糸満市・米須霊域の「魂魄の塔」横の熊野鉱山予定地では、隣接した土地の森林伐採届が出され、7月初めには重機による整地作業が始まった。しかし、知事が自然公園法に基いて出した措置命令の、「遺骨の確認」や「県との協議」等は未だ行われていない。
さらに、先日のブログでも書いたが、鉱山からの土砂搬出路とするための農地の一時転用申請が、7月上旬、糸満市農業委員会に提出された。
下の図で、鉱山から北の農道に続く「Bルート」は、開発業者の図面でも「進入道路」とされているが、その4筆の「畑」の一時転用申請書が出されたのである。今月末に糸満市農業委員会の総会にかけられ、8月初めに知事に進達される。最終的には知事が許可・不許可の判断をする。
この一帯の農地は、農振法に基づき農地として利用するよう位置づけられた農用地区域に指定されており、農地転用は原則として許可されない。ただ、「一時的な利用」として「3年以内の期間」であれば、例外的に転用を許可することができるとされている。
しかし、今回の一時転用申請には大きな問題があり、とても許可できないはずである。
開発業者の計画書によると、今回の熊野鉱山の採掘は、1年間の採掘準備の後、5年間の採掘が行われ、その後の埋戻しや植栽等の期間を含めると総工程は7年3ケ月とされている。それにもかかわらず、鉱山からの土砂・石材の搬出道路、について「3年以内」の利用として農地一時転用を申請することは認められないはずである。
さらに開発業者の申請書では、鉱山から東側に続く里道を「鉱山用道路」としている。しかしその先の土地は、県の所有管理地であり、「魂魄の塔」や各府県の慰霊碑の参拝者のための広場として利用されている。これらの土地がダンプトラック等の通行路となれば米須霊域の静穏は著しく阻害される。この点についても知事の毅然とした対応が必要である。
(開発業者の申請書では、「8年工程」とされており、「3年以内」に限られる農地一時転用申請はとても認められない)