青な海に向かってグスクの石積が続き、素晴らしい光景だ。
この付近は、かっての沖縄戦の最後の激戦地だった。一面に広がる海は、当時、アメリカ軍の戦艦でぎっしりと埋め尽くされ、艦砲射撃が続いたという。
グスクの下には、大きな岩穴がある。この岩穴には、1945年6月末に沖縄戦が終結した後も、5~6名の敗残兵と30数名の住民らが「共同生活」を送っていたという。いわば、沖縄戦における日本軍の最後の「陣地」だった。
グスクから少し東に行くと、「平和の塔」が建っている。
この付近では、6月20日~21日にかけて米軍が、日本兵や避難民らに対して総攻撃をかけた。洞窟内や岩陰には焼死体が積み重なり、路上にも累々と死体が並んでいたという。この周辺での戦没者は約10000人。戦後、喜屋武の住民らが収骨し、この「平和の塔」に納骨されている。